欧州主要リーグの夏の移籍市場が現地8月31日に閉幕した。

 日本代表DF冨安健洋がイタリア・セリエAのボローニャからプレミアリーグの強豪アーセナルへ移籍したのをはじめ、アントワーヌ・グリーズマンのアトレティコ・マドリード復帰など例年以上に閉幕期限ギリギリの大型移籍が相次いだ。

 一方、出場機会を求めて移籍する可能性を取り沙汰されながら、現所属クラブへの残留を決断した選手もいる。日本代表ではオランダのPSVアイントホーフェンに在籍する堂安律や、リバプールに所属する南野拓実は移籍することなく、ビッグクラブで厳しいポジション争いに挑むことになる。

 日本代表合宿中の1日にオンラインで取材に応じた南野は「僕自身の状態としては、プレシーズンから感覚的にはいいですし、長いシーズンの中でチャンスは絶対にくると思うので、その時に結果を残したいなと。そのためにいい準備をしていけている手応えはある」と力強く語った。

 ただ、プレシーズンマッチでは多くのゴールを決めてユルゲン・クロップ監督に猛アピールしながら、現時点でプレミアリーグでの出場はゼロ。継続してベンチ入りしているものの、ピッチには立てない状況が続いている。

 それでもリバプール残留を選んだ南野の決意は揺るがない。

「あの時(昨季後半戦のサウサンプトン移籍)とは状況は違うなと、自分的には思っていて、今シーズンはたぶんチャンスもある。それを自分がつかむか、つかまないか。そこを生かせる自信もあるし、サウサンプトンに行って試合に出て、結果を残して帰って、リバプールで勝負すると自分の中で決めていたので、今シーズンはここ(リバプール)でしっかり勝負したいなと思います」

 リバプールでは出番に恵まれないが、日本代表ではワールドカップのアジア予選で出場7試合連続ゴールという記録を継続中。2列目でプレーしながら高い決定力を発揮し、確かな成長を示している。

 南野は2日に行われるアジア最終予選の初戦・オマーン代表戦での「8試合連続ゴール」について「チームの勝利が一番ですけど、みなさんの注目を集めていきたいとは思っているので、(記録を)狙っていきたいとあえて言います」と宣言した。

 自分にプレッシャーをかけるような発言に聞こえる。しかし、クラブでも代表でもさらなるチャンスをつかもうとするなら結果を出すことが何よりも重要になると理解しているからこそ出た言葉とも言えよう。

 今季はこれまでと違う自分を見せると心に決めたが故の残留。モチベーションにあふれる南野の貪欲さが、必ずや日本代表でもリバプールでも成果に結びつくはずだ。

(取材・文:舩木渉)