アタランタで成長したサイドプレーヤー

 欧州主要リーグでは夏の移籍市場がオープンしている。すでに多くの実力者が移籍を決めており、新天地でのプレーには大きな注目が集まっている。今回フットボールチャンネルでは、移籍を決意した選手たちを様々なデータを参照した能力値とともに紹介していく。今回はティモシー・カスターニュ、ディエゴ・ジョレンテ、セルヒオ・レギロン、オリー・ワトキンス、アランの5人。(移籍金などは『transfermarkt』を参照)。

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DF:ティモシー・カスターニュ(ベルギー代表)
生年月日:1995年12月5日(24歳)
市場価格:1800万ユーロ(約21.6億円)
19/20リーグ戦成績:27試合出場/1得点3アシスト(アタランタ)
移籍先:アタランタ→レスター
移籍金:2400万ユーロ(約28.8億円)

 ベルギーの強豪ヘンクでプロデビューを果たし、2017年にアタランタに加入。イタリアの地でも着実に力をつけ、今やベルギー代表の常連ともなった。昨季は絶対的な主力というわけではなかったが、最終的にリーグ戦27試合に出場。クラブの史上初となるチャンピオンズリーグ(CL)ベスト8進出にも貢献していた。

 そんなティモシー・カスターニュは、今季よりプレミアリーグに初参戦することが決まった。3日、レスターがベルギー人DFと5年契約を結んだと発表。移籍金は2400万ユーロ(約28.8億円)とされている。ちなみにカスターニュは、新たな仲間の前でジェイソン・ムラーズの名曲『I'm Yours』を披露したようだ。

 カスターニュは右サイドを本職としているが、左サイドでも質の高いプレーを披露できる。とにかく運動量が抜群に豊富で走ることを止めず、守備での献身性はもちろん、アタランタで培ったダイナミックな攻め上がりからチャンスを生み出す。ハイエナジーなレスターのスタイルには合った選手と言える。

 クロスの質も決して悪くなく、身長180cmの長身を活かしたエアバトルでも簡単に負けることがない。サイドだけでなく、中央でも勝負できるのはカスターニュの大きな強みと言えるだろう。第1節のウェスト・ブロムウィッチ戦でいきなり得点とスタートは上々だが、この勢いをどこまで継続できるか。

鬼才ビエルサの下へ

DF:ディエゴ・ジョレンテ(スペイン代表)
生年月日:1993年8月16日(27歳)
市場価格:2000万ユーロ(約24億円)
19/20リーグ戦成績:29試合出場/1得点2アシスト(レアル・ソシエダ)
移籍先:レアル・ソシエダ→リーズ・ユナイテッド
移籍金:2000万ユーロ(約24億円)

 2002年にレアル・マドリードの下部組織に入団したディエゴ・ジョレンテは、2013年にトップチームデビューを飾るも、その後はなかなか出場機会を得られなかった。しかし、マラガなどへのレンタル移籍を経て2017年に加入したレアル・ソシエダでは持っている力を存分に発揮。スペイン国内屈指のDFとなった。

 その27歳のセンターバックに目を付けたのが、今夏に積極的な補強を敢行しているリーズ・ユナイテッドだった。鬼才マルセロ・ビエルサ監督率いるクラブは24日、D・ジョレンテと2024年までの4年契約を結んだことを発表。移籍金は2000万ユーロ(約24億円)で、新天地での背番号は「14」に決定している。

 D・ジョレンテは本職のセンターバック以外にも右サイドバックやボランチを務めるユーティリティー性を兼ね備えている。スペイン人らしい足元の技術も魅力の一つで、最終ラインからビルドアップをサポートすることはもちろん、高質なロングフィードから一気にチャンスを作り出すことも少なくない。

 身長186cm・体重76kgとCBとして特別大柄な選手ではないが、相手を弾き飛ばすパワーも十分。空間認知能力にも長けており、落下地点に素早く入って確実にボールを捉えられるなど、「空中戦」の強さは攻守両面で大きな効果を発揮していると言える。プレミアリーグでも持ち味を活かすことができるか。

セビージャで輝きを放ったレフティー

DF:セルヒオ・レギロン(スペイン代表)
生年月日:1996年12月16日(23歳)
市場価格:2500万ユーロ(約30億円)
19/20リーグ戦成績:31試合出場/2得点4アシスト(セビージャ)
移籍先:レアル・マドリード→トッテナム
移籍金:3000万ユーロ(約36億円)

 サンティアゴ・ソラーリ監督率いるレアル・マドリードでコンスタントに出場機会を得ていたセルヒオ・レギロンは、昨季セビージャに期限付きで加入。新天地ではシーズン当初より主力としてプレーし、最終的には公式戦28試合の出場で3得点5アシストを記録するなど、印象的なパフォーマンスを披露した。

 こうした活躍もあって、レギロンには今夏多くのクラブが興味を示していた。そんな中、レフティーの獲得を決めたのはトッテナムだ。契約期間は2025年までの5年間で、移籍金は3000万ユーロ(約36億円)となっている。また、契約にはマドリーが4000万ユーロ(約48億円)で買い戻せる条項も付帯している模様だ。

 レギロンは水準以上のスピードと足元の「テクニック」に自信を持っている選手で、果敢な攻め上がりから精度の高いクロスなどでチャンスを作り出せる。ランニングの質もかなり高く、実際セビージャではハーフスペースをうまく活用して攻撃にアクセントを加えるシーンが何度も見受けられた。

 安定した守備もレギロンの特徴だ。相手選手との間合いの詰め方もうまく、クイックネスを活かしたボール奪取も光る。何より負けん気が強いので、仮に一度交わされてもしつこくボールホルダーに絡んで自由を与えることがない。守備の安定性が求められるトッテナムにとって、大きな補強になった。

4部から這い上がったストライカー

FW:オリー・ワトキンス(イングランド)
生年月日:1995年12月30日(24歳)
市場価格:1200万ユーロ(約14.4億円)
19/20リーグ戦成績:46試合出場/25得点3アシスト(ブレントフォード)
移籍先:ブレントフォード→アストン・ビラ
移籍金:3080万ユーロ(約37億円)

 現在24歳のオリー・ワトキンスは数年前まで4部リーグでプレーしていた選手だった。しかし、2017年より2部ブレントフォードに加入すると、同クラブでメキメキと成長。昨季はチャンピオンシップで25得点を叩き出す圧巻の活躍をみせ、多くのクラブから注目を集めるまでの存在となった。

 そんなワトキンスの獲得に成功したのが、アストン・ビラだった。同クラブは9日、イングランド人ストライカーと5年契約を結んだことを発表。移籍金は3080万ユーロ(約37億円)とされており、ボーナスを含めると45億円にまで上昇する模様。これは、アストン・ビラ史上最高額となっている。

 自身のアイドルをティエリ・アンリとするワトキンスは、相手をベリベリと剥がす加速力が武器で、センターフォワードとしてはもちろんのこと、ウイングとしても質の高いプレーを発揮する。身長180cmとFWとしては大柄な選手でもあり、地上戦でも「空中戦」でもパワーを活かすことが可能だ。

 ペナルティーエリア内でフリーになる動きも秀逸で、クロスに対する反応や合わせ方もうまい。何よりこのワトキンスという選手は角度のない場所からでもお構いなしにシュートを放ってくるので、対峙する選手からすると一瞬でも気を抜くとゲームオーバーだ。プレミアリーグでの「覚醒」に期待したい。

恩師アンチェロッティに再会

MF:アラン(ブラジル代表)
生年月日:1991年1月8日(29歳)
市場価格:2800万ユーロ(約33.6億円)
19/20リーグ戦成績:23試合出場/2得点1アシスト(ナポリ)
移籍先:ナポリ→エバートン
移籍金:2500万ユーロ(約30億円)

 2015年にナポリに加入して以降、アランは中盤の要として活躍していた。しかし、昨季は厳しかった。細かな負傷を繰り返すなど継続的に出番を掴めず、ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督就任後はさらに出場時間が減少。最終的にリーグ戦出場は、ナポリ加入以降最少となる23試合に留まっていた。

 そんなアランは今夏、5年を過ごしたナポリを離れることを決断。新天地はイタリアの地でも指導を受けたカルロ・アンチェロッティ監督率いるエバートンに決まった。契約期間は2023年6月30日までで、移籍金は2500万ユーロ(約30億円)。背番号はウディネーゼ在籍時以来となる「6番」に決まった。

 中盤底をメインポジションとするアランは、ハードな守備を持ち味としている。猛獣が獲物に飛び掛かるようなボール奪取のその迫力は折り紙付きで、フィジカルコンタクトでも簡単に負けない。それに加え運動量も抜群に豊富で、幅広いエリアをパトロールできるのも、ブラジル人MFの大きな武器だ。

 やや危険な持ち方をしてしまうこともあるのは事実だが、ボール奪取後の縦への推進力はピカイチ。攻守の切り替えのスイッチを一人で入れてしまうアランのような選手は、とても貴重と言える。すでにエバートンでは即戦力として好パフォーマンスを披露しているが、引き続き注目していきたい。