清水エスパルスに加入することが発表された日本代表GK権田修一は、28日にオンラインでの入団会見に臨んだ。

 ポルトガル1部のポルティモネンセから1年間の期限付き移籍で3シーズンぶりのJリーグ復帰を果たす守護神は、「僕だけの力ではなくて、チームメイトみんなに影響を与えながら、うまいチームではなく、強くて勝てるチーム、1試合だけでなく何試合でも勝ち続けられるようなチームになっていけばいいと思っています」と新天地での意気込みを語った。

 2020/21シーズンは若手GKを積極的に起用する方針を打ち出していたポルティモネンセで出番を得られず、公式戦での出場機会はゼロ。10月と11月の日本代表活動で1試合ずつピッチに立ったのみと、苦しい状況が続いていた。

 昨季は後半戦にリーグ戦14試合に出場していたものの、ポルティモネンセに在籍していた2年間は控えとして過ごす時期の方が長かった。そして今季の立場の変化によって、移籍を検討したという。

「やっぱりサッカー選手である以上は、試合に出なければ意味がないと本当に感じていて、僕自身もポルティモネンセでの約2年間はほぼ試合に出られていないんですね。監督が代わった時にクラブの意向で使ってもらったことはありましたけど、正直自分の実力で、この2年間でポジションをつかめた感覚は一切なくて。

ヨーロッパは『競争が激しい』という言い方が一番きれいかもしれないですけれど、どんどん後から選手が出てくるような、僕がダメだと思ったら次の選手を獲得する厳しいところです。僕自身もそこで勝ち残っていかなければならないんですけど、それがなかなか難しいとなった時に、時間を無駄にしたくなかった」

 ただ、「ヨーロッパでダメだったから日本に戻ってきた」という感覚ではないという。むしろ試合に出場する回数を増やすことで、ヨーロッパでベンチを温めていた時期を上回る成長を示し、選手としての価値を高めることが、今回のエスパルス移籍の大きな理由のようだ。

「サブにいる1年間を過ごすよりも、エスパルスで試合に出て、1年後にどれくらい自分がレベルアップしているかでまた勝負する方がよっぽどいいのかなと、自分にプラスなのかなと思いました。いま1年と言っているのは、契約が今のところ期限付き移籍の1年間だから。ただ、ポルティモネンセは僕がこうやって出る(移籍する)ということは、次の選手を間違いなく獲りますし、ポルティモネンセに戻れる可能性があるとは僕自身思っていません。

1年後にヨーロッパの他のクラブが獲ってくれる、もしくはエスパルスが1年後に『やっぱり必要だから』と、また僕にオファーをくれる、そういう状況を作れるかどうかは自分しだい。ベンチに座っている時間よりも、試合に出て、『自分がこれくらいできるんだ』と、しっかり自信を持ってできるようなことをしたいなと思って、今回移籍を決断しました」

 移籍先にエスパルスを選んだのは、FC東京時代に師事した大熊清GMの存在があったからこそ。「僕にオファーするまでのスピード感が考えられないくらい早かった。そういうところで本気で僕のことを欲しがってくれているんだなというのを感じられました」と権田は語る。

 選手本人が「本当に熱心で、こんなに早く(オファーが)形になるんだというスピード感」と驚くほどの仕事ぶりで、エスパルスがいち早く正式オファーを提示。31歳の日本代表守護神は「人間的に本当に信頼できる方だと思ってずっと接していて、今回も大熊さんだからこそオファーを受け入れたというところがあるくらい」と大熊GMへの信頼を強調した。

「エスパルスを勝たせるために呼ばれたと思っている」と覚悟の移籍だ。2020シーズンに台頭した梅田透吾らライバルもおり、ミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督の就任で新シーズンは横一線から競争がスタートする。

 新型コロナウイルスの影響が拭えないなか、声を出しての応援などに制限はある。だからこそ「応援しているエスパルスの順位がいいことが、(ファン・サポーターの)皆さんにとっての一番いいファンサービスになるのかなと思う」と、権田は言う。そして「エスパルスを応援していることを皆さんが誇れるようなチームになるように、精一杯やっていこうと思っている」と、新天地での挑戦に向けて決意を新たにしていた。

(取材・文:舩木渉)