マンUは望外の大勝

プレミアリーグ第14節、マンチェスター・ユナイテッド対リーズ・ユナイテッドが現地時間20日に行われ、6-2でユナイテッドが大勝した。開始3分で2ゴールを決めたスコット・マクトミネイは攻守に奮闘。攻撃面でも高いクオリティを見せるアカデミー出身のマクトミネイは、ユナイテッド復権の旗頭になる素質を秘めている。(文:加藤健一)
—————————————–

 マンチェスター・ユナイテッドはリーズ・ユナイテッドのお株を奪うように、激しいプレッシングで相手の自由を奪った。敵陣でボールを奪ってカウンターから66秒で先制。さらにその約1分後には敵陣でのスローインから2点目を決めた。

 キックオフから約170秒で2度もゴールネットを揺らしたのはともにスコット・マクトミネイ。開始66秒でのゴールは、2012年11月のウェストハム戦でロビン・ファン・ペルシーが記録した31秒に次ぐ早さで、開始3分以内に2得点を挙げたのはマクトミネイが初めてだった。

 相手の反撃を無力化させるようにユナイテッドは次々とゴールを奪っていく。20分には再びカウンターからブルーノ・フェルナンデスが決め、37分にはCKからヴィクトル・リンデレフが4点目を挙げた。

 4-1で前半を折り返したユナイテッドの勢いは後半も落ちず、66分にはダニエル・ジェームズが左足で決める。70分にはマルシャルが倒されて得たPKをブルーノ・フェルナンデスが決めて6点目。73分に1点を返されたものの、ユナイテッドは6-2で勝利。プレミアリーグでの4点差勝利は昨シーズンの第22節以来だった。

得点以外で貢献するマルシャル

 ユナイテッドは無敗記録を7試合に伸ばした。勝ち点3を逃したのは引き分けたマンチェスター・ダービーだけ。開幕から6試合で勝ち点7しか挙げられなかったチームは、直近7試合で19ポイントを重ねて3位まで浮上している。1試合未消化ながら、首位リバプールとの勝ち点差を5ポイントまで縮めている。

 UEFAチャンピオンズリーグでのパフォーマンスはここでは脇に置いておく。好調な要因の一つは、リーグ戦7試合で19得点を挙げている攻撃陣にあるだろう。

 しかし、7試合の得点者の内訳を見ると違和感を覚える。3本のPKを含むブルーノ・フェルナンデスが5得点で、エディンソン・カバーニとマーカス・ラッシュフォードが3得点で続く。しかし、昨季チームトップタイの17得点を挙げたマルシャルと、10得点のメイソン・グリーンウッドはともに1得点と寂しい数字となっている。

 マルシャルは3日前のシェフィールド・ユナイテッド戦で今季初ゴールを挙げたばかり。この日はゴールこそなかったが、2アシストをマーク。さらに70分にはファウルをもらってPKを獲得し、チームの6点目につなげている。

 前線からのプレスやカウンターでのフリーランニングはリーズのDFラインを困らせていた。データサイト『Whoscored.com』では2得点1アシストのブルーノ・フェルナンデスやマクトミネイを差し置いて、チームトップの9.9点(10点満点)という評価を受けている。決定機を決めていれば文句なしだったが、ゴール以外の部分でも貢献できるのがマルシャルの強みである。

獅子奮迅のマクトミネイ

 とはいえ、この試合のマン・オブ・ザ・マッチはマクトミネイだった。中盤から前線に飛び出して決めた2得点はセンセーショナルだったが、それ以外の部分でも突出したパフォーマンスを見せている。

 自陣でDFラインの前に立って相手の攻撃を防いだかと思えば、前線4人の後ろを追走してカウンターに厚みを加える。マクトミネイが決めた2点を振り返るとわかるように、マッチアップするマテウシュ・クリヒはその動きにまったくついていけてなかった。

 フレッジとマクトミネイのプレー範囲の広さはユナイテッドの最大の武器であり、生命線でもある。リーズの2点目は2人の戻りが一瞬遅れたことが原因になってしまった。5点リードしていたこともあり、試合のテンションは多少落ちていたが、2人の重要性を逆説的に証明したプレーでもあった。

 2人がサイドまで寄せて守備をすることで空いた中央のスペースはブルーノ・フェルナンデスが埋めることが多い。攻撃面での印象が強いが、守備でも貢献できるのはブルーノ・フェルナンデスがスーパーな選手たる所以でもある。

 中盤の3人が抜群の補完関係を見せることで、前線の3枚も生きる。低い位置まで守備に戻ることが減った両ウイングはマルシャルの近くでプレーすることができ、効果的なカウンターにつながった。マクトミネイとフレッジのカバーリング能力と献身性はあらゆる面で味方の能力を引き出している。

マクトミネイの成長とマンUの復権

 オーレ・グンナー・スールシャール監督は試合後にマクトミネイを称賛した。

「彼はフィジカルモンスターで、空中戦でも勝てるし、タックルでも勝てる。スコットはもともと攻撃的な選手。でも彼は4人のDFを助けることにも長けている」

 この試合ではコンビを組むフレッジのパスミスが目立っていたが、マクトミネイの正確な配球も印象的だった。リーズのプレッシャーにも屈せず、前線とのつなぎ役となった。66分のアシストも、難しい位置からダニエル・ジェームズに正確なキックでパスを通している。

 大量リードで試合終盤を迎えてもマクトミネイは走り続けた。それが裏目に出て試合終盤に鼠径部を痛めてピッチを後に。試合後は歩いている姿も見えたので重症ではなさそうだが、チームの大黒柱ともいえる活躍を見せただけに、不在となれば大きな痛手となることは間違いない。

 ロイ・キーン、ポール・スコールズ、マイケル・キャリック……。強いユナイテッドには素晴らしいセントラルミッドフィールダーがいた。不調だった昨季からチームを支えてきたマクトミネイがワールドクラスのMFへ成長したとき、ユナイテッドの復権も可能になるのかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】