JFLから2年でJ1王者へ

明治安田生命Jリーグの各クラブは、2021シーズンの開幕に向けて準備を進めている。昨シーズン覇者の川崎フロンターレは、8人の新加入選手を迎えた。今回フットボールチャンネルでは、新天地での活躍が期待される5人の新戦力を紹介する。
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FW:遠野大弥(とおの・だいや/背番号19)
生年月日:1999年3月14日(21歳)
前所属:アビスパ福岡
2020リーグ戦成績:41試合11得点

 昨シーズン、川崎フロンターレ加入とともにアビスパ福岡に期限付き移籍した遠野大弥は、1年で川崎F復帰を果たした。昨季はチームトップの11得点をマークし、福岡を5年ぶりのJ1昇格へと導いている。

 静岡県出身の遠野は、藤枝明誠高校卒業と同時にホンダに入社し、社業の傍らHONDA FCでプレーしている。JFLで9得点を挙げた3年目、チームは天皇杯でベスト8に進出。遠野は北海道コンサドーレ札幌戦で2得点、徳島ヴォルティス戦でもゴールを決め、Jリーグ挑戦のチャンスを掴んだ。

 身長165cmと小柄だが、細かいタッチのドリブルで相手のDFを剥がしていく。アジリティに優れており、狭いエリアでボールを受けて素早いターンで前を向いてチャンスへとつなげていく。自身にとってはJ1初挑戦となるが、J1王者の攻撃陣のアクセントになる素質を秘めている。

<h2>フィジカル系MF

MF:塚川孝輝(つかがわ・こうき/背番号3)
生年月日:1994年7月16日(26歳)
前所属:松本山雅
2020リーグ戦成績:29試合9得点

 J2での実績豊富なMFが川崎フロンターレに加わった。塚川孝輝はこれまでファジアーノ岡山、松本山雅、FC岐阜でプレーし、J2では通算114試合に出場している。

 松本では様々なポジションで起用されたが、川崎Fでは中盤の3つのポジションを争うことになるだろう。当たり負けしないフィジカルと得点源にもなる空中戦の強さは、チームメイトにない特徴。昨季はチームトップの9得点を挙げた得点力の高さも大きな武器になるだろう。

 川崎Fはオフに流通経済大学の1学年後輩の守田英正がポルトガルに渡り、中村憲剛が現役引退。2人の中心選手が抜けたが、小塚和季やジョアン・シミッチを獲得している。松本時代とは異なるスタイルにどのように適応するかが活躍のカギを握るだろう。

<h2>ブラジル育ちの司令塔

MF:ジョアン・シミッチ(ブラジル出身/背番号6)
生年月日:1993年5月19日(27歳)
前所属:名古屋グランパス
2020リーグ戦成績:24試合1得点

 中村憲剛が昨季限りで現役引退し、守田英正がポルトガルに渡った。バンディエラとチームの軸を失った川崎フロンターレは、Jリーグの経験もあるセントラルMFをチームに加えている。

 ジョアン・シミッチはブラジルの名門サンパウロの下部組織出身で、世代別のブラジル代表ではアリソン(リバプール)やアデミウソン(元ガンバ大阪)とプレーした経験を持つ。アタランタ(イタリア)では出場機会を得られなかったが、リオ・アヴェ(ポルトガル)での活躍を経て、19年から名古屋グランパスでプレーしている。

 広い視野とテクニックに加え、左足の正確なキックを持っている。ボール奪取能力も高く、183cmの体躯は空中戦でも強さを見せる。スピードのなさは玉に瑕となるが、川崎Fのスタイルでは大きな穴とはならないだろう。連覇を目指すうえでシミッチの存在が重要になることは間違いない。

<h2>高校日本一の右SB

DF:田邉秀斗(たなべ・しゅうと/背番号30)
生年月日:2002年5月5日(18歳)
前所属:静岡学園高校
2020リーグ戦成績:―

 唯一の高卒ルーキーとして川崎フロンターレが獲得したのが田邉秀斗。Jリーグの育成組織とは無縁で、昨年度の全国高校サッカー選手権では右サイドバックのレギュラーとして静岡学園の初の単独優勝に貢献。昨年8月、今季からの川崎F加入が内定した。

 高い身体能力が最大の武器だ。180cmの体躯はサイドバックとしては大柄で、スピードを活かした積極的なオーバーラップは静学のスタイルとも相まって存在感を発揮していた。右サイドバックだけでなく、センターバックや左サイドバックもできる万能性はプロの世界でも活かされるだろう。

 昨季の川崎Fは山根視来が右サイドバックに定着し、ベストイレブンに選出される活躍を見せた。DFラインには錚々たる顔ぶれが並ぶが、カップ戦などから地道にチャンスを活かしていけば、近い将来にレギュラーに食い込めるだけの将来性を秘めている。

<h2>中村憲剛の後釜に?

MF:小塚和季(こづか・かずき/背番号17)
生年月日:1994年8月2日(26歳)
前所属:大分トリニータ
2020リーグ戦成績:8試合1得点

 中村憲剛が昨季限りで引退した川崎フロンターレに、大分トリニータで背番号14を背負ったMFが加入した。昨季は8試合の出場に留まったが、大分に移籍した2019シーズンは33試合に出場してチームのJ1残留に貢献している。

 中村と同じように、1本のパスで試合を変えることができる選手だ。正確なボールタッチと非凡なパスセンスを持ち、創造性あふれるパスでチャンスを作り出す。チームメイトとなった大島僚太や田中碧にも劣らない足下の技術を持っている。

 川崎Fの中盤には昨季の主力だった脇坂泰斗、大島、田中が君臨。新加入のジョアン・シミッチや塚川孝輝らがポジションを争う。4試合増えたリーグ戦に加え、AFCチャンピオンズリーグも控える今季は、小塚の活躍がチームの浮沈に影響するかもしれない。

【了】