セレッソ生え抜きの象徴

 Jリーグを応援するサポーターにとって、シーズンオフは一喜一憂する日々が続く。来る2021年シーズンに向け、選手の退団や加入が連日のように発表されている。フットボールチャンネルでは、新天地で新たなシーズンを迎える注目選手を複数回にわたって紹介していく。

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FW:柿谷曜一朗(かきたに・よういちろう)
生年月日:1990年1月3日(31歳)
2020リーグ戦成績:24試合出場/1得点1アシスト
所属クラブ:セレッソ大阪→名古屋グランパス

 セレッソ大阪の象徴である背番号8を託されていた生え抜きプレーヤーが、ついに移籍を決断した。これまでも宿敵・ガンバ大阪行きなどが報じられたことはあったが、新天地は名古屋グランパスに決まっている。

 日本代表歴もある実力者だが、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のもとでは力を発揮しきれなかった。緻密な戦術になかなか馴染めず、2019年から2020年にかけて出場試合数こそ増えたものの、出場時間は半分以下に。セレッソは柿谷のこともよく知るレヴィー・クルピ監督の再任を発表しているものの、新たな活躍の場を欲していたようだ。

 グランパスはマッシモ・フィッカデンティ監督の率いられ、2021シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得している。まずはこれまでと一変して守備に重心を置くマッシモ戦術に適応し、アジアの舞台でも豊富な経験と技術の高さを見せつけたいところだ。

シュートで壁をぶち破れ

FW:町野修斗(まちの・しゅうと)
生年月日:1999年9月30日(21歳)
2020リーグ戦成績:32試合出場/7得点8アシスト
所属クラブ:ギラヴァンツ北九州→湘南ベルマーレ

 履正社高校から横浜F・マリノスに加入して1年目の2018年は、リーグ戦で一度もベンチ入りすらできず。プロの壁にぶち当たった。フィジカル面でも技術面でもJ1のレベルに達していない厳しい現実を突きつけられ、2019年は当時J3のギラヴァンツ北九州へ期限付き移籍することとなる。

 すると武者修行先で小林伸二監督に鍛えられ、飛躍のきっかけをつかむ。2019年は後半戦にレギュラー定着を果たすと、8得点でチーム内得点王に。北九州のJ3優勝&J2昇格にも貢献した。そして2020年からは完全移籍に切り替わった。

 自身初のJ2参戦となった2020年は、前半戦だけで7得点7アシストを記録した。その後はわずか1ゴールのみにとどまり、後半戦は大ブレーキ。J2第36節以降は2試合の途中出場しかなく、ポジションも失っていた。

 ところがオフに湘南ベルマーレへの完全移籍が発表され、J1へ舞い戻ることに。北九州はJ1昇格を逃したが、清水エスパルス移籍が決まった相棒のディサロ燦シルヴァーノとともに個人昇格を果たした。3年ぶりのJ1では北九州での経験を生かして成長速度を上げ、年間通してゴールネットを揺らし続けるだけでなく前線の核としての幅広い活躍が期待される。

四日市南SSCの先輩と共演へ

DF:岩田智輝(いわた・ともき)
生年月日:1997年4月7日(23歳)
2020リーグ戦成績:30試合出場/2得点2アシスト
所属クラブ:大分トリニータ→横浜F・マリノス

 大分トリニータの生え抜きで、すでにJリーグ通算100試合以上に出場している。片野坂知宏監督には3バックの右で重用され、J1で2シーズンにわたって主力を担った。そして東京五輪を目指す森保ジャパンには立ち上げ当時から招集され、2019年にはコパ・アメリカでA代表デビューも飾っている。

 今回は中学時代から過ごした大分を出る初めての移籍で、2019年のJ1リーグ優勝クラブである横浜F・マリノスの門を叩く。4バックなら同じ四日市南SSC出身の先輩、松原健と右サイドバックのポジションを争うことになるだろうか。

 アンジェ・ポステコグルー監督の構想のなかでは3バックの導入や、4バックを継続して岩田はセンターバックで起用することも見えているのかもしれない。いずれにしろ使い方の幅が広く、将来性も豊かな頼もしい選手がマリノスのディフェンスラインに加わった。

国内主要タイトルを全て持つ仕事人DF

DF:ファン・ソッコ
生年月日:1989年6月27日(31歳)
2020リーグ戦成績:19試合出場/2得点1アシスト
所属クラブ:清水エスパルス→サガン鳥栖

 ファン・ソッコにとってサガン鳥栖は、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ、清水エスパルスに続く4つ目のJクラブとなる。韓国代表歴こそあるものの母国でのプロ経験はなく、日本や中国でキャリアを築いてきた。

 広島時代は両ウィングバックの控えで、鹿島移籍からセンターバックとしての出場が増加。清水でも主にセンターバックとしてプレーしていたが、2020年はチーム事情もあって左サイドバックでの起用にも柔軟に応えた。

 J1リーグ優勝3回だけでなく、ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)や天皇杯、FUJI XEROX SUPER CUPと国内の主要タイトル全てを獲得してきたベテランは、守備のマルチロールとして非常に頼りになる。新天地では原輝綺の清水移籍によって大きな穴が空いたセンターバックが主戦場になるだろうか。身体能力の高さを活かしたアグレッシブな守備で鳥栖のディフェンスラインを引き締めてくれるはずだ。

まさに天才、ここにあり

MF:小塚和季(こづか・かずき)
生年月日:1994年8月2日(26歳)
2020リーグ戦成績:8試合出場/1得点1アシスト
所属クラブ:大分トリニータ→川崎フロンターレ

「天才」という言葉が彼ほど似合う選手はなかなかいない。ボールを扱う技術に関しては日本でもトップクラスの実力の持ち主で、なでるような柔らかいコントロールから、意外性のあるラストパスを次々に繰り出すファンタジスタだ。

 帝京長岡高校時代からテクニシャンとして注目を集めたものの、プロ入り後はなかなかJ1の舞台に定着できず。J2のレノファ山口では絶対的な司令塔として卓越したプレービジョンを随所に発揮していたが、レンタル元のアルビレックス新潟では輝けず。大分トリニータでも加入1年目の2019年こそレギュラーとしてリーグ戦31試合に出場したものの、2年目の2020年はわずか8試合の出場にとどまった。

 そんな状況でチャンピオンチームへ移籍することに疑問を持つ者もいるかもしれない。だが、相手の逆を取る技術や、意表を突くパスセンス、広い視野、プレッシャー下でもブレないボールコントロールの繊細さなどは川崎フロンターレにうってつけだ。プレースタイルを最大限に活かせるであろう環境に身を置いた時、「天才」がどんな輝きを放つか楽しみでしかない。