ポポヴィッチ監督の愛弟子

 Jリーグの各クラブは2月下旬の開幕に向けて、準備を進めている。新たに加入する選手もいれば、古巣に別れを告げて新たなチームへと移籍する選手もいる。今回フットボールチャンネルでは、新天地で新たなシーズンを迎えるJ2の注目選手を複数回にわたって紹介していく。

———–

MF:長谷川アーリアジャスール(はせがわ・あーりあじゃすーる)
生年月日:1988年10月29日(32歳)
2020リーグ戦成績:0試合出場/0得点0アシスト
所属クラブ:名古屋グランパス→FC町田ゼルビア

 2018年に大宮アルディージャから名古屋グランパスへ移籍し、2019年はリーグ戦30試合に出場した。しかし、2020年はシーズン開幕前の1月に右脛骨を骨折してしまい長期離脱。プロキャリアで初めて公式戦出場ゼロに終わった。

 新シーズンはJ2のFC町田ゼルビアに活躍の場を移す。指揮をとるのは長谷川にとって恩師でもあるランコ・ポポヴィッチ監督だ。2人はFC東京やセレッソ大阪、スペイン2部のレアル・サラゴサでもともに仕事をした経験があり、同じクラブに在籍するのは4度目になる。

 相思相愛の師弟関係はJ1昇格を目指すクラブに何をもたらすだろうか。中盤から前のポジションをどこでも器用にこなすベテランは、コンディションさえ万全であればJ2でも屈指のクオリティを発揮してくれるはずだ。

全身全霊のエンターテイナー

FW:三平和司(みつひら・かずし)
生年月日:1988年1月13日(33歳)
2020リーグ戦成績:18試合出場/3得点1アシスト
所属クラブ:大分トリニータ→ヴァンフォーレ甲府

 昨季限りで大分トリニータを契約満了となり退団。新天地はJ2のヴァンフォーレ甲府に決まった。大分には通算8シーズン在籍し、J3からJ2、J1へと昇格する過程にも大きく貢献。ファン・サポーターからの人気も絶大だった。

 ピッチ内では常にハードワークを欠かさず、前線からプレッシングや味方のためのスペース作りに勤しむ。そして、ピッチ外でも全身全霊でムードメーカーに徹し、チームを盛り立てる。明るい性格と軽快なトークは大きな武器だ。

 甲府でもすでに人気が出始めている。加入直後からクラブ公式SNSには高頻度で三平が登場し、抱腹絶倒の爆笑ネタをいくつも提供してきた。新シーズンはピッチ内でJ1昇格に貢献するとともに、ピッチ外でもエンターテイナーぶりを存分に発揮しまくってJリーグを盛り上げてもらいたいところだ。彼曰く「行き過ぎたらスベっても大丈夫」らしいので。

新天地で恩師と再会

DF:渡部博文(わたなべ・ひろふみ)
生年月日:1987年7月7日(33歳)
2020リーグ戦成績:15試合出場/0得点0アシスト
所属クラブ:ヴィッセル神戸→レノファ山口FC

 Jリーグ屈指のイケメンセンターバックだ。昨季まではヴィッセル神戸でプレーしていたが、急速に台頭した菊池流帆やベルギー代表のトーマス・フェルマーレン、ブラジル人のダンクレーなどに阻まれて出場時間を伸ばせず。契約満了とともに退団し、レノファ山口に新天地を求めた。

 2010年に柏レイソルでプロとなり、2011年の栃木SCへのレンタル移籍を挟んで、2014年まで柏でプレー。2015年から2年間はベガルタ仙台で主力を担い、神戸では2017年から4シーズンにわたってプレーした。

 最大の武器は長身と跳躍力を生かしたヘディングの強さだ。レノファでは仙台時代に指導を受けた渡邉晋監督と再会することになる。自身を重用してくれた恩師のもとで「今まで積み上げた経験を還元し、常に挑戦する気持ちで、チームに必ず貢献します」と意気込む。

水戸で覚醒した快足アタッカー

FW:山口一真(やまぐち・かずま)
生年月日:1996年1月17日(25歳)
2020リーグ戦成績:35試合出場/15得点8アシスト
所属クラブ:水戸ホーリーホック(※期限付き移籍期間満了)→鹿島アントラーズ→松本山雅FC

 昨季は鹿島アントラーズからのレンタル移籍で水戸ホーリーホックに所属し、キャリア最高の1年を過ごした。J2リーグ戦で35試合に出場し15得点を挙げ、アシストも8つ記録。背番号10の責任をきっちりと果たした。

 しかし、シーズン終盤に左ひざの前十字じん帯損傷および左ひざの外側側副じん帯損傷という大怪我を負ってしまっていた。それでも今季は鹿島から松本山雅FCに完全移籍。加入時には「左ひざの大怪我をしている自分に声を掛けてくれた松本山雅に心から感謝しています」とコメントした。

 新天地デビューはしばらくお預けだが、持ち味のスピードと決定力は松本の大きな武器となるに違いない。自身は長野県佐久市出身で、両親や親戚も皆長野県出身という縁もあり「松本山雅という多くのサポーターが応援してくださるクラブで、たくさんのゴールを決め、皆さんに喜びを与えられるような選手になることが目標」と語る。「自信をなくしていた」にもかかわらず信頼しチャンスを与えてくれた水戸への感謝も忘れない。

すべてはチームのために

FW:大津祐樹(おおつ・ゆうき)
生年月日:1990年3月24日(30歳)
2020リーグ戦成績:12試合出場/0得点0アシスト
所属クラブ:横浜F・マリノス→ジュビロ磐田

 昨季は過密日程のなかでローテーションを徹底した横浜F・マリノスにおいて、先発出場の機会がほとんど与えられなかった。それでもチームのムードメーカーとして腐ることなく全力を尽くし続けたことが評価されて残留の選択肢もあったが、ジュビロ磐田で新たな挑戦に踏み出すことを決断した。

 柏レイソルで過ごした若手時代のような超絶技巧を駆使したドリブルは鳴りを潜めて久しいが、チームの勝利のために愚直に体を張るハードワーカーへと変貌を遂げた。中盤から前線まで与えられた役割を忠実にこなす。

 コロナ禍においては先頭に立ってマリノスの選手たちをまとめ、大規模なオンラインイベントを企画するなど重要な先行事例を作るのに一役買った。後輩たちから慕われる兄貴肌で、ピッチ外でもクラブに貢献するため積極的に動く。ジュビロでもどんどん新しいものにチャレンジし、面白いことを仕掛けてくれるに違いない。