3トップがPSGで初共演

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第1節、クラブ・ブルージュ対パリ・サンジェルマン(PSG)が現地時間15日に行われ、1-1の引き分けに終わった。リオネル・メッシ、キリアン・ムバッペ、ネイマールの最強3トップが初めてそろい踏みすることとなったが、1得点のみに留まった。3人のスターの初共演は、なぜ機能しなかったのだろうか。(文:加藤健一)
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 リオネル・メッシがラ・リーガの規定によりバルセロナとの新たな契約を結べず、パリ・サンジェルマン(PSG)に加入した。バルセロナ時代の盟友だったネイマールと再会しただけでなく、今後のサッカー界を担うであろうキリアン・ムバッペとの共演も実現。ムバッペはレアル・マドリードへの移籍も噂されていたが、PSGが拒絶したことで残留。運命に導かれるように、最強の3トップが結集することとなった。

 ネイマールとメッシがコパ・アメリカ(南米選手権)の決勝まで戦った影響で、2人のチームへの合流は遅れた。ムバッペはリーグ・アン開幕戦から5試合すべてに先発しているが、ネイマールは先月29日のスタッド・ランス戦で今季初先発し、メッシはネイマールと交代する形で66分にピッチに立った。

 代表ウィークを挟んで行われた今月11日のクレルモン・フット戦に出場したのはムバッペだけだったが、この日のクラブ・ブルージュ戦でついに3人が共演することとなる。PSGのスタートポジションは4-3-3で前線は右からメッシ、ムバッペ、ネイマールという並びだった。

 PSGの先制点は15分に生まれる。左に流れたムバッペは、鋭い切り返しから縦に突破する。グラウンダーの折り返しにアンデル・エレーラが走り込み、左足で合わせてゴールネットを揺らした。

 それまでの内容が決して良かったわけではないが、PSGはいい時間に先制することができた。しかし、1点をリードしたPSGはこれ以降、苦しむこととなる。

機能不全は時間が解決するのか?

 この3トップと対峙する上で気を付けなければいけないことの1つはカウンターだ。ボールを持つ時間が長くなれば、カウンターを受けるリスクは大きくなる。しかし、クラブ・ブルージュは勇敢にもそういった戦い方を選んだ。簡単に蹴りだすことなくボールをつなぎ、高い位置からプレスをかけてPSG陣内に押し込んだ。

 すると、27分、クラブ・ブルージュは左サイドに突破口を見つけた。エドゥアルド・ソボルがオーバーラップして左サイドを突破する。1トップのチャールズ・デ・ケテラエルがDFラインを引き下げると、キャプテンを務めるハンス・ヴァナケンがグラウンダーの折り返しを右足で合わせた。シュートはプレスネル・キンペンベに当たってコースが変わり、ゴールに収まった。

 PSGもボール保持率を高めて主導権を握ろうとしたが、2点目が遠かった。同点ゴールの前の23分にはメッシのパスを受けたムバッペが決定機を迎えたが、シュートは惜しくも正面に飛ぶ。同点となって間もない29分には、ネイマールからパスを受けたメッシが、右のハーフスペースからドリブルで切り込む。左足でファーサイドを巻くようなシュートを放ったが、ボールは惜しくもポストを叩いた。

 マウリシオ・ポチェッティーノ監督はハーフタイムに2枚の交代カードを切る。ダニーロ・ペレイラとユリアン・ドラクスラーを入れる。しかし、後半立ち上がりにいきなり2つのピンチを許し、カウンターのチャンスでムバッペが負傷。3トップの一角を失ってしまった。

 マウロ・イカルディを入れたが、得点の糸口は見いだせず。時間の経過とともにPSGは勢いを失った。データサイト『WhoScored』によると、30分以降のシュート本数は13対6でクラブ・ブルージュが上回っている。

「彼らが理解を深めて機能するようになるには、時間が必要だ。それは明白で、私たちはそれをここのところ言ってきた。まだチームを作らなければいけない(段階な)んだ」

 試合後にポチェッティーノ監督はそう述べた。ただ、時間が勝手に解決してくれるわけではない。

なぜ攻撃が機能しなかったのか?

 クラブ・ブルージュは4バックで守り、相手の3トップに対してマンツーマンで対応していた。メッシとネイマールはハーフスペースのライン間に降りてくることが多いが、それに対してクラブ・ブルージュのDFはポジションを捨ててついていった。

 当然、DFがメッシやネイマールについていけば、クラブ・ブルージュのDFラインは枚数が足りなくなる。そして、このスペースに走りこめば一気にチャンスになる。ネイマールやジョルジニオ・ワイナルドゥムは何度かそういったランニングを見せていたのだが、なかなかボールが届かない。クラブ・ブルージュのハイプレスが機能していたのも大きかった。

 60分を過ぎたあたりからメッシがトップ下、ネイマールとイカルディの2トップのような形になるが、機能したとは言い難い。ただ、左サイドバックをアブドゥ・ディアロからヌーノ・メンデスに替えたことで改善。ダニーロが最終ラインに落ちて3バックになり、メンデスは高い位置に積極的に進出した。こうすることで相手のDFラインは4枚では対応できなくなり、PSGは優位性を獲得している。右サイドのアクラフ・ハキミが突破するシーンも終盤は増えている。

 しかし、結果的に2点目を決めることができなかった。前線3人が攻め残る代償として押し込まれることも多く、あわや失点というような場面もあった。

 少なくともこの試合に解決のヒントはあった。守備面での負担は気になるが、出場停止が続くアンヘル・ディ・マリアが戻ってくれば、彼らの破壊力はさらに増すかもしれない。3バックにしてハキミとメンデスを高い位置に留めるのも1つの方法かもしれない。うまく守備の負担を分担しつつ、ハイプレスを取り入れる必要性もあるかもしれない。

 万能な戦術はなく、対策されればそれを上回る何かをする必要がある。時間が必要という指揮官の言葉は、あらゆる選択肢を検証するための時間が必要だということを意味している。

(文:加藤健一)

【了】