5位:セリエA屈指の司令塔

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。それをもとにしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。

——————————

MF:ルイス・アルベルト(スペイン代表/ラツィオ)
生年月日:1992年9月28日(28歳)
市場価格:4500万ユーロ(約54億円)
20/21リーグ戦成績:34試合出場/9得点2アシスト

 セビージャやリバプールでは芽が出なかったものの、2016年に加入したラツィオで覚醒した。2017/18シーズンのセリエAでは11得点14アシストを記録し、2019/20シーズンは同16アシストというスーパーな数字をマーク。昨季はリーグ戦で34試合に出場しながら2アシストに留まったが、キーパス数は80本で3位につけていた。まさに、ラツィオには欠かせない攻撃の主軸である。

 上記したことからも分かる通り、ルイス・アルベルト最大の武器は「パス」にある。ロング、ショート問わず精度はピカイチで、「そこに通す!?」と思うほど意外性のある鋭いラストパスも実に多い。また、エースであるチーロ・インモービレとの相性は完璧で、二人だけで崩し切ってしまうこともしばしば。イタリア代表FWが得点を大量生産できる理由の一つに、L・アルベルトの卓越したパススキルがあるといっても過言ではないだろう。

「フィジカル」や「スピード」といったアスリート能力に関しては凡庸だが、縦への推進力に優れており、右足の正確なタッチを駆使したキープ力にも定評がある。無駄なロストが少なく、ボールを落ち着かすことができ、かつ攻撃の勢いを加速させられるこの男の元に多くの「パス」が集まるのは、必然といったところだろうか。

 昨季までラツィオの指揮を執ったシモーネ・インザーギ監督の下では守備意識も着実に向上。より、穴の少ない司令塔になりつつある。ただ、28歳のMFはまだまだ成長を止めることはないだろう。

4位:シメオネの下で急成長したマルチロール

MF:マルコス・ジョレンテ(スペイン代表/アトレティコ・マドリード)
生年月日:1995年1月30日(26歳)
市場価格:8000万ユーロ(96億円)
20/21リーグ戦成績:37試合出場/12得点11アシスト

 レアル・マドリードでトップチームに定着できず、2019年にアトレティコ・マドリードへ移籍。新天地でも当初は苦労したが、チャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の2ndレグ、リバプール戦でセカンドトップにコンバートされると、秘めたる才能が開花した。それ以降、アトレティコには欠かせないピースに。2年目の昨季はリーグ戦12得点11アシストを記録し、チームの優勝に貢献している。

 現代屈指のマルチロールになったと言っていいだろう。アトレティコではインサイドハーフからセカンドトップ、サイドハーフを担っており、スペイン代表ではルイス・エンリケ監督の下でサイドバック起用されている。複数のポジションで与えられた役割をしっかりと、それも高質に行うことができるのは、優れたサッカー「IQ」があるからと言えるだろうか。

 豊富な運動量と「フィジカル」の強さは攻守において大きな効果を発揮しており、「スピード」、「テクニック」、「パス」といったスキルも非凡。そして、ボランチ時代にはあまり見受けられなかったが、シュート精度もストライカー顔負けと言えるほど抜群に高い。ゴールとアシストの両方を期待でき、それに加え守備も十分な強度で果敢に行う。これほど魅力的なMFはそう多くはないだろう。

 そんなM・ジョレンテの推定市場価格は今や8000万ユーロ(約96億円)まで上昇している。その成長ぶりを考えても、ランキングのトップ5入りは妥当な結果だと言えるのではないか。

3位:ドイツにはやはり欠かせなかった男

MF:トーマス・ミュラー(ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン)
生年月日:1989年9月13日(31歳)
市場価格:3000万ユーロ(約36億円)
20/21リーグ戦成績:32試合出場/11得点21アシスト

 世代交代を図ったヨアヒム・レーブ監督により、2019年3月にドイツ代表引退勧告を受ける。しかし、ブンデスリーガでは2季連続で20アシスト以上を記録と、所属するバイエルン・ミュンヘンで絶好調を維持。その活躍が認められ、再びレーブ監督から代表に呼ばれることになった。31歳のベテランは、まだまだマンシャフトに必要な存在であると、自らのプレーで証明したのである。

「神出鬼没」という言葉が、この男にはよく似合う。とにかく使えるスペースを見逃すことがなく、タイミングよく飛び込んではボールを引き出し、相手を恐怖へと陥れる。このいわゆるオフ・ザ・ボールの動きの質は、もはや名人の域に達していると言えるだろう。捕まえたくても捕まえられない。それが、トーマス・ミュラーというMFの最大の怖さである。

 自ら得点を奪うセンスも高いが、どちらかというと目立つのは味方を使う上手さだ。わざと溜めてから繊細なスルーパスを送ったり、意外性のあるダイレクトパスを流したりと、パターンが豊富で相手からすると読めない。とくにロベルト・レバンドフスキとの呼吸は抜群で、彼の動きを見逃さず、1ミリもズレることなく足元へボールを届ける。自分がシュートを打てる状況でも、冷静にレバンドフスキに点を取らせることも非常に多い。

 また、攻撃面だけでなく守備面での貢献度も低くはない。圧倒的な「フィジカル」や「スピード」はないが、懸命にプレスバックし、身体を投げ出す泥臭いプレーを厭わない。この31歳がチームのために汗をかくことは、若い選手にも良い影響を与えているだろう。バイエルンにもドイツ代表にも、まだまだミュラーの存在は不可欠だ。

2位:マンUで賞賛を浴び続ける男

MF:ブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル代表/マンチェスター・ユナイテッド)
生年月日:1994年9月8日(26歳)
市場価格:9000万ユーロ(約108億円)
20/21リーグ戦成績:37試合出場/18得点11アシスト

 スポルティングCPからマンチェスター・ユナイテッドに加入して以降、賞賛を浴び続けているポルトガル代表MF。今やオーレ・グンナー・スールシャール監督率いるチームには絶対に欠かせない存在で、それを証明するように、2020/21シーズンはほとんど休みを与えられなかった。ちなみに今年2月、英『BBC』が実施したファン投票により、「冬にプレミアリーグへ移籍した史上最高の選手」に選出されている。

「パス」スキルの高さは言わずもがなワールドクラスだ。90分間の中で成功率自体は決して高くないのだが、それはいわゆる無難なものが少なく、勝負球が多いからこそ。ボールを受ければ必ずと言っていいほど前を向き、他の選手のランニングなどを無駄にせず活かそうとしている。また、そこに至るまでのポジショニングなどからは、司令塔としての「IQ」の高さをうかがうことができる。

 中盤で不用意なロストやミスを犯さない「テクニック」の高さ、そして判断力が備わっており、相手GKの意表を突くミドルシュートも一級品。PKキッカーとして非常に優秀で、味方に対し強く指示を送る姿もよく見られるなど「メンタル」の強さも確かなものがある。ここは、ビッグクラブで継続して活躍できる要因とも言えそうだ。

 また、守備では自らが先陣を切ってチーム全体にプレスのスイッチを入れることを厭わない。このあたりは15歳までDFだった経験が活きていると言えるだろう。そんなB・フェルナンデスはまだ26歳。今後しばらく、サッカー界を中心として牽引していくはずだ。

1位:シティで進化を続ける男

MF:ケビン・デ・ブライネ(ベルギー代表/マンチェスター・シティ)
生年月日:1991年6月28日(29歳)
市場価格:1億ユーロ(約120億円)
20/21リーグ戦成績:25試合出場/6得点12アシスト

 攻撃的MFランキングの1位に輝いたのは、ベルギー代表のケビン・デ・ブライネだ。ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティで進化を続けている同選手は昨季、途中で負傷離脱しながらもクリスティアーノ・ロナウド、ティエリ・アンリに次ぐ史上3人目となる2年連続でのPFA年間最優秀選手賞を受賞。改めて、その実力を世に証明することになった。

 左右両足から放つ「パス」精度の高さは世界最高クラスと言っていい。狭いコースにボールを平気な顔で通し、あっという間にチャンスを創出することができる。そしてなんと言っても忘れてはいけないのがクロスの質だ。GKとDFの間に送り込まれる一本の鋭さは、もはや異次元。相手からすると防ぐのが難しく、味方からすると触るだけでゴールというなんとも魅力的なボールを、デ・ブライネともなれば“何本も”蹴ることができる。

 それに加え非凡な「スピード」と「フィジカル」も兼備。とくにカウンター時の推進力は凄まじく、ロシアワールドカップでは日本代表がその餌食となった。また、タイミングよくハーフスペースを使って相手を恐怖に陥れるなど、「IQ」の高さから引き出されるオフ・ザ・ボールの動きも秀逸。組み立て、崩し、そしてフィニッシュの全てで、ベルギーのMFは主役となれる。

 他のプレーヤーに比べ怪我が多いのはマイナスポイントとなるが、MFとしてのセンスはやはり抜群。世界最高の選手と呼ばれるに相応しいことは明らかだ。ランキング1位という結果に、異論の余地はないだろう。