新体制となったワトフォードを終始圧倒

プレミアリーグ第8節、ワトフォード対リバプールが現地時間16日に行われ、0-5でアウェイチームが勝利した。開幕から唯一の”無敗”であるリバプールは、この日も絶好調の攻撃陣が躍動して大量ゴールを奪った。(文:安洋一郎)

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 開幕から7試合を消化した時点で、唯一無敗をキープしているリバプール。しかし、中盤の選手の相次ぐ負傷や、10月の代表ウィークでブラジル代表に招集されていたアリソン、ファビーニョが起用出来ないという不安材料を抱えた状況で今節を迎えた。

 今節の対戦相手であるワトフォードは、リバプールが圧倒的な強さを誇った2019/20シーズンに無敗記録を止めたチームだ。また、先日監督に就任したクラウディオ・ラニエリは、ホームでの対リバプール戦の通算結果が5戦4勝と相性が非常に良く、難しいゲームになることが予想されていた。

 だが、キックオフ直後からこれらの不安を大きく裏切る展開で試合は進んだ。

 ワトフォードはリバプールの強力攻撃陣をケアするためもあってか、慣れない5バックで試合をスタートさせた。しかし、これが裏目に出て中盤でボールロストを連発。前半のパス成功率は54%と簡単にボールを失い続け、支配率はわずか18%に留まった。

 ワトフォードが繋ぎの部分でミスを連発したこともあり、リバプールはゲームを完全に支配。後半56分までワトフォードに1本もシュートも打たせず、得意のショートカウンターから何度もゴールに迫った。

 8分にサディオ・マネのゴールで先制に成功すると、今節が今季のプレミアリーグで2試合目の先発出場だったロベルト・フィルミーノがハットトリックを達成。開幕から絶好調のモハメド・サラーも、切れ味鋭いドリブルから公式戦8試合連続となるゴールを記録した。

 結果、アウェイのリバプールが5-0とワトフォードを圧倒。ゲームが決まった後半には、ミッドウィークに控えるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)アトレティコ・マドリード戦のことも考えて、主力を温存して戦うことにも成功した。

 ワトフォードの出来があまりに酷かったとはいえ、間違いなくリバプールは強い。それを証明するに相応しい試合だった。

一部主力が不在でも完成度が高い理由

 今節は前述した通り、アリソンやファビーニョ、チアゴ・アルカンタラ、ハーヴィー・エリオット、カーティス・ジョーンズらが不在という難しいチーム状況だった。

 リバプールは他のプレミアリーグの強豪と比べると決して選手層が厚いチームではない。だが、ユルゲン・クロップ監督の戦術はチーム全体に浸透しており、誰が出場しても強いという完成度の高さが伺えるゲーム内容だった。

 それもそのはず、今節に出場した14人全員が、昨季以前からリバプールに所属している選手だった。これは他のプレミアリーグのクラブではあり得ない、近年選手の入れ替わりが少ないリバプールならではのデータだろう。

 良くも悪くも今夏にイブラヒマ・コナテ以外の補強を行わなかったことが、このような出場結果となっているのだが、選手同士の共通理解は他のどのクラブよりも進んでいる。

 それを象徴するのが後半ロスタイムのアレックス・オックスレイド・チェンバレン、ネコ・ウィリアムズ、ロベルト・フィルミーノと繋いでゴールを奪ったシーンだ。

 チェンバレンとウィリアムズは決して出場機会が多い選手ではない。特にウィリアムズは今節が今季公式戦初出場だった。だが、お互いの共通理解が進んでいることもあり、2人の見事な連係から完璧に右サイドを崩してフィルミーノのゴールをお膳立てした。

 昨季は3人のレギュラークラスのCBが負傷離脱を余儀なくされたことで苦しんだリバプール。だが、今季は二の舞を演じないようにコナテを補強し、各選手の連係も高まって、より完成度の高いチームに成長を遂げている。

開幕から絶好調も、真価が問われるのは…

 前ページでは「誰が出場しても強い」と書いたが、モハメド・サラーだけは例外かもしれない。

 試合後の会見でクロップ監督は、「今のサラーより優れている選手は誰ですか?彼は世界最高の選手だ」と述べており、今季はその評価に相応しい活躍を披露し続けている。

 今節の活躍も見事だった。前半8分には左足のアウトサイドパスでマネのゴールをアシスト。後半54分には前節マンチェスター・シティ戦に続いて、ボックス内で複数の相手DFを剥がしてゴラッソを決めた。例年以上にドリブルはキレており、いずれも「サラーだから出来る」というプレーの連続だった。

 このゴールが公式戦8試合連続弾となったサラー。早くも今季の公式戦での得点数を二桁に乗せており、押しも押されもせぬエースとして絶好調のリバプール攻撃陣を牽引している。

 だが、懸念材料もある。ケガによる離脱が非常に少ないことで知られるサラーだが、今季は既にシーズン途中に離脱することが濃厚となっている。エジプト代表として22年1月から開催されるアフリカ・ネーションズカップに出場するためだ。

 同期間にはマネも離脱することが濃厚となっている。以前はルイス・スアレスやフェリペ・コウチーニョを高額な移籍金で売却して即戦力を補強していたが、現在のリバプールはコロナ禍ということもあり、経済的な余裕はあまりない。

 ベンチから出番を待つことが多い南野拓実やディボック・オリギらで彼らの穴を埋めるのか、それとも冬までに戦術にフィットしそうな選手を見極めて即戦力を補強するのか。サラー、マネが不在となる期間にリバプールの強さと完成度の高さが問われることになりそうだ。

(文:安洋一郎)