フロンターレの心臓

 明治安田生命Jリーグは2020年の全日程を終え、22日のJリーグアウォーズでは各賞の受賞者(クラブ)が発表された。そこでフットボールチャンネル編集部では、今季のJ1で輝きを放った選手をポジションごとに5人ずつ紹介する。

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守田英正(川崎フロンターレ)
生年月日:1995年5月10日(25歳)
今季リーグ戦成績:32試合出場/1得点0アシスト

 圧倒的な強さでJ1を制した川崎フロンターレで4-3-3のアンカーに固定された今季は、攻守両面でチームの心臓だった。攻撃面ではパスワークの中心としてビルドアップの起点を担い、守備面では抜群のボール奪取力でディフェンスラインの前に構える防波堤として機能した。

 1試合あたりの平均パス成功数は57本、平均パス成功率は88%という数字を見るだけでも、いかに高いパフォーマンスを継続していたかがわかる。しかも自陣内での平均パス成功率は92%と極めて高く、それが敵陣内に移っても85%と大きく変わらない凄まじさである。

 田中碧や三笘薫らが躍動できたのも、後ろで睨みをきかせる守田の安心感あってこそ。昨季はやや調子を落としていたが、完全復活どころか、ひと回りもふた回りもスケールの大きなMFへと進化を遂げた。

円熟味を増すハードワーカー

山口蛍(ヴィッセル神戸)
生年月日:1990年10月6日(30歳)
今季リーグ戦成績:34試合出場/6得点2アシスト

 今季はリーグ戦全試合に出場しながら、一度もイエローカードをもらうことなく完走。Jリーグのフェアプレー個人賞も受賞した。粘り強いマークやハードタックルは健在で、警告を受けずボールを奪う守備はもはや職人芸の域だ。

 インターセプト数でもリーグ最多の23回を記録するなど守備面での功績が際立つだけでなく、今季は攻撃面での貢献度も非常に高かった。リーグ戦6得点はセレッソ大阪時代の2013年に残したキャリアハイに並ぶ記録で、インサイドハーフの位置からゴール前へ飛び出す積極性が光った。

 アンドレス・イニエスタ不在の試合ではキャプテンマークを巻くこともあり、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の舞台でも全7試合に出場。クラブ史上初の準決勝進出に大きく貢献した。30代に突入して円熟味を増すJ屈指のセントラルMFには日本代表復帰を望む声も。

名古屋の中盤を支えるダイナモ

稲垣祥(名古屋グランパス)
生年月日:1991年12月25日(29歳)
今季リーグ戦成績:34試合出場/3得点2アシスト

 ハードワークを信条とするセントラルMFながら、超過密日程を物ともせず、リーグ戦全試合に先発出場。しかも途中交代で退いたのは1試合のみで、マッシモ・フィッカデンティ監督のサッカーを司る存在として常にチームの中心を担った。

 J1リーグ戦で全試合に出場するのはキャリア初で、それが過去最も厳しいシーズンだったのは稲垣の充実ぶりをよく物語っている。豊富な運動量で広範囲をカバーし、インターセプト数でも神戸の山口、ガンバ大阪の井手口陽介に次ぐリーグ3番目の「18回」を記録した。

 シーズン終盤、J1第31節の柏レイソル戦では相方の米本拓司とともに相手FWオルンガを封殺。稲垣は12km超えの走行距離を記録し、28得点を挙げて得点王に輝くケニア代表ストライカーをハードマークで抑えこんだ。そしてリーグ戦を3位で終えた名古屋は9年ぶりのACL出場権を獲得している。

ガンバの超逸材が完全復活

井手口陽介(ガンバ大阪)
生年月日:1996年8月23日(24歳)
今季リーグ戦成績:26試合出場/4得点3アシスト

 海外移籍をきっかけに本来のパフォーマンスを見失っていた才能の塊が完全復活を遂げた。11月に負傷離脱するまでフル稼働を続け、ガンバ大阪の中盤で圧倒的な存在感を放った。彼がいなければリーグ戦2位フィニッシュは成し遂げられなかっただろう。

 大卒ルーキーながら主力に台頭した山本悠樹とコンビを組み、相方の献身的なサポートを受けながら、井手口はどこにでも顔を出す積極性全開でピッチを駆け回った。時には前線までプレッシングをかけ、ピンチの際はゴール前で体を投げ出して危険の芽を摘み取る。神出鬼没で獅子奮迅な活躍ぶりだった。

 10月と11月の日本代表活動は欧州組のみの招集だったが、今後国内組にも再び門が開かれるならば、2年ぶりとなる復帰も確実に視野に入ってくる。一時の不調を完全に払拭した中盤のハンターは、遠藤保仁が去った宮本ガンバの新たな象徴だ。

オルンガを操るレイソルの10番

江坂任(柏レイソル)
生年月日:1992年5月31日(28歳)
今季リーグ戦成績:32試合出場/9得点9アシスト

 今季は4-2-3-1のトップ下や3-4-2-1の2シャドーの一角で自由を与えられ、持ち前の攻撃センスがフルに発揮された。エースFWオルンガとの相性もよく、リーグ戦9得点9アシストと多くのゴールシーンに絡む活躍で絶対的な地位を築いた。

 以前まではドリブルにこだわる傾向があり、球離れの悪さを指摘されることもあったが、トップ下でボールに触ると抜群のパスセンスも炸裂。サイドに走る味方へピタリと合わせるロングパスや、オルンガへの正確なラストパスが攻撃を加速させていたのは間違いない。

 味方を的確に使う能力を発揮したことで、もともとの武器だった単独突破の威力も増し、守備にも献身的で言うことなし。扱いづらい癖のある選手という評価を見事に覆し、プロキャリア最高のシーズンを過ごした。