危なげない勝利</h2>

 プレミアリーグ第5節、リバプール対クリスタルパレスが現地時間18日に行われ、ホームのリバプールが3-0で勝利を収めた。スコアだけ見ればリバプールの圧勝に思える一戦だが、リバプールはこの試合で不安をのぞかせている。(文:阿部勝教)

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 パトリック・ヴィエラを新監督に迎え、前節トッテナムを3-0で下し勢いに乗るクリスタルパレスとの一戦は、スコアから受けるようなリバプールの圧勝という内容ではなった。むしろ内容は互角。負けていてもおかしくはない試合だった。

 前節から4人のスタメンを入れ替え、新加入のイブラヒム・コナテがプレミアデビューを飾ったリバプールは、試合序盤からクリスタルパレスのカウンターに苦戦。ボール奪取後、ウィルフレッド・ザハとジョルダン・アイェウを走らせる速い攻撃で幾度もDFラインの裏を取られ、決定機を作られた。
 
 ボールを保持するもこれといった決定機を作れず、逆にピンチを招いていたリバプールだが、相手の隙は見逃さなかった。43分、コスタス・ツィミカスのコーナーキックを後ろから走り込んできたモハメド・サラーがヘディングシュート。このシュートは相手GKに阻まれるも、サディオ・マネがこぼれ球にいち早く反応。相手の足が止まった一瞬を突き、先制点を決めた。

 先制点を決めるもなかなか試合の主導権を握れなかったリバプールは、その後78分、89分に先制点とほとんど同じ形から2得点。結果的に3-0となったが、流れからの得点はなく、全てコーナーキックからの得点となった。

 前節に続き3得点を奪ったものの、攻撃陣が相手DFを圧倒した訳ではない。ゴールの場面を除けば傑出したプレーはほとんどなく、むしろ攻撃を防がれる場面の方が多かった。一体なぜだろうか。

跳ね返され続けた攻撃</h2>

 0トップに近い3トップで、中央のディオゴ・ジョタが両サイドのマネ、サラーのサポートやゲームの組み立てに関与するリバプールの攻撃は、ほとんどが両サイドアタッカーを起点に行われる。圧倒的なスピードと攻撃力を持つマネとサラーを両サイドに置き、個人技での突破や裏への抜け出しからチャンスを作っていく。

 さらに、高精度のクロスを配給できるSBも後ろに控えるため、サイドから多様な攻撃を仕掛けることが出来るのが近年のリバプールの強みとなっている。 

 しかし、止められない攻撃ではない。10分には右サイドのサラーがペナルティーエリア内へのカットインを囮に、後方にいたヘンダーソンにヒールパス。クロスを上げるも中に人数をかけていたクリスタルパレスに弾かれた。

 21分にも同じような形で攻撃を試みるも、今度はサイドに人数をかけてクリアされる。さらに35分にはサラーがドリブル突破を図ると今度は3人で取り囲み、ボール奪取。状況に応じ相手DFが的確に対応され、流れからチャンスを作れなかった。

 確かにやってくる攻撃がわかっていれば止めることは可能だ。しかし、相手はサラーやマネっといったワールドクラスの選手。人数をかけて失敗すれば失点は避けらえれない。だが90分間通してリバプールは攻撃を弾かれ続けた。何が足りなかったのか。

今冬の補強は必須</h2>

 問題はサイドではなくセンターFWだ。FWが柔軟にポジションを変え、試合の組み立てにも関与することはリバプールの戦術上必須。中盤で数的優位を作り、サイドから多彩な攻撃を繰り出せる。この試合で先発したジョタの実力が無いという話ではなく、戦術的に中央からの攻撃に怖さが全くない。

 この試合でも、前線で体を張ったポストプレーやCB間のギャップを突いた裏への抜け出しがほとんどない。最善戦での駆け引きが少ないため相手CBに負担を駆けることもできず、単純な裏への抜け出しや競り合いはフィジカルで抑えられていた。

 データサイト『WhoScored.com』によると、リバプールは25本のシュートを放っているが、そのうち枠内を捉えたのは10本。シュート本数は多いが、ほとんどが苦し紛れのミドルシュートだった。

 「これ以上加えるのは意味がない」とシーズン開幕前に語ったユルゲンクロップ監督が今夏獲得したのは、CBのコナテのみ。現状の戦力に満足しているようだが、クリスタルパレス戦を見る限る、今冬の補強は必須。タイトルを狙うのであれば、新エースとなるFWの獲得が必要だろう。

 この試合から改善し、新たな戦術を見出すのか。それとも新たなストライカーを獲得するのか。今後のリバプールの変化が楽しみだ。

(文:阿部勝教)