エバートンで新たなスタートを

 欧州主要リーグでは夏の移籍市場がオープンしている。すでに多くの実力者が移籍を決めており、新天地でのプレーには大きな注目が集まっている。今回フットボールチャンネルでは、移籍を決意した選手たちを様々なデータを参照した能力値とともに紹介していく。今回はハメス・ロドリゲス、ペルビス・エストゥピニャン、ガブリエウ・マガリャンイス、サンドロ・トナーリ、ドニー・ファン・デ・ベークの5人。(移籍金などは『transfermarkt』を参照)。

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MF:ハメス・ロドリゲス(コロンビア代表)
生年月日:1991年7月12日(29歳)
市場価格:3200万ユーロ(約38.4億円)
19/20リーグ戦成績:8試合出場/1得点1アシスト(レアル・マドリード)
移籍先:レアル・マドリード→エバートン
移籍金:フリー

 2014年ブラジルワールドカップでの大活躍を受け、レアル・マドリードに加入することが決まった。しかし、当初こそ主力として活躍していたものの、次第にポジションを失っていき、2017年にはバイエルン・ミュンヘンへのレンタル移籍を経験。昨年にマドリー復帰を果たしたが、出場機会はほとんどなかった。

 そんなハメス・ロドリゲスに手を差し伸べたのは、恩師カルロ・アンチェロッティ監督率いるエバートンだった。同クラブは7日、コロンビア代表MFを完全移籍で獲得したことを発表。契約期間は2022年までの2年間となっており、1年間の延長オプション付き。背番号は「19」となった。

 ハメスはスピード等を活かして相手を次々と置き去りにするようなドリブラータイプではないが、左足から放つラストパスやサイドチェンジなどの質は極めて高い。味方の動きを見逃さない視野の広さも備わっており、ゴール前でのアイデアも豊富。いわゆるプレーメーカータイプであると言えるだろう。

 南米出身選手らしい「テクニック」も秀逸で、細かくボールを操っては相手のプレスを確実にかわす。パスを受けてから展開するまでも非常にスムーズであり、このあたりの技術はワールドクラスと言える。コロンビアの王様はエバートンを高みへと導くだろうか。

久保建英と同僚に

DF:ペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)
生年月日:1998年1月21日(22歳)
市場価格:1500万ユーロ(約18億円)
19/20リーグ戦成績:36試合出場/1得点6アシスト(オサスナ)
移籍先:ワトフォード→ビジャレアル
移籍金:1640万ユーロ(約19.7億円)

 2017年に加入したワトフォードでは出番を得られず、3季連続でスペインクラブへのレンタル移籍を経験している。その中の一つであったマジョルカで1部昇格に貢献するなどブレイクを果たすと、昨季はオサスナでリーグ戦36試合に出場し1得点6アシストの成績を残すなど活躍。評価を大きく高めた。

 そんなレフティーに目をつけたのが、アルベルト・モレノが長期離脱を強いられたことで左サイドバックを探していたビジャレアルだった。同クラブは先日、エクアドル代表DFを完全移籍で獲得したと発表。移籍金は1640万ユーロ(約19.7億円)とされており、契約期間は異例の7年間となった。

 現在22歳と若いペルビス・エストゥピニャンは、かなり攻撃的なサイドバックだ。水準以上のスピードを活かして相手を一瞬で置き去りにすることが可能で、身長175cmながらフィジカルも強く、簡単にボールを奪われることがない。事実、『Sofa Score』のデータによると、昨季リーグ戦における59回というドリブル成功数は、DFの中でトップの成績となっていた。

 また、アーリークロスの上手さもエストゥピニャンの特徴。左足でかなり強く蹴り込まれたボールは精度、鋭さともに申し分なく、相手DFとGKを困惑させることを可能している。ビジャレアルでもここは大きな武器になるはずだ。そして、左サイドでコンビを組むこともあるだろう久保建英との連係にも注目である。

グーナーが期待を寄せるブラジル人DF

DF:ガブリエウ・マガリャンイス(ブラジル)
生年月日:1997年12月19日(22歳)
市場価格:2000万ユーロ(約24億円)
19/20リーグ戦成績:24試合出場/1得点0アシスト(リール)
移籍先:リール→アーセナル
移籍金:2600万ユーロ(約31.2億円)

 19歳という若さで欧州初上陸を果たしたブラジル人のガブリエウ・マガリャンイスは、2018/19シーズン後半戦より名門リールで守備の要として活躍。“新たなチアゴ・シウバ”との呼び声が高く、マンチェスター・ユナイテッドやナポリなどから興味を示される、人気銘柄となった。

 そのマガリャンイスのハートを射抜いたのは、守備の改善を目指していたアーセナルだ。同クラブは1日、ブラジル人DFを完全移籍で獲得したと発表。移籍金は2600万ユーロ(約31.2億円)とされている。ちなみに選手本人は後に、アーセナル加入の決め手がミケル・アルテタ監督からの電話だったことを明かしている。

 身長190cm・体重78kgという恵まれた体躯、そして身体能力の高さも兼ね備えるマガリャンイスは、間合いの詰め方の上手さと粘り強さが秀逸で、勇気を持って飛び出し攻撃の芽を摘むこともあるなど、とにかく対人戦に強い。セットプレー時には得点源になることも十分可能なほど、パワフルだ。

 また、現代サッカーには欠かせないビルドアップ能力も非凡。ボールの持ち方はあまり上手そうにみえないのだが、常に落ち着いており、空いたスペースを見逃さず縦パスを送り込む作業も淡々とこなす。左利きというポイントも高い。あとは、英語の上達に期待したいところだ。

ピルロの後継者

MF:サンドロ・トナーリ(イタリア代表)
生年月日:2000年5月8日(20歳)
市場価格:3200万ユーロ(約18億円)
19/20リーグ戦成績:35試合出場/1得点7アシスト(ブレシア)
移籍先:ブレシア→ミラン
移籍金:ローン(1000万ユーロ/約12億円)

 世界最高のレジスタと称されたイタリアサッカー史に残る名MFであるアンドレア・ピルロ。そんなレジェンドの「後継者」と言われているのが、サンドロ・トナーリだ。ローマの英雄フランチェスコ・トッティが「私が思うに、彼は世界最高のMFになるだろう」と絶賛した、今注目の若手選手である。

 そんな将来有望なMFは今夏の移籍市場における人気株であったが、ついに新天地が決まった。激しい争奪戦を制したのはミランだ。同クラブは9日、買い取りオプション付きレンタルでトナーリを獲得したことを発表。背番号は「8」に決定している。なお、レンタル料は1000万ユーロ(約12億円)となっているようだ。

 最終ラインの前で冷静にボールを扱い、長短の正確な「パス」を駆使して攻撃のリズムを創出。視野の広さも抜群、傑出した戦術眼を兼備、そしてフリーキックも大きな武器にしているなど、長髪をなびかせるその見た目はもちろんのこと、プレーもピルロそっくり。典型的なレジスタであると言えるだろう。

 ただ、本人のアイドルはジェンナーロ・ガットゥーゾだという。その事実が示す通り、中盤でしっかりとディフェンスのタスクをこなすこともでき、ピンチとみれば身体を投げ出す泥臭いプレーを厭わない。「ファンだった」というミランでも攻守両面で大きく奮闘してくれるはずだ。

オランダの逸材

MF:ドニー・ファン・デ・ベーク(オランダ代表)
生年月日:1997年4月18日(23歳)
市場価格:4400万ユーロ(約52.8億円)
19/20リーグ戦成績:23試合出場/8得点6アシスト(アヤックス)
移籍先:アヤックス→マンチェスター・ユナイテッド
移籍金:3900万ユーロ(約46.8億円)

 フレンキー・デ・ヨングやマタイス・デ・リフトは、2018/19シーズンのチャンピオンズリーグ・ベスト4進出の立役者となったことで、世界にその名を轟かせた。そして、現在23歳のドニー・ファン・デ・ベークもその中の一人。彼もまた、レアル・マドリードを筆頭に多くのクラブから興味を示されていた。

 そんなオランダの逸材は、新シーズンよりマンチェスター・ユナイテッドでプレーする。同クラブは2日、ファン・デ・ベークを5年契約で獲得したことを発表。移籍金は3900万ユーロ(約46.8億円)とされている。なお、ユナイテッドにとっては今夏の補強第1号ということになった。

 トップスピードでもブレない足元の技術が備わっており、相手にとって嫌なスペースを見つける眼もかなり冴えているなど、果敢に前線へ飛び出してはゴールとアシストの両方でしっかりと結果を残す。決して派手なタイプではないが、かなり気の利いたプレーを発揮できる選手だ。

 それは守備面でも同じことが言える。ファン・デ・ベークはとにかく運動量が豊富であり、幅広いエリアでハードワークすることを怠らない。ピンチの場面ではカード覚悟のタックルで攻撃の芽を摘むなど、自ら汚れ役を買うことも多い。ユナイテッドにとっては、大きな補強になったと言えるはずだ。