20位:フランスが生んだ才能

リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。今回は「スピード」にフォーカスしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。
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FW:アラン・サン=マクシマン(フランス)
生年月日:1997年3月12日(24歳)
市場価値:3000万ユーロ(約36億円)
20/21リーグ戦成績:25試合3得点4アシスト

 アラン・サン=マクシマンは圧倒的な「スピード」をプレミアリーグで披露している。速さを存分に活かした「ドリブル」は脅威で、DFをいとも簡単にぶち抜いてしまう。

 パリ生まれのサン=マクシマンは、少年時代から才能の片りんを見せていた。14歳のときにサンテティエンヌのアカデミーに加入し、16歳という若さでトップチームデビューを果たした。そこからわずか2年後の15年夏にモナコへ完全移籍すると、ハノーファー、バスチア、ニースと渡り歩き、ニースでブレイクを果たす。17/18シーズンは3得点7アシスト、翌シーズンも6得点5アシストを記録し、19年夏にニューカッスルに加わった。

 両足を巧みに使い、相手の重心を外して一気に抜き去る。相手がスピードを警戒して間合いを空ければ、ドリブルで危険なエリアへとボールを運んでいく。両サイドでプレーすることができ、両足を遜色なく使えるため、相手は動きを推測するのが難しい。データサイト『WhoScored』によると、昨季の1試合平均のドリブル成功回数(3.8回)はアダマ・トラオレに次ぐリーグ2位の記録となっている。ドリブラーにありがちな球離れの悪さはサン=マクシマンにとっても例外ではなく、フィニッシュの精度を課題としている。全体的に見れば粗削りではあるが、得意分野に関してはプレミアリーグでも屈指の能力を持っている。

19位:ドイツ2部最速の男

FW:ゲリット・ホルトマン(フィリピン代表)
生年月日:1995年3月25日(26歳)
市場価値:180万ユーロ(約2.2億円)
20/21リーグ戦成績:30試合4得点6アシスト

 昨シーズンに加入したボーフムでブンデスリーガ2部優勝に貢献したゲリット・ホルトマンだが、その経歴は叩き上げだ。ブレーメンの下部組織出身だが、トップチームには上がれず。アイントラハト・ブラウンシュワイクではセカンドチーム(当時4部)で結果を残してトップチームに昇格し、マインツに所属していた16/17シーズンに21歳にして1部デビューを果たした。生まれも育ちもドイツで、世代別のドイツ代表でプレーした経験もあるが、フル代表は母親の出身地でもあるフィリピン代表を選択している。

 185cmと上背のある左利きのウインガーで、左サイドを主戦場としている。細かいタッチを駆使した「ドリブル」が特徴的で、するすると抜いていく。コース取りがうまく、複数の選手で対応していても、その隙間を縫うようにボールを運んでいく。そして、寄せが甘いと見るや、精度の高い左足で積極的にゴールを狙う。

 やはりなんと言っても最大の武器は「スピード」だ。2部でプレーした昨季に記録した時速36.43kmという速さは、11/12シーズンの計測開始以来最速で、瞬間的にではあるがこれは100mを9.88秒で走る速さとなる。ドイツ国内で見ても、バイエルン・ミュンヘンのアルフォンソ・ディヴィスが記録した時速36.51kmに迫る。一瞬の油断も許されないのが、ホルトマンという選手だ。

18位:手も早かった快足FW

FW:ジェウソン・マルチンス(ポルトガル代表)
生年月日:1995年5月11日(26歳)
市場価値:1800万ユーロ(約21.6億円)
20/21リーグ戦成績:23試合3得点4アシスト

 モナコでプレーするジェウソン・マルチンスは、リーグ・アン屈指のスピードを披露している。ベンフィカに在籍していた時期があったが、トップチームデビューを果たしたのはライバルクラブであるスポルティングCP。16/17シーズンには2桁アシストを記録し、16年10月にはポルトガル代表としてもデビューしている。しかし、翌シーズンの終盤にサポーターによる襲撃事件を受けて、マルチンスは退団。18年夏にアトレティコ・マドリードに加わったが、わずか半年でASモナコに移籍した。モナコでは審判を突き飛ばしたことで、6か月の出場停止処分が下されている。

 軽やかな身のこなしと、抜群の瞬発力で抜いていく「ドリブル」がストロングポイントだ。敵を欺くフェイントと、創造性にあふれたボールタッチは観る者を魅了する。股抜きやマルセイユ・ルーレットといったトリッキーな「テクニック」を見せることも多い。

 ボールを持ったときの創造性には素晴らしいものがあるが、やや独善的なプレーに走る傾向もある。モナコでは膝の手術もあったが、2年半でリーグ戦11得点と物足りない数字となっている。周囲との連係に磨きがかかれば、マルチンスの武器もより一層輝くだろう。

17位:ベガルタ仙台の秘密兵器

FW:エマヌエル・オッティ(ガーナ)
生年月日:1996年9月24日(24歳)
市場価値:20万ユーロ(約2400万円)
20/21リーグ戦成績:0試合0得点0アシスト(ヴィセラ)

 24歳ながら、ガーナ出身のエマヌエル・オッティは様々なクラブを渡り歩いてきた。10代のときに母国を離れ、ポルトガル、デンマーク、インドネシアでプレー。昨年10月に加入したポルトガル2部のヴィセラでは出場機会がなく、今年1月にはベガルタ仙台への加入が発表された。新型コロナウイルスの影響でチームへの合流は4月にずれこんでいる。

 一瞬でトップスピードに到達する瞬発力が素晴らしい。DFラインの裏に蹴られたボールは、たとえ反応が遅れたとしても追いつけるだけの「スピード」がある。172cmと小柄だが、当たり負けしない「フィジカル」を備えており、サイドで推進力を見せている。

 開幕から11戦未勝利とつまずいた仙台の起爆剤として期待されたが、J1デビューとなった試合で左ハムストリングの肉離れを起こしてしまった。出場した7試合はすべて途中出場で、得点はない。果たして、降格圏に沈む仙台を救うことはできるだろうか。

16位:5年間休みなしの快速FW

FW:イニャキ・ウィリアムス(スペイン代表)
生年月日:1994年6月15日(27歳)
市場価値:2500万ユーロ(約30億円)
20/21リーグ戦成績:38試合6得点7アシスト

 ガーナとリベリアにルーツを持つイニャキ・ウィリアムスは、バスク出身者のみがプレーできるアスレティック・ビルバオに16歳のときに加わった。トップチームデビューは20歳とやや遅かったが、主力に定着するのにさほど時間はかからなかった。

 試合に出続けられるタフさが魅力だ。15/16シーズンこそ度重なる怪我に見舞われたが、翌シーズン以降は5年連続で全試合出場というとてつもない記録を残し、鉄人ぶりを発揮している。19年夏には9年間という異例の長期契約を結び、「ビルバオ以外のクラブに参加する考えはない」とビルバオでキャリアを全うする覚悟を示している。

 186cmという恵まれた体格は、ずば抜けた身体能力を備えている。短距離選手と見紛うほどの「スピード」を有しており、裏を取るランニングはウィリアムスの特徴的なプレーの1つ。一見、身体の線が細いようにも見えるが、当たり負けしない「フィジカル」の強さも持っている。FWとしてはこれといって大きな穴はなく、センターフォワードだけではなく、ウイングとしてもプレーできる。チームにとっては欠かせない存在の1人となっている。

【了】