トップ昇格1年目で違いを見せた男

 明治安田生命Jリーグの各クラブは、2021シーズンの開幕に向けて準備を進めている。昨季のJ2リーグ戦を1位で終えた徳島ヴォルティスは、レンタルからの復帰組も含め9人の新加入選手を迎えた。フットボールチャンネルでは、その新戦力たちの中から新天地での活躍が期待される5人を紹介する。

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MF:藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・ちま/背番号13)
生年月日:2002年2月16日(18歳)
前所属:東京ヴェルディ
2020リーグ戦成績:41試合出場/3得点4アシスト

 ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれた藤田譲瑠チマは、2020シーズンより東京ヴェルディのトップチーム昇格を果たしたばかりだった。しかし、開幕からフル出場を果たすと、以降も出場機会を確保。最終的にJ2で41試合に出場し、3得点4アシストを記録するなどMVP級の輝きを放った。

 当初は不安定だったプレーが試合を重ねるごとに逞しくなるなど、とにかく成長速度が凄まじい。無尽蔵のスタミナと身体を張った守備、そして攻撃を加速させる縦パスも冴えるなど、あらゆる場面における存在感は確かなものがある。また、18歳ながらリーダーシップに優れる点も大きな魅力だ。

 徳島ヴォルティスの基本布陣は4-2-3-1が予想される。その中で藤田は、ダブルボランチの一角を務めることになるだろう。ただ、このポジションには昨季のJ2優勝を支えた岩尾憲と小西雄大という主力選手がいる。将来有望なMFがその両者に負けず、レギュラーを奪い取れるかどうか注目だ。

王者・川崎Fからやって来た若きFW

FW:宮代大聖(みやしろ・たいせい/背番号11)
生年月日:2000年5月26日(20歳)
前所属:川崎フロンターレ
2020リーグ戦成績:16試合出場/1得点2アシスト

 小学校3年次から川崎フロンターレのアカデミーで育ち、クラブ史上初となる高校3年生でプロ契約を勝ち取った期待のヤングプレーヤーだ。ストロングポイントは右足の強烈なシュートで、ペナルティーエリア内における駆け引きも得意としている。ちなみに憧れはロベルト・レバンドフスキだ。

 レノファ山口への期限付き移籍を終え川崎Fに復帰した昨季はJ1初出場を飾り、第15節ヴィッセル神戸戦では嬉しいJ1初ゴールも記録した。しかし、シーズン全体を見ればほとんどが途中出場で、リーグ戦プレータイムはわずか296分。選手層の厚いJ1王者でインパクトを残せたとは言い難かった。

 そんな宮代大聖は自身のさらなる成長のために、2021シーズンは徳島ヴォルティスにプレーの場を移すことを決断している。本職はセンターフォワードだが、川崎Fでは左右両サイドでのプレーも経験したため、新天地でも最前線だけでなく、2列目での起用も増えるだろう。結果を残せるか。

お手本はイニエスタ

MF:クリスティアン・バットッキオ(アルゼンチン出身/背番号38)
生年月日:1992年2月10日(29歳)
前所属:スタッド・ブレスト(フランス)
20/21リーグ戦成績:15試合出場/0得点0アシスト

 29歳のMFはリオネル・メッシと同じアルゼンチン・サンタフェ州ロサリオ出身で、これまでにウディネーゼやワトフォード、スタッド・ブレストなどのクラブでプレーしてきた。なお、出身はアルゼンチンだが祖父母がイタリア出身であり、国籍はイタリア。年代別イタリア代表での出場歴もある。

 169cmと小柄な選手だが足元の技術に優れており、巧みなパスやミドルシュートで存在感を放つことが可能。過去にFIGC(イタリアサッカー連盟)の公式サイトに掲載されたインタビューではロールモデルがアンドレス・イニエスタで、ガゴやアンドレア・ピルロからも刺激を受けたと話している。

 そんな小柄なMFはインサイドハーフにボランチ、トップ下、そしてサイドと、中盤ならどこでもプレー可能という柔軟性も持つ。徳島ヴォルティスではどこで起用されるか定かではないが、いずれにしても複数ポジションを担える存在はチームにとって大きい。J1残留への起爆剤となるだろうか。

徳島の未来を照らし得る太陽

FW:西野太陽(にしの・たいよう/背番号39)
生年月日:2002年8月10日(18歳)
前所属:京都橘高校
2020リーグ戦成績:−

 徳島県出身で、徳島ヴォルティスのジュニアユースでプレーした経歴を持っている。高校は京都橘へ進学し、今冬の全国高校サッカー選手権にも出場。埼玉・NACK5スタジアム大宮で行われた1回戦、松本国際高校(長野)との一戦では2ゴールをマークし、チームの6-0大勝に大きく貢献していた。

 西野太陽は身長180cmとセンターフォワードとしては十分な体格を誇っているが、相手ディフェンスライン裏への抜け出しから一気に得点を奪うことができるなど、スピードも兼ね備えている。また、ゴール前における引き出しの多さも魅力と、実に万能なストライカーだと言えそうだ。

 徳島でもメインポジションは最前線ということになるだろう。昨季チーム得点王の垣田裕暉、ベテランの佐藤晃大、9番を背負う河田篤秀、新加入の宮代大聖などライバルは多く、出場時間はそう多くないかもしれないが、チャンスの機会は訪れるはず。その中でしっかりと存在をアピールしたい。

ポグバのような長身MF

MF:大森博(おおもり・ひろし/背番号32)
生年月日:2002年9月10日(18歳)
前所属:修徳高校
2020リーグ戦成績:−

 修徳高校1年次にU-16日本代表候補に選出され名を上げたMFで、昨年10月に徳島ヴォルティスへの加入内定を掴み取っていた。そんな大森博はクラブ公式サイトを通じ「幼い頃からの目標であったプロサッカー選手のキャリアを徳島でスタートすることができ、大変嬉しく思います」と話している。

 主戦場はボランチ。同ポジションを務める日本人選手は小柄なタイプが多いが、大森は186cmと世界基準の長身を誇っている。ただその体格に頼り切ることはまったくなく、ドリブルやパスが冴えるなど足元の技術がハイレベル。有名選手で例えるならポール・ポグバのような存在だと言える。

 徳島では岩尾憲、小西雄大、藤田譲瑠チマ、鈴木徳真といった実力者たちと定位置を争うことになる。プロ1年目で彼らを上回ることは容易ではないが、どこまでプレッシャーを与えることができるか。日本サッカー界にとっても大きなプラスとなり得るだけに、大型MFの成長に期待したい。