10位:メッシらを輝かせるPSGの最古参

 リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、世界には数々のスター選手が存在する。しかし、それらの選手のどこが優れてどこが劣っているのかを知る者はあまり多くはないはずだ。今回フットボールチャンネル編集部では、世界屈指の実力者たちの各能力を様々なデータを参照して数値化し、平均値を算出。今回は「パス」にフォーカスしたランキングを紹介する(ポジションは主に所属クラブのもの、市場価格は『transfermarkt』を参考)。

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MF:マルコ・ヴェラッティ(イタリア代表/パリ・サンジェルマン)
生年月日:1992年11月5日(28歳)
市場価格:5500万ユーロ(約66億円)
20/21リーグ戦成績:21試合0得点2アシスト

 19歳でパリ・サンジェルマン(PSG)に加入したマルコ・ヴェラッティは在籍10年目を迎え、クラブ最古参としてチームを牽引している。前所属であり、地元クラブのペスカーラで育成されたヴェラッティだが、トップチームに昇格した当時はペスカーラがセリエBに所属していたため、イタリア人ながらセリエAでのプレー経験がないという珍しいキャリアを歩んでいる。

 高いキープ力と「ドリブル」で相手のプレスを剥がしつつ、精度の高い「パス」でゲームを組み立てることを得意としている。視野がとても広いこともあり、遠いサイドでフリーの選手を見つけて、質の高いサイドチェンジでチャンスを演出することも可能だ。得点に直接絡む頻度こそ少ないが、相手からハードなタックルでボールを奪い、ムバッペら強力FW陣にボールを繋いでカウンターの起点となる黒子としての活躍が光る選手だ。

 ピッチにいればチームを勝利に導けるクオリティの持ち主だが、近年は負傷離脱を繰り返しており、稼働率が低いのが最大の懸念点だろう。20/21シーズンは新型コロナウイルスの影響も含めて、5度の離脱を余儀なくされている。大一番をコンディション不良で欠場することも多く、PSGが悲願のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)制覇を達成するには、この男の活躍が不可欠になるだろう。

9位:欧州2冠を達成したUEFA最優秀選手

MF:ジョルジーニョ(イタリア代表/チェルシー)
生年月日:1991年12月20日(29歳)
市場価格4500万ユーロ(約54億円)
20/21リーグ戦成績:28試合7得点1アシスト

 18年夏にナポリ時代の恩師マウリツィオ・サッリと共にチェルシーにやってきたジョルジーニョは、世界を代表する「パサー」へと成長を遂げた。20/21シーズンはチェルシーでUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝、イタリア代表でユーロ(欧州選手権)優勝を成し遂げ、エメルソン(現リヨン)と共に同一シーズンに2つの欧州王者のタイトルを獲得。自身もUEFA最優秀選手賞に選出された。

 正確無比な「パス」でボールを展開しつつ、味方選手に指示を出しながらゲームをコントロール姿は「司令塔」という表現がぴったりと当てはまる。21年1月にトーマス・トゥヘルが監督に就任して以降、チェルシーは3-4-2-1のシステムを採用しているが、相手が5レーンを埋めてこない場合は大外のWBの選手がフリーになるケースが多く、相手の背後を突く浮き球のパスでチャンスを演出するプレーが多く見られる。

 フィジカルコンタクトが激しいプレミアリーグでプレーしながら負傷離脱をしないタフさもジョルジーニョの長所だ。「transfermarkt」によるとチェルシー加入後は1度も負傷しておらず、キャリアを通じても負傷により欠場した試合数はわずか3試合だ。常に計算ができるというのも、数々の監督の下で主力選手としてプレーできている理由だろう。

8位:まさかのアクシデントから復帰を目指す司令塔

MF:クリスティアン・エリクセン(デンマーク代表/インテル)
生年月日:1992年2月14日(29歳)
市場価格:4000万ユーロ(約48億円)
20/21リーグ戦成績:26試合3得点0アシスト

 トップ下が自身の能力を最大限に発揮できるポジションのため、アントニオ・コンテ前監督の3-5-2の戦術に適応するのに苦労したクリスティアン・エリクセン。昨季のコッパ・イタリア準々決勝のACミラン戦で劇的な勝ち越しFKを決めると、以降コンテ監督の信頼を掴み、シーズン終盤はレギュラーに定着してスクデット獲得に貢献した。

 インテル移籍後は適応に苦しんだこともあり得点に直結するプレーは減ったが、かつて所属していたトッテナムとアヤックスでは正確なキックを武器に多くのゴールを演出している。特にプレースキックでの「パス」精度は世界トップクラスで、通算7シーズンでリーグ戦2桁アシストを記録している。

 今夏に行われたユーロ(欧州選手権)のデンマーク代表メンバーにも選出され、グループステージ第1節フィンランド戦で先発出場を果たすが、前半終了間際に一時「心停止」の状態となり、ピッチに倒れ込むアクシデントに見舞われた。その後、意識を取り戻すも、植え込み型除細動器(ICD)を付けた生活が続いている。

7位:代名詞はアウトサイド

MF:ルカ・モドリッチ(クロアチア代表/レアル・マドリード)
生年月日:1985年9月9日(36歳)
市場価格:1000万ユーロ(約12億円)
20/21リーグ戦成績:35試合5得点3アシスト

 2018年にその年の世界最高の選手に贈られる「バロンドール」を受賞したルカ・モドリッチは36歳となった今もレアル・マドリードの「10番」として活躍し続けている。2006年にデビューを飾ったクロアチア代表では、同国史上最多の出場試合記録を更新し続けており、今夏に行われたユーロ(欧州選手権)にも出場。グループステージ最終節スコットランド戦では芸術的な右足でのアウトサイドシュートを決め、チームを決勝トーナメント進出に導いた。

 世界最高の選手の1人であるモドリッチには「ドリブル」や豊富な「運動量」など様々な武器があるが、彼の最大の代名詞は右足アウトサイドでの「パス」だろう。インサイドでの「パス」と比較するとタイミングや軌道が読みづらく、モドリッチのようにアウトサイドでも正確「パス」を届けられる選手は、相手DFにとってとても厄介な存在となる。

 モドリッチの上手さはオンザボールだけではない。ゲームを読む力に長けており、試合中に自分の判断で細かいポジションチェンジを行ないながら、相手にとって嫌な位置でボールを引き出してゲームの流れも変えてしまう。まさに「ピッチ上の指揮官」とも言えるプレーでチームを勝利に導くことができる選手だ。

6位:DFとは思えない攻撃センス

DF:トレント・アレクサンダー=アーノルド(イングランド代表/リバプール)
生年月日:1998年10月7日(22歳)
市場価格:7500万ユーロ(約90億円)
20/21リーグ戦成績:36試合2得点7アシスト

 リバプール生え抜きの右サイドバックであるトレント・アレクサンダー=アーノルドは、DFの中では図抜けた攻撃的なセンスを持ち合わせている選手だ。最大の武器は世界トップクラスの精度を誇るクロスで、18/19シーズンから2シーズン連続でプレミアリーグ2桁アシストを達成。19/20シーズンに記録した13アシストはプレミアリーグでプレーしたDFの1シーズン最多アシストとしてギネス世界記録に認定されている。

 リバプールの前線には190cm超えのターゲットとなる選手がいるわけではないが、鋭く曲がって落ちるピンポイントクロスで多くのゴールをお膳立てしている。また、低い位置でサイドを変える「パス」の精度も高く、左サイドバックのアンドリュー・ロバートソンとの異次元のパス交換は試合の解説者も思わず唸ってしまうほどの、圧巻のプレーだ。

 20/21シーズンはやや不調気味だったものの、21/22は開幕から好調を維持している。DFながらプレミアリーグトップクラスの「チャンスメイカー」でもあるアーノルドは、20/21シーズンを無冠で終えたリバプールに再びタイトルをもたらすことができるだろうか。