15位:レスターを支える神童

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。それをもとにしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。

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MF:ユーリ・ティーレマンス(ベルギー代表/レスター)
生年月日:1997年5月7日(24歳)
市場価格:5000万ユーロ(約60億円)
19/20リーグ戦成績:37試合出場/3得点6アシスト

 早くから注目を浴び、早くに消えてしまう選手は決して少なくないが、ユーリ・ティーレマンスは違う。5歳で母国の名門アンデルレヒトの下部組織に入団し、15歳という若さでトップデビューを果たすと、2017年にモナコへステップアップ。その2年後にはレスターへ籍を移し、今やプレミアリーグ屈指のMFとなるまで成長を遂げた。ベルギー代表でも、すでに中心的存在となっている。

 そんなティーレマンス最大の魅力は「パス」センスの良さだ。視野が広いため味方の動きを見逃すことが少なく、鋭い縦パスやスルーパスを次々と送り込むことができる。また、利き足である右足だけでなく、左足からも質の高いボールを出せるあたりもストロングポイント。マッチアップする選手からすると、どちらを切るべきか、常に難しい判断を強いられる。

 派手な「ドリブル」を披露するタイプでないが、止める・蹴るの基本技術に関してはもちろん申し分なく、プレー一つひとつが的確で無駄がないなど、サッカー「IQ」も極めて高い。だからこそ、上記した「パス」センスの良さがより際立っている。攻撃をコントロールするという点で、ティーレマンスの能力を疑う人はいないだろう。

「フィジカル」に長けているわけではないが、ハードワークを決して怠らず、プレミアリーグ上陸後はバランス感覚という部分も磨かれた。これでまだ24歳というのは、ただただ恐ろしい。

14位:ダイナミズムを注入する若きMF

MF:フェデリコ・バルベルデ(ウルグアイ代表/レアル・マドリード)
生年月日:1998年7月22日(22歳)
市場価格:7000万ユーロ(約84億円)
19/20リーグ戦成績:33試合出場/2得点5アシスト

 ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロ。レアル・マドリードの中盤ではこの3人が今も強烈な存在感を放ち、評価を高め続けている。しかし、22歳フェデリコ・バルベルデは、そんな彼らに負けじと輝きを放っている一人だ。ジネディーヌ・ジダン監督から確かな信頼を寄せられ、シーズンを重ねるごとに頼もしさが増加。マドリーのこれからを担う存在として期待されている。

 どこまでも走り続けられるのでは? と思うほどのスタミナを備えており、幅広いエリアでアクションを起こすことができる。その自慢の運動量を武器に前線からの守備を怠らず、チーム全体にプレスのスイッチを入れることも多々。「フィジカル」の強さを駆使した1対1、身体を投げ出してボールを狩り取る泥臭いディフェンスにも定評がある。

 ボール奪取後は非凡な展開力を活かしてカウンターの起点となり、自らも爆発的なスプリントで敵陣深くへと侵入していく。バルベルデの凄いところは、このようなプレーを短時間ではなく、90分間継続して行える点。主力を張る選手の年齢がやや高いマドリーにおいて、常に攻守においてダイナミズムを注入できるウルグアイ人MFのような存在はありがたいと言えるのではないか。

 マドリーは先日、ジダン監督がチームから去り、2021/22シーズンからはカルロ・アンチェロッティが指揮を執ると発表。バルベルデは「恩師」と別れることになった。ただ、22歳のMFがイタリア人指揮官の下でも重宝されるのは明らかだろう。

13位:負けず嫌いな何でも屋

MF:マルセル・ザビツァー(オーストリア代表/RBライプツィヒ)
生年月日:1994年3月17日(27歳)
市場価格:4200万ユーロ(約50.4億円)
19/20リーグ戦成績:32試合出場/9得点8アシスト

 今やブンデスリーガ上位の常連となったRBライプツィヒをキャプテンとして支える男だ。2019/20シーズンにはクラブ史上初のチャンピオンズリーグ(CL)・ベスト4進出に貢献し、2020/21シーズンは怪我で出遅れながらも復帰後は絶対的な主力としてチームを牽引。数多くのクラブからの興味が噂されるなど、ドイツの地で着実に評価を高め続けている。

 何でも屋と言っていいだろう。中盤から左右両サイドをこなすユーティリティー性が魅力で、思い切りの良いミドルシュートに敵の間を縫うスルーパス、巧みな飛び出しと、多彩な仕掛けで敵ブロックを崩せるというストロングポイントもある。試合ごとにシステムが変化するライプツィヒで、様々なポジションと役割を担える男が重宝されるのは、必然といったところだろうか。

 守備では前線からのハードワークを怠らず、相手に厳しく身体を寄せて自由を与えることが少ない。ボールロスト後のリカバリーが速いことも評価できるポイントだ。ライプツィヒ前監督のラルフ・ラングニックは以前、『キッカー』のインタビューで「ザビツァーは負けず嫌いで、敗戦後は少し感情的になることもあった」と話しているが、守備時の激しさはこの「負けず嫌い」な性格からきているのかもしれない。

 2部時代からライプツィヒを支え、ブンデスリーガ屈指のMFとなったマルセル・ザビツァー。ドイツの新興クラブが悲願のタイトルを獲得するために、この男の力はまだまだ必要となる。

12位:PSGの最古参

MF:マルコ・ヴェラッティ(イタリア代表/パリ・サンジェルマン)
生年月日:1992年11月5日(28歳)
市場価格:6000万ユーロ(約72億円)
19/20リーグ戦成績:20試合出場/0得点5アシスト

 若手育成に定評のあるズデネク・ゼーマン監督率いるペスカーラで頭角を現し、「ピルロの後継者」と称された男も現在28歳。サッカー選手としては脂が乗った年齢に差し掛かっている。そんな「小さなフクロウ」は所属するパリ・サンジェルマン(PSG)で最古参プレーヤーとして奮闘中。キリアン・エムバペやネイマールら実力者揃いのチームの中でも欠かせぬ存在となっている。

 マルコ・ヴェラッティ最大の特長は「パス」能力の高さだ。右足から放たれるボールは長短問わず正確で、前線のタレントを自在に操ることを可能としている。まさに「司令塔」だ。また、あまりイメージはないかもしれないが「ドリブル」も抜群に上手い。派手なフェイント等は使わないが、コース取りが絶妙で、敵と敵の間をスルスルと抜けていってしまう。

 身長は165cm。サッカー選手の中だけでなく、一般的に見ても小柄だが、守備時の貢献度は決して「小さくない」。相手に簡単に当たり負けするようなことはほぼなく、身体を投げ出した強烈なタックルを繰り出すことも多々。それらを最後まで継続できる豊富な運動量も、小さな身体にしっかりと搭載されている。

 一方でマイナスポイントも多い。まずは怪我の多さ。その影響でこれまでも何度か大舞台への出場を逃してきた。また、やはり「空中戦」では強さを示すことができない。そして試合中、とくに負けている状況にあるとフラストレーションを溜めやすい点。審判に暴言を吐いて余計なカードを貰ってしまうことがしばしばあるので、ここは改善していきたい。

11位:バルセロナを追い出された男

MF:アルトゥール(ブラジル代表/ユベントス)
生年月日:1996年8月12日(24歳)
市場価格:5000万ユーロ(約60億円)
19/20リーグ戦成績:21試合出場/3得点3アシスト(バルセロナ)

 母国ブラジルのグレミオで注目を浴び、バルセロナへ移籍。しかし、同クラブで長い時間を過ごすと思われたが、昨年夏にミラレム・ピャニッチとの「財政問題解決トレード」でユベントスへ旅立つことに。イタリアではどうか? と思われたが、1年目は怪我の影響などもあり、不完全燃焼となってしまった。

 それでも、アルトゥールの能力が高いことに疑いの余地はない。「スピード」や「フィジカル」といったアスリート能力は平均的だが、とにかく「パス」の精度が高く、味方へ機械のようにポンポンとボールを捌く。バルセロナに新戦力として獲得されたのも、この卓越した「パス」スキルがあったからこそだ。

 また、南米出身選手らしく足元の「テクニック」にも優れている。「ドリブル」の質が極めて高いわけではないが、キープ力は抜群にある。事実、アンドレア・ピルロ監督からは「素晴らしいビジョンを持ち、ボールを上手くキープできる選手だ。だから、相手にプレスをかけられている時でも適切なタイミングでそこを抜け出すことができる」と賞賛されている。

 一方で課題は、バルセロナで指摘されることも多かった仕上げ部分のクオリティーだ。アルトゥールはキャリアの中においてゴール数が少なく、「パス」センスに優れながらアシスト数も決して多くない。ここが伸びてくれば、より恐ろしい選手になることは確か。