マドリーは足踏み状態

 チャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグB組第5節、シャフタール・ドネツク対レアル・マドリードが現地時間1日に行われ、2-0でホームチームが勝利している。この結果を受け、マドリーは最終節を前にグループ3位に転落。決勝トーナメント行きへ黄色信号が灯っている。(文:小澤祐作)

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 チャンピオンズリーグ(CL)では常に主役だったレアル・マドリードだが、いよいよ厳しくなってきた。現地時間1日に行われたグループリーグ第5節シャフタール・ドネツク戦を0-2で落としたことで、最終節を前にグループ3位に転落してしまった。

「我々は今日が決勝戦の一つであることをわかっていたし、とても良い準備ができていた。前半は素晴らしかったがゴールを決められなかった。あと1試合残っているので、勝利してグループを突破することを考える必要がある。我々には常に困難な時期があったし、このクラブには今後もそういう時期があるだろう」。

 試合後にジネディーヌ・ジダン監督はそう話した。また同指揮官は「辞任するつもりはない。今後も続けていくつもりだ」ともコメント。しかし、いくらクラブのレジェンドであるジダンとはいえ、ここまで結果が出ないとなるとその立場は危うい。これでCLグループリーグ敗退という最悪の結末を迎えれば、クラブやサポーターが黙って見過ごすわけがない。

 現在のマドリーの課題は明白だ。得点の可能性を感じさせるのがカリム・ベンゼマ一人のみで、マルコ・アセンシオやヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、エデン・アザールらアタッカー陣がことごとく沈黙。とにかく笑ってしまうほど、ゴールへの匂いが感じられないのだ。

 このシャフタール戦でも攻撃パターンはサイドからのクロス一辺倒で、相手の守備陣形が整っていることもあり次々と撥ね返される。もうクリスティアーノ・ロナウドのようなスーパーな存在はいないのだ。クロスを上げるにしても、工夫なしに崩すことは難しい。

 その中で何本かクロスが通りチャンスを迎えてもシュートがことごとく入らない。そして中央ではシャフタール守備陣を前に大きなアクションを起こせず。トップ下に入ったマルティン・ウーデゴールの良さがほとんど消え、結局はサイド攻撃に移るので、1トップの下に選手を置く意味というものがほぼなくなっていたのである。

 若手が力を発揮できず、頼れるのは32歳のベンゼマ。まるでハイライトを見ているかのように、毎試合同じパターンの攻撃で苦しむ姿がピッチ内にはある。その中で、希望となりそうなものもない。マドリーは足踏み状態だ。

キャプテン不在の影響。そして…

 そして、唯一の自慢だった守備も、今や自慢と言えなくなっている。

 グループリーグ第1節ではシャフタールに前半だけで3点を奪われ敗れた。前掛かりになったところをうまく突かれ、1点を失ったあと立て続けに2失点。まるでジェンガのように素早く、一瞬で崩れてしまったのである。

 このシャフタールとの第2戦でも同じようなことが起こった。

 57分の失点はコーナーキックを撥ね返されカウンターを受けたことで招いた。マドリーの選手は懸命に戻ったが、結局一度もボールに触れることなくディフェンシブサードへの侵入を許す。そして最後は、ラファエル・ヴァランとフェルラン・メンディがゴール前でまさかの“お見合い”。デンチーニョにシュートを流し込まれた。

 そして82分のシーンは、前からプレッシャーに行くも敵陣で剥がされサイドへ大きく展開される。マノル・ソロモンにハーフウェーラインからボールを運ばれたが誰も寄せ切ることができず、そのままシュートを決められている。

 前からプレッシャーに行くのはいいが、とくに中盤と最終ラインの連動性が物足りず、一度でも剥がされるとかなりのピンチを招いてしまう。なので、ディフェンシブサードに侵入されても人数が足りず、止めようにも飛び出せない。そしてシュートに持ち込まれる。この形はシャフタールとの第1戦でも何度も見られている。

 セルヒオ・ラモス不在の影響はかなり大きいだろう。ヴァランはセンターバックとしての総合能力は高いが、気持ちを前面に押し出すタイプではないため長年リーダーシップという部分が伸びておらず、DF陣を統率できているとは言い難い。中盤との連動がうまくいっていない理由の一つがここにあるとみても不思議ではないのかもしれない。

 そして致命的なのはミスの多さだ。とくにS・ラモス不在時には良く目立つ。『Opta』によると、今季CLにおいてヴァランが失点に直結するミスを犯したのは3回。これは、CLに参戦している選手の中で最も多い数字なのだという。

 もちろん、軟弱な守備の原因がすべてヴァランにあるわけではない。しかし、偉大なキャプテン不在時に最も存在感を示さなければならない男がこのパフォーマンスでは、正直厳しいものがある。ヴァランも今季でマドリー在籍10年目を迎えている。そろそろ“S・ラモスの相棒”という立場を脱し、自らが先頭に立つようにならなければ、この先も厳しい道が待っているはずだ。

グループBは大混戦

 第5節でマドリーがシャフタールに敗れ、インテルがボルシア・メンヒェングラードバッハに勝利したことで、グループBは大混戦となっている。残り1試合を残した時点ですべてのチームに決勝トーナメント行きの可能性が残っているのは、このグループだけである。

 第5節を終え首位に立っているのはボルシアMG。同クラブは最終節を引き分け以上の成績で終えればグループリーグ突破が確定する。仮に負けてもインテル対シャフタールが引き分けに終わった場合は同じく突破が決まる。

 2位シャフタールは最終節インテル戦で勝利すれば突破、負ければ敗退が確定する。仮にインテルと引き分けた場合でも、マドリーがボルシアMGに対し引き分け以下の結果で終われば、決勝トーナメント行きの切符を手にできる。

 3位マドリーはボルシアMGに勝利すればベスト16入りが確定。負ければ敗退が決まる。引き分けの場合はシャフタールがインテルに負ければ突破、シャフタールがインテル戦を引き分け以上の成績で終えた場合、敗退が決まる。

 なんとか決勝トーナメントへの望みをつないだ4位インテルは、最終節で勝利することが突破への絶対条件。ただ、最後に勝ち点3を得たとしても3位マドリーがボルシアMGと引き分けた場合は敗退が確定する。自分たちの結果はもちろん、他会場の結果も待たなければならないという厳しい状況だ。

 果たして大混戦のB組を突破するのはどこか。大会最多優勝を誇るマドリーは生き残ることができるのか。最後まで目が離せない。

(文:小澤祐作)