山梨育ちのセンターバック

 明治安田生命Jリーグの各クラブは、2021シーズンの開幕に向けて準備を進めている。昨季のリーグ戦を8位で終えたサンフレッチェ広島は、5人の新加入選手を迎えた。フットボールチャンネルでは、新天地での活躍が期待される5人を紹介する。

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DF:今津佑太(いまづ・ゆうた/背番号33)
生年月日:1995年7月8日(25歳)
前所属: ヴァンフォーレ甲府
2020リーグ戦成績:36試合出場/2得点0アシスト

 山梨県南アルプス市出身で、中学時代までは県内でプレー。流通経済大学付属柏高校に進学し、流通経済大学を経て、故郷の山梨県でプロになった。負傷などの影響によりプロ入り内定をもらうのが遅く、大学卒業直前だった2018年のプレシーズンキャンプに参加してヴァンフォーレ甲府に加入することが決まった。

 1年目からJ2でリーグ戦24試合に出場したものの、2年目はわずか5試合。3年目の2020年に36試合出場2得点と安定した成績を残し、サンフレッチェ広島移籍を勝ち取った。浮き沈みの大きい3年間を過ごしてきたが、努力が実って自身初のJ1参戦のチャンスをつかんでいる。

 広島では野上結貴、荒木隼人、佐々木翔という3人が不動のディフェンスラインを形成している。新シーズンに向けて4バックをテストしているという報道もあるが、新加入の今津はまず実績豊富な彼らとのポジション争いに挑んでセンターバックでの定位置獲得を目指すことになる。

チームを鼓舞する縁の下の力持ち

GK:川浪吾郎(かわなみ・ごろう/背番号22)
生年月日:1991年4月31日(29歳)
前所属: ベガルタ仙台
2020リーグ戦成績:0試合出場/0失点

 プロキャリアの大半を控えGKとして過ごしてきた縁の下の力持ちだ。柏レイソルのアカデミー出身で、2010年にトップチーム昇格を果たす。2011年の後半戦にFC岐阜へ期限付き移籍したのを皮切りに、2013年以降は徳島ヴォルティス、アルビレックス新潟、ベガルタ仙台を渡り歩いてきた。

 レイソルでトップチームに昇格してからの11年間でリーグ戦出場は17試合しかないが、2014年以降はずっとJ1クラブに在籍し続けている。有事に備える控えGKとしての役割のみならず、常に腐らず努力を続けてチームを盛り上げるムードメーカーとしての働きも高く評価されている証拠だろう。常にフォア・ザ・チームを体現する人格者だ。

 広島では東京五輪世代の主戦GK大迫敬介と、38歳のベテランGK林卓人が激しいポジション争いを繰り広げている。昨季は前者がリーグ戦15試合、後者が同19試合でゴールマウスを守った。川浪は彼らを支える第3GKとして控えることになりそうだ。

マリノスで覚醒したMr.理不尽

FW:ジュニオール・サントス(じゅにおーる・さんとす/背番号37)
生年月日:1994年10月11日(26歳)
前所属: 横浜F・マリノス(※期限付き移籍期間満了)→柏レイソル
2020リーグ戦成績:22試合出場/13得点0アシスト(横浜F・マリノス)
2020リーグ戦成績:1試合出場/0得点0アシスト(柏レイソル)

 柏レイソルでは全くといっていいほど出番がなく、オルンガらの陰に隠れた存在だった。しかし、昨季途中に横浜F・マリノスへ期限付き移籍すると水を得た魚のように大活躍。リーグ戦22試合で13得点を挙げてブレイクを果たした。

 ブラジル時代にプロクラブのアカデミーに所属した経験がなく、守備における周りとの連動やポジショニングなど戦術的な細かい動きはあまり得意ではない。それでも驚異的な身体能力とテクニックの融合した突破力と豪快なフィニッシュを武器にJリーグのDFたちを蹂躙した。荒削りだが、個の力のみで何もないところから突然ゴールを生み出せる理不尽さはオルンガに匹敵するものがあった。

 マリノスへの期限付き移籍期間は昨季終了とともに満了を迎え、今季は保有権を持っていたレイソルからサンフレッチェ広島へ完全移籍。レアンドロ・ペレイラがガンバ大阪へ移籍した穴を埋める活躍が期待される。新天地でもゴール前で暴れまわる姿が見られるに違いない。

左サイドのミキッチ

MF:藤井智也(ふじい・ともや/背番号15)
生年月日:1998年12月4日(22歳)
前所属: 立命館大学
2020リーグ戦成績:15試合出場/0得点0アシスト

 岐阜県の進学校出身で高校時代までは全くの無名選手だったが、立命館大学で台頭して注目を浴びた。3年次の2019年には関西学生サッカーリーグ1部でベストイレブンとアシスト王に輝き、2020年2月に翌シーズンからのサンフレッチェ広島加入内定とJリーグ特別指定選手への指定が発表された。

 2020シーズンは大学生ながらJ1リーグ戦で15試合、YBCルヴァンカップで2試合、公式戦合計17試合に出場して周りと遜色ないプレーを披露。正式加入とともに今季は背番号を「50」から「15」に変更して、実質2年目のシーズンに挑む。

 競争相手は攻守のキーマンである柏好文だろうか。藤井の主戦場は左サイドで、4バックならサイドハーフ、3バックならウィングバックと複数の役割をこなすことができる。抜群のスピードと伸びやかなプレー、積極的に縦へ仕掛ける姿勢はかつて広島で活躍したミキッチを彷彿とさせる。

3年半ぶり復帰のハードワーカー

MF:長沼洋一(ながぬま・よういち/背番号41)
生年月日:1997年4月14日(23歳)
前所属: 愛媛FC(※期限付き移籍から復帰)
2020リーグ戦成績:39試合出場/2得点4アシスト

 2016年にサンフレッチェ広島ユースからトップチームへ昇格するも、1年目は公式戦出場なし。2017年も出番はほとんどなく、シーズン途中からモンテディオ山形へ期限付き移籍した。その後は2018年にFC岐阜、2019年から2年連続で愛媛FCとレンタルを繰り返し、3年半ぶりに広島のユニフォームに袖を通す。

 東京五輪世代の代表には立ち上げ当時から継続的に招集され、複数ポジションをこなすハードワーカーとして重宝されてきた。しかし、J1でチャンスを掴めない年が続いたこともあってか、2020年1月のAFC U-23選手権出場メンバーからは漏れ、五輪出場はやや遠のいた感がある。

 とはいえJ2で着実に実績を積み重ね、愛媛時代は1年目にリーグ戦33試合、2年目の昨季は39試合に出場した。レンタル先での成長や手応えを広島に持ち帰り、持ち前のユーティリティ性とハードワークに磨きをかけて、過去最高レベルのポジション争いに挑む。