アルベルト・ザッケローニ

日本代表は1998年のフランスワールドカップから6大会連続でワールドカップ本大会に出場している。その間、日本代表はどのようなフォーメーションで戦ってきたのか。前後編の2回に渡って、監督ごとの布陣の変遷を振り返る。
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在任期間: 2010年9月〜14年6月
主な戦績
2011年 AFCアジアカップ
2013年 FIFAコンフェデレーションズカップ:グループステージ敗退(3敗)
2013年 東アジアカップ:優勝

 ベスト16に進出した南アフリカワールドカップ終了から2か月後、日本代表はアルベルト・ザッケローニ監督の就任を発表している。セリエAで輝かしい実績を持ち、ACミラン、インテル、ユベントスのイタリア3強で指揮を執った経験もあった。

 セリエAで指揮を執っていた頃のザッケローニの代名詞は3-4-3だった。しかし、日本代表ではこれまでの4-2-3-1を踏襲。前政権が最終予選を戦ったメンバーが中心だったが、1トップだった岡崎慎司が右サイド、トップ下には本田圭佑、左には香川真司という並びに変わっていた。長谷部誠と遠藤保仁の中盤、長友佑都と内田篤人のサイドバックは不動だった。

 就任から4か月後に行われたアジアカップは初戦でヨルダン代表に引き分ける波乱のスタートに。しかし、そこからエンジンがかかり、3連勝で準決勝へ。韓国代表戦は2-2でPK戦に突入したが、川島永嗣の神がかり的なセーブで突破した。オーストラリア代表との決勝戦も延長に突入したが、李忠成のゴールで勝利を収めた。

 2013年6月のコンフェデレーションズカップは3勝全敗と打ちのめされている。ブラジル代表には0-3で完敗し、イタリア代表とは打ち合いの末に3-4で敗れた。メキシコ代表にも試合巧者ぶりを見せつけられて敗れている。

 欧州組抜きで臨んだ13年7月の東アジアカップ東アジアカップでは新戦力が台頭する。しかし、2011年のアジアカップから3年半で主力メンバーはほぼ変わらず。1トップは前田遼一から大迫勇也、吉田麻也の相方は今野泰幸から森重真人となり、ワールドカップ本大会では山口蛍が2試合に先発している。

 初戦でコートジボワール代表に逆転負けを喫し、退場者を出したギリシャ代表からは得点を奪えずに引き分け。第3戦ではコロンビア代表に力の差を見せられ1-4で敗れた。2大会連続のグループステージ突破はならず、ザッケローニ監督は退任した。

●基本フォーメーション(ブラジルワールドカップ)

▽GK
1 川島永嗣

▽DF
2 内田篤人
6 森重真人
22 吉田麻也
5 長友佑都

▽MF
17 長谷部誠
16 山口蛍
9 岡崎慎司
4 本田圭佑
10 香川真司

▽FW
18 大迫勇也

ハビエル・アギーレ

在任期間:2014年9月〜15年2月
主な戦績
2015年 AFCアジアカップ:準々決勝敗退

 グループステージ敗退となったブラジルワールドカップを終えた日本代表は、ハビエル・アギーレ監督を招聘する。選手と監督の両方でメキシコ代表を経験し、アトレティコ・マドリードなどスペインでも指揮を執った経験豊富な指導者だった。

 基本布陣は前政権の4-2-3-1からアンカーを置く4-1-4-1へと変更。柴崎岳や武藤嘉紀など、伸び盛りの若手を積極に起用して、前政権からのモデルチェンジを図った。

 就任から約半年後に迎えたAFCアジアカップは3戦全勝でグループステージを突破したが、準々決勝で敗退。35本のシュートを放ちながら120分を戦って1-1と決着がつかず、PK戦の末に敗れた。

 この大会前には、アギーレ監督がサラゴサの監督時代に八百長に関わっていた可能性を報じられている。後にアギーレの無罪は確定するが、スペインの裁判所が検察からの告発を受理した時点で、日本サッカー協会は解任を決断した。

●基本フォーメーション(アジアカップ)

▽GK
1 川島永嗣

▽DF
21 酒井高徳
22 吉田麻也
6 森重真人
5 長友佑都

▽MF
17 長谷部誠
7 遠藤保仁
10 香川真司
4 本田圭佑
18 乾貴士

▽FW
9 岡崎慎司

ヴァイッド・ハリルホジッチ

在任期間:2015年3月〜18年4月
主な戦績
2015年 EAFF東アジアカップ:4位(2分1敗)
2017年 EAFF E-1サッカー選手権:2位(2勝1敗)

 ハビエル・アギーレの解任を受けて、日本サッカー協会はヴァイッド・ハリルホジッチ監督を迎えた。パリ・サンジェルマンやコートジボワール代表、アルジェリア代表などを率いた経験豊富な指揮官だった。

 ハリルホジッチはデュエルの強さと縦へ速い攻撃を日本代表に持ち込んだ。システムは4-2-3-1が多かったが、相手によっては4-1-4-1の並びで守備的に戦うことも辞さない。そのスタイルに合う井手口陽介、山口蛍、原口元気らが積極的に起用され、本田圭佑や岡崎慎司といった主力がベンチに置かれることもあった。

 ワールドカップ予選は初戦にシンガポール代表に引き分けるという波乱のスタートだったが、なんとか巻き返した。アウェイで行われた2016年10月のオーストラリア代表戦では守備に偏重した戦術で戦い、批判を浴びている。それでも、ホームではオーストラリア代表に勝利し、1試合を残して本大会出場権を獲得している。

 しかし、本大会が近づくにつれ、チームに暗雲が立ち込める。17年11月の欧州遠征でブラジル代表とベルギー代表に敗れたところまでは想定内だったが、国内組で臨んだ12月のEAFF E-1サッカー選手権で韓国代表に1-4と惨敗。ワールドカップを3か月後に控えた親善試合ではマリ代表とウクライナ代表に勝てなかった。

 これを重く見た日本サッカー協会は4月にハリルホジッチを解任する。田嶋幸三会長は「選手とのコミュニケーションや信頼関係が薄れた」ことを解任の理由に挙げた。

●基本フォーメーション(ワールドカップアジア最終予選・オーストラリア代表戦<2017年8月31日>)

▽GK
1 川島永嗣

▽DF
19 酒井宏樹
22 吉田麻也
3 昌子源
5 長友佑都

▽MF
17 長谷部誠
18 浅野拓磨
16 山口蛍
2 井手口陽介
14 乾貴士

▽FW
15 大迫勇也

西野朗

在任期間:2018年4月〜6月
主な戦績
2018年 FIFAワールドカップ:ラウンド16敗退

 2か月後に迫ったワールドカップ本大会に向け、技術委員長だった西野朗が解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ監督の後任に据えられた。1996年のアトランタ五輪でU-23日本代表を率いた経験があり、ガンバ大阪ではアジア王者に輝いた経験もある。2016年には日本サッカー協会の技術委員長に就任し、ハリルホジッチを支える立場だった。

 日本代表は5月30日に親善試合を行い、メンバー発表はその翌日に行われた。前体制ではコンスタントに起用されていた浅野拓磨や井手口陽介が落選となっている。

 直前合宿で行われた強化試合は1勝1敗。ワールドカップ本大会は4-2で勝利したパラグアイ代表戦のメンバーが中心となった。中盤は長谷部誠と柴崎岳が並び、2列目には原口元気、香川真司、乾貴士という組合せ。本田圭佑と岡崎慎司はベンチスタートとなった。

 コロンビア代表戦は開始早々に相手選手が退場となり、PKを香川が決めて先制。一度は追いつかれたが、勝ち越して初戦を取った。セネガル代表に引き分け、ポーランド代表には0-1で敗れたが、僅差の2位で決勝トーナメント進出が決定した。ベルギー代表戦は原口元気と乾貴士のゴールで2点を先行したが、後半に3失点を喫して敗北。3度目の決勝トーナメントでも、ベスト8の壁を越えることはできなかった。

●基本フォーメーション(ロシアワールドカップ)

▽GK
1 川島永嗣

▽DF
19 酒井宏樹
22 吉田麻也
3 昌子源
5 長友佑都

▽MF
7 柴崎岳
17 長谷部誠
8 原口元気
10 香川真司
14 乾貴士

▽FW
15 大迫勇也

<h2>森保一

在任期間:2018年7月〜現在
主な戦績
2019年 AFCアジアカップ:準優勝
2019年 コパ・アメリカ:グループステージ敗退(2分1敗)
2019年 EAFF E-1サッカー選手権:2位(2勝1敗)

 2017年10月、東京五輪の男子日本代表監督に森保一が就任することが決まった。サンフレッチェ広島を3度のリーグ優勝に導いた手腕を持つ森保監督は、ロシアワールドカップにコーチとして帯同していた。大会後には西野朗監督の後任として、日本代表監督にも就任。東京五輪までは二足の草鞋を履くこととなった。

 4年後を見据え、若い世代を積極的に抜擢した。ヨーロッパで活躍する南野拓実、東京五輪世代の冨安健洋と堂安律も主力に定着した。19年6月には18歳になったばかりの久保建英も代表デビューを果たしている。

 2019年のアジアカップは全勝で決勝進出を決めたが、ワールドカップ開催国のカタール代表に完敗してしまう。その年の6月にはコパ・アメリカ(南米選手権)に招待国枠で参加。五輪世代を中心に、A代表の一部も加えたメンバーで臨んだが、フルメンバーの相手に苦しんだ。ウルグアイ代表とエクアドル代表には引き分けたものの、チリ代表との初戦の大敗が響き、グループステージで姿を消している。12月に行われたEAFF E-1サッカー選手権は韓国代表に敗れて優勝を逃している。

 GKは権田修一がこれまで最も多く起用されている。酒井宏樹と長友佑都のサイドバックは変わらず、吉田麻也の相棒には冨安健洋が定着した。中盤は柴崎岳と遠藤航がファーストチョイスだったが、守田英正が台頭。2列目は中島翔哉、南野、堂安から伊東純也、鎌田大地、南野という3人に変わった。最前線は大迫勇也が不動の地位を築いている。

●基本フォーメーション(AFCアジアカップ)

▽GK
12 権田修一

▽DF
19 酒井宏樹
16 冨安健洋
22 吉田麻也
5 長友佑都

▽MF
6 遠藤航
7 柴崎岳
21 堂安律
9 南野拓実
8 原口元気

▽FW
15 大迫勇也

【了】