5位:東京五輪で離れ業を見せたFW

スペインの2021/22シーズン夏の移籍市場が現地時間8月31日に幕を閉じた。今夏も様々なビッグディールが誕生したが、最も高額な移籍金が支払われた選手は誰だったのだろうか。今回は、リーガ・エスパニョーラ20クラブが21/22シーズン夏に獲得した選手の移籍金ランキングを紹介する。(移籍金、市場価格は『transfermarkt』を参照)

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FW:ラファ・ミル(スペインU-24代表)
生年月日:1997年6月18日(24歳)
市場価格:1200万ユーロ(約14億円)
移籍先:ウルヴァーハンプトン→セビージャ
移籍金:1600万ユーロ(約19億円)
20/21リーグ戦成績:38試合13得点1アシスト

 U-24スペイン代表の一員として東京五輪(東京オリンピック)にも出場したラファ・ミルはセビージャへ移籍している。バルセロナのカンテラ(下部組織)に在籍した経験があり、18歳のときにバレンシアでトップチームデビューした。ここでは出場機会を得られなかったが、将来性を評価したウォルバーハンプトンが18年1月に完全移籍で獲得している。

 しかし、当時チャンピオンシップ(イングランド2部)で昇格争いをしていたチームで出番を得られず。18/19シーズンはラス・パルマス(スペイン2部)、19/20シーズンはノッティンガム・フォレスト(イングランド2部)、20年1月にはスペイン2部のウエスカに期限付き移籍。すると、半年で9得点を挙げて、岡崎慎司とともに1部昇格の立役者となった。昨季はチームが降格する苦しいシーズンだったが、13得点と孤軍奮闘して個人残留を果たした。

 191cmの体格を活かしたポストプレーや空中戦の強さが魅力だ。ボールタッチは柔らかく、頭だけでなく、右足から放たれるシュートの精度も高い。裏への飛び出しやクロスに対するポジショニングなど、得点感覚にも優れている。東京五輪の準々決勝では途中出場からハットトリックという離れ業をやってのけた。セビージャでは昨季公式戦9得点のルーク・デ・ヨングがバルセロナに移籍しており、ユセフ・エン=ネシリに次ぐ得点源として期待されている。

4位:2度の苦境を味わった男

FW:アルノー・ダンジュマ(オランダ代表)
生年月日:1997年1月31日(24歳)
市場価格:1500万ユーロ(約18億円)
移籍先:ボーンマス→ビジャレアル
移籍金:2350万ユーロ(約28億円)
20/21リーグ戦成績:33試合15得点7アシスト

 昨季、チャンピオンシップ(イングランド2部)で15得点を挙げたアルノー・ダンジュマは、2350万ユーロ(約28億円)とされる移籍金でビジャレアルに移籍している。ビジャレアルの移籍金最高額を更新したダンジュマは、第2節のアトレティコ・マドリード戦に途中出場。相手の隙を突いてミスを誘い、一時は勝ち越しとなるゴールを決めている。

 ナイジェリア生まれのダンジュマは、2度の苦境を経験している。PSVのアカデミーに加入したが、トップチームでチャンスを掴むことはできなかった。19歳のときにNECへ移籍してエールディビジデビューを果たすと、2年後にはベルギーの名門クラブ・ブルージュへ。すると、UEFAチャンピオンズリーグのアトレティコ戦で強烈なミドルシュートを沈め、一躍有名な存在となった。その2週間後にはオランダ代表としても初出場を果たし、3日後のベルギー代表戦でゴールを決めた。

 しかし、代表初ゴールを決めた試合で足首を痛め、長期に渡って離脱することに。シーズン終了後には1646万ユーロ(約20億円)の移籍金でボーンマスに加入したが、1年目はゴールなしに終わった。しかし、チームが2部に降格した昨季は公式戦17得点の活躍で復活をアピール。相手を一瞬で置き去りにできるスプリントと、優れた得点感覚を持つダンジュマは、スペインでどのような活躍を見せるのだろうか。

3位:東京五輪で大活躍のFW

FW:マテウス・クーニャ(ブラジル代表)
生年月日:1999年5月27日(22歳)
市場価格:3000万ユーロ(約36億円)
移籍先:ヘルタ・ベルリン→アトレティコ・マドリード
移籍金:3000万ユーロ(約36億円)
20/21リーグ戦成績:27試合7得点5アシスト

 東京五輪の金メダリストとなったマテウス・クーニャは、大会後にヘルタ・ベルリンからアトレティコ・マドリードへの移籍を決めている。五輪世代では中心的な存在で、東京五輪の南米予選では得点王に輝いた。本大会でも3得点を挙げる活躍で、母国を大会連覇へと導いた。

 18歳のときに母国ブラジルからスイスに渡り、FCシオンでは1年目から2ケタ得点をマークした。わずか1年でRBライプツィヒに移籍したが、ここでは主力に定着することはできず。しかし、昨冬にヘルタに移籍すると、1年半でブンデスリーガ12得点と結果を残した。昨年10月にはブラジル代表にも初選出され、今月2日のチリ代表戦でデビューを果たしている。ブラジル人らしい巧みなボールテクニックに加え、どの位置からでもゴールを狙えるシュート力を備えている。アスレチック能力も高く、スピードや強さも魅力だ。

 ポテンシャルは高いものの、アトレティコで輝くためのハードルは高そうだ。エースのルイス・スアレスと開幕からゴールを重ねているアンヘル・コレアが前線には君臨。さらに、移籍市場が閉まるギリギリのタイミングでアントワーヌ・グリーズマンが期限付き移籍の形で復帰している。リーガ王者でクーニャは居場所を築くことができるだろうか。

2位:モドリッチの後継者ついに現る?

MF:エドゥアルド・カマヴィンガ(フランス代表)
生年月日:2002年11月10日(18歳)
市場価格:5500万ユーロ(約66億円)
移籍先:レンヌ→レアル・マドリード
移籍金:3100万ユーロ(約37億円)
20/21リーグ戦成績:35試合1得点2アシスト

 レアル・マドリードは今夏、アーリング・ハーランドやキリアン・ムバッペら大物ストライカーの獲得に動いたと報じられたものの、実現には至らず。しかし、登録期限が迫る中で中盤の新たな核となりうる新星を確保した。18歳のレアルはエドゥアルド・カマヴィンガを獲得するために、レンヌに3100万ユーロ(約37億円)を支払っている。

 アンゴラの難民キャンプで生まれたカマヴィンガは、戦火を逃れるために幼少期に家族とともにフランスへ渡った。11歳のときにレンヌの下部組織に加わり、16歳でトップチームデビュー。2年目の19/20シーズンにはレギュラー定着を果たし、昨年9月には18歳にしてフランス代表デビューも飾っている。

 中盤の位置であらゆるタスクをこなすことができるMFだ。ボールタッチは柔らかく、左足のキックでチャンスを演出する。一見すると身体の線は細いように見えるが、鋭いタックルでボールを奪うことを得意としている。レアルは長年レギュラーを務めてきたルカ・モドリッチが36歳、トニ・クロースが31歳、カゼミーロも29歳と高齢化が進んでいる。カルロ・アンチェロッティ監督が就任した今季、カマヴィンガはベテランたちに割って入る活躍を見せることができるだろうか。

1位:セリエAが誇る天才パサー

MF:ロドリゴ・デ・パウル(アルゼンチン代表)
生年月日:1994年5月24日(27歳)
市場価格:3800万ユーロ(約46億円)
移籍先:ウディネーゼ→アトレティコ・マドリード
移籍金:3500万ユーロ(約42億円)
20/21リーグ戦成績:36試合9得点10アシスト

 背番号10を背負い、ウディネーゼの核として活躍したロドリゴ・デ・パウルは、5年ぶりにスペインへと活躍の場を移した。セリエA屈指のチャンスメイカーとの呼び声も高かったデ・パウルだが、3500万ユーロ(約42億円)という移籍金はお買い得にも見える。アルゼンチン代表においても欠かせない存在となったデ・パウルは、同胞のディエゴ・シメオネ監督の下でプレーすることを選んだ。

 20歳のときに母国のラシン・クラブからバレンシアへ移籍した。1年半で公式戦44試合に出場したが、先発した試合はわずか。一時的にラシンへ期限付き移籍で戻り、その数か月後にイタリアに渡ると、ウディネーゼでは攻撃の中心に据えられた。

 巧みなボールタッチと精度の高い右足のキックが特長だ。昨季は14位に沈んだウディネーゼでリーグ2位となる10アシストを記録。今夏のコパ・アメリカ(南米選手権)では準々決勝で貴重な先制点を決めると、決勝ではDFラインの裏を取る絶妙なロングフィードでアンヘル・ディ・マリアの決勝ゴールをアシストした。プロキャリアを通じて初のタイトルを手にした男は、昨季のリーガを制したアトレティコでどのような活躍を見せるだろうか。

【了】