オランダ代表の欠点とは?

 UEFAユーロ2020(欧州選手権)グループリーグC組第1節、オランダ代表対ウクライナ代表が現地時間13日に行われ、3-2でオランダ代表が勝利した。2点差を追いつかれるなど課題も出たオレンジ軍団だったが、なんとか勝ち切った。立役者は、やはりあの男だった。(文:小澤祐作)

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 かなりギリギリの試合だった。英雄アンドリー・シェフチェンコ率いるウクライナ代表がよく戦ったという事実はもちろんあるが、オランダ代表の完成度があまり高くなかったことも否めない。

 スコアレスのまま迎えた後半、オランダ代表は主将ジョルジニオ・ワイナルドゥムと長身FWヴォウト・ヴェフホルストのゴールで2点のリードを奪うことに成功。しかし、そこからウクライナ代表に2点を返されるなど、落ち着いて試合を締めることができなかった。

 85分にデンゼル・ドゥムフリースがヘディングシュートを叩き込み最後は3-2で競り勝ったものの、試合運びという部分で課題を残すことに。フランク・デ・ブール監督は試合後「私たちはこれらのミスから学ばなければならない。90分間ミスをしないでプレーすることは現実的ではないが、これらのことを分析して、何を改善すべきか考える必要がある」とコメントを残している。

 また、この日のオランダ代表の欠点は攻から守へ切り変わった瞬間にあった。

 オレンジ軍団は3-4-1-2の形でウクライナ代表戦に臨んでいる。攻撃時はツートップの一角であるメンフィス・デパイがある程度自由に動くことで実質ヴェフホルストのワントップになり、シャドーのような形でデパイとワイナルドゥムがそれぞれの働きを披露していた。

 そこにダブルボランチの一角であるフレンキー・デ・ヨング、そして左右の両ウイングバックも絡んでくる。オランダ代表の攻めは厚かった。

 しかし、デ・ヨングが高い位置を取ることで、もう一枚の中盤底マルテン・デ・ローンが守備時にカバーする範囲が広くなる。運動量豊富な同選手と言えど、そのすべてを完璧にケアすることは困難。脇を突かれることも多かった。

 オランダ代表にとって問題だったのは、そこに“誰が行くのか”。デ・ローンが懸命にカバーへ回り遅らせるのか、センターバックの一枚が前に出て止めるのか。ここが曖昧となったことで、ウクライナの選手にどんどん前進を許したのだ。

 78分、デ・ローンは自身の背後にいる選手を見るようステファン・デ・フライに指示を送ったが、背番号6は間に合わず。そこにボールを通され、たまらずファウルを犯した。その直後、デ・フライはデ・ローンに対し「お前が見ろ」と言わんばかりに不満を爆発。デ・ローンも「お前が出てこい」といった感じでデ・フライに反抗していた。連係がなかなかうまくいっていないのは明らかだった。

 中央を締められなければ、当然失点のリスクは高くなる。デ・ブール監督には、限られた時間の中で確実に修正することが求められるだろう。

好調を維持するMF

 ただもちろん、ユーロという大舞台で最初から完璧に90分間を過ごせるチームは決して多くない。先述した通り課題は確かにあったが、結果が何よりも重要という中、初戦を3-2で競り勝ったことは、当然ながら高評価に値する。

 ここからは個人に目を向けていきたい。全3得点に絡んだ右WBドゥムフリースや主将ワイナルドゥムも素晴らしい内容だったが、やはり随所で効いていたのは背番号21フレンキー・デ・ヨングだったと言えるだろう。

 ダブルボランチの一角として先発した同選手は、先ほども紹介した通り積極的な攻撃参加で攻撃に厚みをプラス。攻から守への切り替えも速く、あらゆるシーンで非凡なパフォーマンスを披露していた。

 バルセロナでも中心となっているデ・ヨングには、よくボールが集まる。受け方と持ち方が抜群に上手い若きMFは簡単に失うことがなく、相手のプレッシャーを巧みに回避して運び、何度も数的優位な状況を作り出していた。攻撃のほとんどは、彼から始まったと言ってもいい。

 58分には最終ラインからボールを引き出して前を向き、良いランニングを見せたドゥムフリースへ繊細なスルーパス。そこから最終的にヴェフホルストのゴールが生まれることになった。この時、ボールを持ったデ・ヨングにはノープレッシャー。そうするとどうなるか、ウクライナ代表は思い知らされることになった。

 データサイト『Who Scored』によるデ・ヨングの主なスタッツはパス97本、同成功率92%、キーパス2本、ドリブル成功数5回、タックル成功数1回、インターセプト数2回となっている。パス97本、ドリブル成功数5回は両チーム合わせてトップとなる数字。これだけでも、背番号21がいかにオランイェの中心にいたかが、よくわかるだろう。

 オランダ代表は次戦、オーストリア代表と対戦する。デ・ヨングは再び中心として、輝くだろうか。

(文:小澤祐作)