初選出を果たした2人のJリーガー

日本代表は25日に韓国代表と、30日にはモンゴル代表戦と対戦する。国際親善試合そして、カタールワールドカップアジア2次予選を戦う日本代表にはどのようなメンバーが召集されたのか。今回はMFの近況を紹介する。
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MF:江坂任(えさか・あたる)
所属クラブ:柏レイソル
生年月日:1992年5月31日(28歳)
日本代表通算成績:出場なし(初召集)

 柏レイソルの背番号10が、28歳にして初の日本代表選出を果たした。流通経済大学からザスパクサツ群馬、大宮アルディージャを経て18年から柏でプレー。ネルシーニョ監督からも全幅の信頼を得て、柏の攻撃を牽引している。

 トップ下を本職とする司令塔タイプのMFで、左右両足から精度の高いラストパスを送る。昨季まで在籍したオルンガとはホットラインを築き、2人の関係性からゴールを量産した。キープ力やドリブルにも定評があり、守備面でも巧みなポジショニングと豊富な運動量が光る。

 総合力の高い司令塔に成長した江坂は、日本代表で激しいポジション争いに挑むことになる。トップ下にはプレミアリーグで揉まれる南野拓実と、フランクフルトで攻撃を取り仕切る鎌田大地がいる。ただ、今回は堂安律と久保建英がU-24日本代表に選ばれたことでチャンスが生まれた。Jリーグで見せる華麗なテクニックと泥臭い献身性を、日本代表の舞台でも見てみたい。

MF:稲垣祥(いながき・しょう)
所属クラブ:名古屋グランパス
生年月日:1991年12月25日(29歳)
日本代表通算成績:出場なし(初選出)

 セレッソ大阪の原川力が初選出されていたが、20日の湘南ベルマーレ戦で太ももを負傷。開幕6連勝を達成した名古屋グランパスの中盤を支える稲垣祥が、原川に代わって追加召集された。

 マッシモ・フィッカデンティ監督が率いる名古屋において、稲垣の果たす役割は大きい。米本拓司と中盤の底に並び、ピッチの至るところに顔を出す。優れたボール奪取能力と豊富な運動量で、名古屋の潤滑油としてチームを支えている。

 FC東京U-15むさしでプレーし、帝京高校、日本体育大学を経てJリーグに挑戦した。ヴァンフォーレ甲府とサンフレッチェ広島で3年間ずつプレーし、昨季から名古屋へ。プロ8年目の29歳で、今季中のJ1通算200試合出場も可能な位置につけている。今まで世代別の日本代表の経験がほとんどなかった稲垣は、叩き上げで日本代表まで登り詰めている。

<h2>ベルギーとドイツで評価を高める2人

MF:遠藤航(えんどう・わたる)
所属クラブ:シュトゥットガルト(ドイツ)
生年月日:1993年2月9日(28歳)
日本代表通算成績:25試合1得点

 遠藤航はブンデスリーガで注目を集めている。今季1部に復帰したシュトゥットガルトの中盤で不動の地位を築き、リーグトップとなるデュエル勝利数378回をマーク。湘南ベルマーレで培った豊富な運動量や対人守備といった武器を伸ばしつつ、ドイツでは状況判断に磨きをかけている。

 今季はゲームキャプテンを務めるなど、チーム内外から評価を得ている。湘南時代もキャプテンマークを巻いた試合は多く、リオデジャネイロ五輪ではU-23日本代表のキャプテンを務めた。今回の日本代表には、柴崎岳や橋本拳人が不在。MFの中では南野拓実(26試合)に次ぐ25試合に出場している遠藤にはチームを引っ張る活躍が求められる。

MF:伊東純也(いとう・じゅんや)
所属クラブ:ヘンク(ベルギー)
生年月日:1993年3月9日(28歳)
日本代表通算成績:20試合2得点

 ベルギーで躍動する韋駄天が、日本代表の右サイドを制圧する。今季はここまでリーグ5位の8アシストを挙げ、現地時間19日に行われたスタンダール・リエージュ戦では2得点をマーク。Jリーグ時代も含めてキャリア初となる2ケタ得点を達成している。

 最大の武器は相手を一瞬で置き去りにするスピードだが、プレーの幅は年々広がっている。周囲との関係性の中で活かす側に回ることもでき、右サイドのカットインから左足でゴールを狙うこともできる。ゴール前での冷静な判断が、ゴール量産につながっている。

 今回はJリーグで活躍するセレッソ大阪の坂元達裕が初めて選出された。坂元は左利きの右ウイングで、伊東とは異なる特徴を持っている。堂安律と久保建英がU-24日本代表に参加するため、伊東には中心選手としての活躍が期待される。

<h2>遠藤航の相棒候補はこの2人

MF:守田英正(もりた・ひでまさ)
所属クラブ:CDサンタ・クララ(ポルトガル)
生年月日:1995年5月10日
日本代表通算成績:3試合0得点

 川崎フロンターレをJリーグ制覇に導いたMFが、ポルトガルで逞しさを増して日本代表に戻ってくる。流通経済大学から2018年に加入すると、シーズン中盤からレギュラーに定着。昨季は4-3-3のアンカーで高い対人能力と的確な配球能力を発揮し、ポルトガル移籍を実現させている。

 CDサンタ・クララではデビュー戦でいきなりゴールを決めた。すぐにレギュラーに定着し、中盤の底で高い能力を発揮。川崎とは異なるチームのスタイルにも適応する引き出しの多さを見せている。

 ポゼッション時の味方と繋がる能力や、展開力の高さには定評があり、DFラインの前における対人守備能力も高い。今回は酒井宏樹と室屋成が不在のため、サイドバックとしてプレーする機会があるかもしれない。複数のポジションでプレーできるユーティリティ性も守田の魅力の1つである。

MF:川辺駿(かわべ・はやお)
所属クラブ:サンフレッチェ広島
生年月日:1995年9月8日(25歳)
日本代表通算成績:出場なし(初選出)

 サンフレッチェ広島のゲームメイカーが日本代表に初めて選ばれた。広島のユース出身で、17歳のときにプロ契約を結んでいる。世代別の日本代表でもプレー経験があるものの、U-20ワールドカップは本大会出場権を逃した。世界の舞台を踏んだ経験はないが、A代表でその切符を掴むためのスタートラインに立っている。

 広島での最初の2年間は出場機会をほとんど得られなかったが、ジュビロ磐田への期限付き移籍が転機となる。稀代のゲームメイカー、名波浩監督の下でポテンシャルは徐々に花開き、17年にはJ1で32試合に出場。磐田での3年を経て18年に広島に戻ってくると、城福浩監督の下で欠かせない存在へと成長している。

 昨季から森崎和幸や風間八宏が背負った背番号8を背負い、今季からは副キャプテンを務める。3列目からの飛び出しや広い視野を活かした展開力が魅力。サイドハーフや2列目でプレーした経験は、攻撃面で活かされている。

<h2>共存も可能な2人のトップ下候補

MF:南野拓実(みなみの・たくみ)
所属クラブ:サウサンプトン(イングランド)
生年月日:1995年1月16日(26歳)
日本代表通算成績:26試合12得点

 世界最高峰の舞台で経験を積む南野拓実が日本代表に戻ってくる。リバプールに2020年1月に加入したが、世界王者のポジション争いに割って入るのは困難を極めた。今季の前半戦はリーグ戦9試合の出場に留まり、サウサンプトンへの期限付き移籍を決断。初出場となったニューカッスル戦でゴールを決め、チェルシーからもゴールを奪うなど、爪痕を残している。

 森保一監督就任後の日本代表で攻撃陣の中心となり、ここまで通算26試合12得点という数字を残している。酒井宏樹や長友佑都といったベテランが不在の今回は、名実ともに中心選手の1人としてリーダーシップが求められるだろう。

 前線のメンバーにはこれまでと変化が見られ、Jリーグで活躍する坂元達裕や江坂任といった新顔が加わった。日本代表ではトップ下で起用されることが多かった南野だが、サウサンプトンではサイドでプレーすることも多い。ブンデスリーガで躍動する鎌田大地との共存は今回の注目ポイントとなるだろう。

MF:鎌田大地(かまだ・だいち)
所属クラブ:フランクフルト(ドイツ)
生年月日:1996年8月5日(24歳)
日本代表通算成績:8試合1得点

 日本人選手の躍進が著しい今季のブンデスリーガの中で、鎌田大地はそのポテンシャルを多いに発揮している。今季はここまで24試合に出場して4得点9アシストをマーク。後半に追い上げを見せるアイントラハト・フランクフルトの攻撃を牽引している。

 180cmという身長はブンデスリーガではそこまで大きくなく、屈強な周りの選手と比較すると華奢な身体つきに見える。しかし、狭いスペースでボールを受け、軽やかなタッチでするすると間をすり抜けていく。単純なフィジカルやスピードでは劣るかもしれないが、味方と連動することで自らの個性を活かしている。

 日本代表では南野拓実とトップ下のポジションを争うことになるが、両者ともサイドでプレーすることもできるので共存も可能だ。今回は大迫勇也が選出されていることもあり、適性のなかった1トップで起用されることもないだろう。ブンデスリーガで放つ輝きを日本代表でも還元できれば、日本代表が得点力不足に悩まされることもなくなるだろう。

<h2>Jリーグで暴れる2人のアタッカー

MF:古橋亨梧(ふるはし・きょうご)
所属クラブ:ヴィッセル神戸
生年月日:1995年1月20日(26歳)
日本代表通算成績:1試合0得点

 J2でプレーしていた古橋亨梧は、1年半で日本代表に登り詰めた。中央大学からJ2のFC岐阜に加入すると、2年目の2018年に半年で12得点を挙げる。夏にJ1ヴィッセル神戸に移籍すると、19年11月に日本代表でデビュー。神戸では19年から2年連続で2ケタ得点を達成している。

 豊富な運動量で前線からのプレッシングを遂行し、カウンターの場面ではスピードを武器に駆け上がる。170cmと小柄だが、簡単にボールを奪われないキープ力もある。左右の足は強烈なシュートを備えており、前線はどこでもプレーできるユーティリティ性も魅力の1つとなっている。

 途中からセントラル開催となった昨季のAFCチャンピオンズリーグでは、7試合3得点という結果を残した。準々決勝の水原三星戦では強烈な直接FKを決めており、20日に行われた北海道コンサドーレ札幌戦では2得点をマーク。25日の韓国代表戦には最高の流れとイメージで臨むことができるかもしれない。

MF:坂元達裕(さかもと・たつひろ)
所属クラブ:セレッソ大阪
生年月日:1996年10月22日
日本代表通算成績:出場なし(初選出)

 Jリーグで異彩を放つドリブラーが日本代表に初めて選ばれた。右サイドを主戦場とする坂元達裕は、今季のJリーグ7試合で2得点3アシストという圧巻の数字を残す。レヴィー・クルピ監督が8年ぶりに復帰したセレッソ大阪で、開幕から好調な攻撃陣を支える活躍を見せている。

 前橋育英高校では3年時に全国高校サッカー選手権で準優勝に貢献した。東洋大学を経てモンテディオ山形に加入すると、ルーキーイヤーに7得点を挙げる活躍を見せた。1年でJ1にステップアップすると、C大阪でも1年目から3得点8アシストと結果を残している。

 最大の武器は右サイドから繰り出すドリブルで、独特のテンポと初速の大きさで抜いていく。縦へ突破してクロスを上げることも、カットインから左足でシュートを放つこともでき、左足から放たれるキックの精度が非常に高い。ベルギーで活躍する伊東純也とポジションを争うことになるが、自らのスタイルを日本代表でも披露してもらいたい。

【了】