5位:ウイングバックの重要性が高い

 サッカーには様々なフォーメーションが存在している。陣形によって様々な特徴があり、同じ並びでも10クラブあれば10通りの戦い方が存在する。今回は、データサイト『Whoscored.com』の集計を元に、欧州5大リーグ(プレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガ、リーグ・アン)で使用されたフォーメーションを分析。最も多く使用されているフォーメーションをランキング形式で紹介する。(データは2月25日時点のもの)

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フォーメーション:3-4-2-1
試合数:182試合
クラブ数:44クラブ
主なクラブ:アタランタ(12試合)、ローマ(22試合)、RBライプツィヒ(8試合)、フランクフルト(12試合)

 3-4-2-1は基本的にピッチ中央に多くの選手を配置することになるので、同エリアで数的優位を作り出しながらポゼッション率を高めたり、スペースを突いた攻撃を仕掛けやすくなるのが特徴だ。また、攻める際はもちろんワントップとツーシャドーの働きがキーとなるが、ウイングバックの存在もかなり重要。3-4-2-1をよく使用するアタランタではロビン・ゴゼンスとハンス・ハテブール、RBライプツィヒではアンヘリーニョといった選手が攻撃面で決定的な仕事を果たすことが多い。

 守備時は基本的に両WBを下げた5バックを形成する。シャドーの選手はそのまま中央に残りながら守備をするケースもあるが、それぞれサイドに回って5-4-1の形を生み出すパターンが多い。「5+4」はよほど左右に揺さぶられない限り、大きく崩れることは少ない。

 弱点は攻から守へ入れ替わった瞬間で、シャドーの選手が求められた守備位置に回り切れないまま相手に前進されてしまうことがしばしば。また、WBの裏、つまり左右センターバックの脇を突かれて崩されてしまうケースも多い。そのため、両WBの運動量はかなり必要となってくる。この部分が弱いと、このフォーメーションは成り立たないと言える。

4位:コンテ・インテルが愛用

フォーメーション:3-5-2
試合数:193試合
クラブ数:33クラブ
主なクラブ:インテル(16試合)、ラツィオ(22試合)、フィオレンティーナ(15試合)、シェフィールド・ユナイテッド(17試合)、

 3-5-2は5位の3-4-2-1と特徴が似ている。攻撃時は中央エリアで数的優位を作りやすくなり、守備時は両ウイングバックを下げた5バックを形成することが基本。仮に1枚が前に出ても、常に4バックが揃っているので、最終ラインに穴が空きにくいというメリットがある。

 前線に常に2枚が残っていることがほとんどなので、カウンターが決まりやすいという面もある。3-5-2を基本としているインテルでは、ロメル・ルカクとラウタロ・マルティネスの2人だけで崩し切ってしまうことが珍しくない。また、同じく3-5-2を多用するジェノアとフィオレンティーナは、リーグ戦においてカウンターで奪った得点がオープンプレーに次ぎ、2番目に多いというデータも出ている。

 弱点は3-4-2-1でも紹介した通り、左右センターバックの脇を突かれる危険性が高いことである。そして、相手サイドバックに対するプレスが曖昧になりやすい点もデメリットだ。また、このフォーメーションにおいてはWBだけでなく、中盤の運動量も相当必要。WBが戻り切れなかったスペースを埋めるだけでなく、ツートップの背後もケアしなければならないからだ。例えばインテルのニコロ・バレッラが高く評価されているのは、攻撃だけでなく、こうした部分の質も高いからに他ならない。

3位:ペップ・シティの基本

フォーメーション:4-3-3
試合数:334試合
クラブ数:56クラブ
主なクラブ:マンチェスター・シティ(15試合)、リバプール(23試合)、レアル・マドリード(17試合)、パリ・サンジェルマン(12試合)

 4-3-3というフォーメーションはよく目にする。現在もマンチェスター・シティを筆頭にレアル・マドリードやリバプールなど、多くのビッグクラブが多用している。

 4-3-3のビルドアップの形は様々だ。両サイドバックを上げ、アンカーを最終ラインに落として3バックを形成したり、片方のSBを絞らせて3バックを作るケースもある。なお、シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督は、SBをセンターバックの前方にポジショニングさせる方法をよく採用している。これは、いわゆる「偽SB」としてすでに多くの人に認知されている。

 このフォーメーションは基本的に各ポジションの選手の距離感が自然と良くなるので、支配率を高めることに適していると言える。また、3トップ+インサイドハーフ+SBと厚みのある攻撃を繰り出しやすく、3トップのため相手最終ラインにプレッシャーを与えやすいというメリットもある。プレミアリーグ第23節、リバプール対シティでは、前者の3トップによるプレッシャーが効き、守護神アリソンのミスを誘発している。

 デメリットはカウンター時にアンカーの脇を使われやすいこと。そして、ウイングとSBの間が広いため、インサイドハーフのカバーが間に合わない場合、サイドで1対1を作られやすいことにある。4-3-3ではバランス力に長けたアンカー、そして豊富な運動量とボールを確実に扱える技術を持つインサイドハーフの選手が必要不可欠と言えるだろう。

2位:堅守アトレティコの代名詞

フォーメーション:4-4-2
試合数:413試合
クラブ数:55クラブ
主なクラブ:アトレティコ・マドリード(7試合)、カディス(18試合)、ユベントス(16試合)、サウサンプトン(25試合)

 4-4-2と言えば、近年ではアトレティコ・マドリードのイメージが強いだろう。また、アンドレア・ピルロ監督率いるユベントスや、南野拓実が所属するサウサンプトンも同フォーメーションを基本としている。

 4-4-2はDF、MF、FWがバランスよく配置されている。守備時は縦ラインの距離感を整えコンパクトな陣形を維持しやすくなるので、とくに中央エリアの危険なスペースを相手に提供する機会を減らすことができる。また、ツートップが前に残ることでカウンターも発動しやすく、サイドハーフが絞ったことで生まれたスペースへセンターフォワードが流れるケースも多い。

 最大のデメリットは縦ラインで選手が被ることが多くなるので、ボールを前進させにくくなるということ。ユベントスを率いるピルロ監督はそれを避けるため、基本的にビルドアップ時には片方のサイドバックを内側に絞らせて3-5-2の形を取っている。

 また、4-4-2は先述した通り中央エリアをコンパクトにしやすくなるメリットがあるが、その分相手のサイドの選手は空きやすくなる。そのため、サイドチェンジなどで揺さぶられた場合はピンチを招きやすくなるという面もある。

1位:最も多く使われているのは…

フォーメーション:4-2-3-1
試合数:571試合
クラブ数:71クラブ
主なクラブ:ミラン(23試合)、バイエルン・ミュンヘン(19試合)、マンチェスター・ユナイテッド(23試合)、マルセイユ(11試合)

 現在、欧州5大リーグで最も多く使われているフォーメーションは4-2-3-1だ。合計試合数は571試合で、2位以下を大きく突き放すぶっちぎりの1位となった。ミランやバイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・ユナイテッドなど、各国リーグで上位につけるチームも愛用している。

 4-2-3-1も4-4-2同様、選手配置のバランスが良く、ピッチ上の各スペースを埋めることができている。選手個々の距離感も良いので攻撃時はボールを動かすことがスムーズになり、守備時はダブルボランチがいることもあり中央を締めることができる。各選手がカバーする範囲も決して広くはないので、過重労働を強いられることもかなり少ない。

 重要なのはトップ下で、ここが機能しないと最前線の選手が孤立したり、サイド攻撃一辺倒になったりしてしまう。ミランにはハカン・チャルハノール、バイエルンにはトーマス・ミュラー、ユナイテッドにはブルーノ・フェルナンデスがいるが、彼らの存在感の大きさはもはや言うまでもない。

 ダブルボランチのバランスも重要だ。二人が前に出過ぎてしまえばセンターバックの前のスペースががら空きとなり、かといって二人が引きすぎると攻撃のサポートが足りなくなったり、前で相手を捕まえられなくなったりする。ここでの連係面の不足は、4-2-3-1を成り立たせる上で決して許されない。