フットボール史にその名を刻む偉大な守護神

 ユベントスはイタリアを代表する強豪クラブで、これまで数々の著名な選手を獲得してきた。額面通りの活躍を見せた選手もいれば、期待を裏切った選手もいる。ここでは、2001年以降に加入した選手の中から、チームを大きく変えた選手を紹介する。※移籍金などのデータは『transfermarkt』を参照

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GK:ジャンルイジ・ブッフォン
生年月日:1978年1月28日
移籍金:5288万ユーロ(約63億円)
在籍期間:01年夏〜18年夏、19年夏〜現在
リーグ戦成績:525試合393失点

 圧倒的なセービング技術を武器にパルマで台頭したジャンルイジ・ブッフォンは、2001年の夏、23歳でマルチェロ・リッピ監督率いるユベントスに加入。移籍金は当時のGK史上最高額となる5288万ユーロ(約63億円)とされている。なお、この金額は2016年に加入したゴンサロ・イグアインに抜かれるまでクラブ史上最高の数字となっていた。

 当時は「移籍金が高すぎる!」という声も少なからずあったようだが、ブッフォンはそんな周囲の雑音をすぐにかき消した。1年目で正守護神に君臨すると、いきなりセリエA制覇に貢献。翌シーズンもスクデット獲得を果たし、チャンピオンズリーグ(CL)ではファイナル進出の立役者となるなど、GKとしては史上初となる大会MVPに選出されていた。

 その後もブッフォンはユベントスのゴールマウスを守り続けている。2006年にはカルチョ・スキャンダルが発覚し、チームはセリエBへ降格。ファビオ・カンナバーロらが去ったが、ブッフォンはアレッサンドロ・デル・ピエロらと共に残留を決断し、1年でのセリエA昇格に尽力した。同選手は以降もユベントス一筋のキャリアを築き、印象に残るようなビッグセーブを連発してセリエAを筆頭に数多くのタイトルを「老貴婦人」にもたらしている。

 2018年に一度ユベントスを退団したが、翌2019年に復帰。現在は主にベンチからチームメイトの奮闘を見守っている。クラブ歴代2位となる出場数を誇る偉大な守護神はまだ現役を続行していくことを示唆しているが、果たして今後、未だ手にしていないビッグイヤーを獲得する日は訪れるのだろうか。

チェコの大砲

MF:パベル・ネドベド
生年月日:1972年8月30日
移籍金:4500万ユーロ(約54億円)
在籍期間:01年夏〜09年夏
リーグ戦成績:247試合51得点44アシスト

 EURO(欧州選手権)などでの活躍があり、1996年にラツィオへ移籍。フアン・セバスティアン・ベロン、エルナン・クレスポなどを揃えていた同クラブの中で大車輪の活躍を見せ、1999/00シーズンのセリエA制覇に貢献するなど、中心的存在となっていた。しかし、翌2000/01シーズン終了後、パベル・ネドベドは財政悪化の影響で急遽クラブを去ることに。その移籍先となったのが、結果的に8年在籍することになるユベントスだった。

 ネドベドは加入後すぐに主力に定着し、1年目でスクデット獲得を経験。2年目はさらに勢いが加速し、リーグ戦だけで15アシストをマークした。2003年にバロンドールを受賞した同選手はその後もユベントスの「顔」として印象的なパフォーマンスを披露。2006年、クラブはカルチョ・スキャンダル発覚による処分でセリエBに降格したが、ネドベドは「ユベントスをセリエAに復帰させたい。そこがふさわしい場所だ」とし、他クラブからのオファーを蹴り残留。見事1年での昇格を掴むなど、サポーターのハートを射抜いた。

「チェコの大砲」と称されたネドベドは左右両足をそん色なく使い、トップ下や左サイドハーフをハイレベルに務める万能MFだった。パスやドリブルに優れているのはもちろんのこと、無尽蔵のスタミナを備えており、攻守に貢献することを常に約束している。トレードマークの長髪をなびかせてピッチを走るその姿やゴールネットを突き破るかのような強烈なミドルシュートは、多くの人の記憶に焼き付いていた。

 そんなネドベドは2008/09シーズンを最後に現役を引退。ユベントスでは通算327試合に出場し、65得点57アシストを記録した。なお、アシスト数「57」は元イタリア代表FWアレッサンドロ・デル・ピエロに次ぐクラブ歴代2位の成績となっているようだ。

一つの黄金期を支えた世界最高のレジスタ

MF:アンドレア・ピルロ
生年月日:1979年5月19日
移籍金:フリー
在籍期間:11年夏〜15年夏
リーグ戦成績:119試合16得点33アシスト

 21世紀におけるミランの黄金期を支えた「世界最高のレジスタ」アンドレア・ピルロがフリーでやって来たことは、ユベントスにとって間違いなく幸運なことだった。在籍は2011年から2015年までの4年間と決して長くはないものの、ビアンコネロにもたらしたものの大きさは、計り知れないものがあったと言えるだろう。

 ユベントスに移籍した当時はすでに32歳。ミランでの最後のシーズンは怪我の影響もあり低パフォーマンスに終わっていたので、この補強に対し疑問を抱く人も少なくなかったようだ。しかし、ピルロはピッチ上で自身の獲得が正しかったことを証明。クラウディオ・マルキージオ、アルトゥーロ・ビダルらと共に中盤を構成し、ワールドクラスのパススキルを駆使してゲームをコントロールするなど、アントニオ・コンテ監督の下で不可欠な存在となっていた。

 結果的にピルロは加入1年目でリーグ戦14アシストを記録。1991/92シーズンのミラン以来20年ぶりとなる無敗優勝に大きく貢献した。そして、以降も同選手は中盤の要として活躍。ユベントスでのラストイヤーとなった2014/15シーズンにはミラン時代にも指導を受けたマッシミリアーノ・アッレグリ監督の下で二冠、さらにはチャンピオンズリーグ(CL)準優勝を経験している。

 ピルロはユベントスに在籍した4シーズンすべてでセリエA制覇という財産をもたらした。ニューヨーク・シティ移籍が決まった際、クラブは「この素晴らしい4シーズンをアンドレアと一緒に過ごせたことは光栄であり、ユベントスに関わるすべての人が彼の今後の活躍を願っている。マエストロ、今までありがとう、そして幸運を祈る」と公式サイトに記載。ユベントスの一つの黄金期の始まりを支えたという意味でも、やはり最高の補強になったと言える。

世界屈指のセンターバック

DF:ジョルジョ・キエッリーニ
生年月日:1984年8月14日
移籍金:770万ユーロ(約9億円)
在籍期間:05年夏〜現在
リーグ戦成績:401試合27得点22アシスト

 2005年にフィオレンティーナから加入後、現在に至るまで白黒のユニフォームを脱いだことは一度もない。ユベントスのセリエA昇格後の低迷期を知る数少ない現役選手の一人だ。また、2011/12シーズンから昨シーズンまでのセリエA 9連覇すべてを経験したのはジョルジョ・キエッリーニただ一人。クラブへの貢献度の高さは申し分ないと言えるはずだ。

 当初は左サイドバックが主戦場となっていたが、ユベントスでは徐々にセンターバックとしての出場機会を増やし、今ではすっかり中央の選手というイメージが定着した。闘争心を前面に押し出した迫力満点の守備対応は相手FWの大きな脅威となっており、チームを束ねるリーダーシップも兼備。現代型というよりは、良い意味でクラシカルなDFと言えるだろう。

 レアル・マドリードの「BBC(ベンゼマ、ベイル、C・ロナウド)」が強烈な矛だとすれば、ユベントス版「BBC(ボヌッチ、バルザーリ、キエッリーニ)」は大きな盾。キエッリーニはその一角として世界から多くの賞賛を集めていた。とくにレオナルド・ボヌッチとのコンビは鉄壁で、チャンピオンズリーグ(CL)で対戦したジョゼ・モウリーニョ監督は「彼ら(ボヌッチとキエッリーニ)はハーバード大学に行って、CBとしてどうプレーすべきかの講義を持つことができる」と大絶賛していた。ユベントスがリーグ9連覇やCL準優勝を果たせたのは、キエッリーニを筆頭とした守備陣の粘り強さがあったからと言ってもいいはずだ。

 ユベントスとキエッリーニの契約は今年6月いっぱいまでとなっているが、未だ契約延長の発表などはない。このまま引退するのでは、とも言われている。いずれにしても同選手がユベントスを去る際には、大きな拍手で送り出されるべきだろう。

0円移籍で化けた大型MF

MF:ポール・ポグバ
生年月日:1993年3月15日
移籍金:フリー
在籍期間:12年夏〜16年夏
リーグ戦成績:124試合28得点28アシスト

 今でこそ世界屈指のMFとして多くの人に知られているポール・ポグバだが、2012年にユベントスへやって来た当時はほぼ無名の存在だった。下部組織時代も過ごしたマンチェスター・ユナイテッドで出場機会に恵まれておらず、ビアンコネロへの移籍金も0円。この時点でフランス人MFに大きな期待を寄せていた人は、決して多くなかったはずだ。

 しかし、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はポグバの非凡な才能を見抜いていた。2012/13シーズンのセリエA第4節で先発に抜擢されると、第8節ナポリ戦で嬉しいプロ初ゴールをゲット。同シーズンの後半戦はスタメン起用がほとんどとなっており、2年目はすでにレギュラーに完全定着していた。当時、GKジャンルイジ・ブッフォンが「マンチェスターは彼をちゃんと見ていたのか?」と発言するなど、ポグバの与えたインパクトはまさに絶大だった。そして、2015/16シーズンにはクラブの伝統ある10番を着用。ポグバは文字通り、ユベントスの「顔」となっていた。

 身長191cmと大柄ながら足元の技術がしっかりしており、巧みなボールキープや華麗なターンを披露して中盤で違いを創出。2012/13シーズンのセリエA第21節ウディネーゼ戦の超絶ミドルシュートが証明する通り、記憶に残る衝撃的なゴールも多かった。また、忘れてはならないのがチームメイトの存在。アンドレア・ピルロやクラウディオ・マルキージオといった同ポジションの名手と共にプレーできた点は、若いポグバにとって大きかったと言えるだろう。

 ユベントスで化けビッグクラブ注目の的となったポグバは、2016年に古巣ユナイテッドへ復帰。0円でやって来た男は、なんと1億500万ユーロ(約126億円)という破格の金額で売却されることになった。そういった意味でも、ポグバの獲得は大成功と言えるだろう。