4年間で出場1試合。エリート守護神にとってかつてない日々

 2014年ブラジルW杯開幕が2日後に迫ってきた。日本の初戦・コートジボワール戦まではあと4日。ザッケローニ監督のチーム作りも最終段階を迎えている。

 指揮官は常日頃からチームの結束力や一体感を大切にしているが、それを支えているのが控えに回ることの多い選手たちである。川島永嗣、西川周作に続く「第3GK」と位置づけられている権田修一はその象徴的な存在だ。

 2010年10月のザックジャパン初陣となったアルゼンチン戦以来、出場したのは、2013年7月の東アジア杯・オーストラリア戦の1試合のみ。

 U-17、U-20、U-23と年代別代表を総なめにし、FC東京トップ3年目からレギュラーをつかんだエリート守護神にとって、これだけ試合に出られない日々はかつてないものだった。

「僕の自叙伝を出す場じゃないけど(笑)」。4年間を振り返る

「この4年間、代表チームでは試合に出られる機会がほとんどなかったので、そこが個人的には一番成長した部分なんじゃないかなって思うんです。4年前の自分だったら、試合に出られないことがストレスだったと思う。

 試合から逆算するんじゃなくて、練習だけ集中して、試合前日もしっかりやって、当日はコンディションがよくないって状況にもなりかねなかった。

 僕はこれまでの人生で試合に出てないことの方が少なかった。トップで出るようになった時もメンバー外からスタメンだったので、ベンチにいる時にどういうアップをしたらいいか、ベンチからどういう行動を見せるべきかも分かっていなかった。

 でも今は、試合前は『自分が試合に出るんだ』って気持ちで調整して、メンバー発表で自分じゃない選手の名前が呼ばれたら、そこからはチームが勝つために自分が何ができるかを考える。そして試合が終わったらまた次の試合に向けて準備してってのを繰り返してやってきた。

 この4年間は僕の中では素晴らしい経験だった。周りが広く見えるようになったと思うので。今は僕の自叙伝を出す場じゃないけど(笑)。

 もちろん、試合に出られたらもっといい経験だけど、そういうことを感じることができたから。今回もそのスタンスでやり続けたいと思っています」と権田はザックジャパンの4年間で違った角度からチームを見る力を体得したという。

 だからこそ、今回のブラジル大会も「23人じゃなくて、25人でやりたい」と強調する。プラスの2人はもちろん、トレーニングパートナーの高校生である杉森考起と坂井大将のことを指す。

献身的な振る舞いもプラス効果「縁の下の力持ち」

 彼らは本大会のピッチに立つ権利はないが、5月21日にスタートした指宿合宿から3週間以上、チームに帯同している。権田らにとっては貴重な仲間に他ならないのだ。

「みなさんは練習見てないから分かんないと思いますけど、2人は練習に参加できるところと、できないところがあるじゃないですか。それでもホントに全力でやっているので。その2人も含めて25人全員でしっかり戦いたいなって思っています」と彼は語気を強めた。

 権田らの献身的な振る舞いもプラス効果を表し、今のチームは雰囲気が非常にいいようだ。試合4日前時点ではまだコートジボワール対策をあまりやってはいないというが、選手同士でこれまでの分析・反省をする機会は日に日に増えていると彼は言う。

「ホントに各々で沢山話をしています。コスタリカ戦の直後にしても、1回入らなかったですけど、フリーで永嗣さんの正面にヘディングされた場面がありましたよね。あれは何が起こったのかをみんなで議論しました。

 それ以外にもクロスからフリーだったりしたシーンがたくさんあったりしたので、そういうところも話しましたね。ザンビアだったら試合の入り方だったりとか、そういうところですね。

 僕はアジア杯や最終予選、ロンドン五輪を経験しましたけど、本番への持っていき方は大会ごとに全然違うんですよね。今回もW杯で優勝したことのあるメンバーがいるわけじゃないので、チームとして徐々に積み上げていくことが大事だと思います」

 10代の頃から日の丸を背負い、世界の修羅場を潜ってきた若き守護神がいることで、川島や西川も精神的にかなり助かっているところはあるだろう。彼らが縁の下の力持ちになることで、このチームはより一層大きな力を出せるはずだ。