新天地でも不動の存在に

東京五輪ではメダルに一歩届かなかったが、3年後のパリ五輪に向けた戦いが早くもスタートする。パリ五輪世代となるU-20世代を中心とするメンバーが参加するAFC U23アジアカップ予選に向けたメンバーが、19日に発表となる。今回は、U-22日本代表に推薦したい5人を紹介する。※2021年8月9日、12日に掲載したものを加筆・再編集して再掲載する。
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MF:松岡大起(まつおか・だいき)
所属クラブ:清水エスパルス
生年月日:2001年6月1日(20歳)
2021シーズン成績:21試合0得点2アシスト(鳥栖)
9試合0得点0アシスト(清水)

 東京五輪の最中に発表された松岡大起の完全移籍というニュースは大きな話題を呼んだ。サガン鳥栖U-18に所属していた2019年3月にJ1デビューを果たし、18歳の誕生日を迎えた直後にプロ契約を結んでいる。2年半でJ1リーグ76試合に出場し、20歳ながら鳥栖では中心的存在となっていた。

 鳥栖の金明輝監督はアカデミー時代にも指導を受けた間柄で、松岡はアカデミー出身の選手が次々と台頭するチームを象徴するような存在だった。本職は中盤で、豊富な運動量とボール奪取能力の高さが魅力だ。最終ラインに故障者が続出した昨季は最終ラインでも起用されるなど、守備力の高さは高く評価されている。

 ブンデスリーガで結果を残す遠藤航が日本代表の中盤で欠かせない存在となっているが、プレースタイルは松岡と重なる部分もある。連戦を戦い抜くタフさを備えており、国際大会でも活かされるだろう。新天地となった清水でも、既に欠かせない存在となっている。

17歳にしてJ1通算43試合出場

DF:中野伸哉(なかの・しんや)
所属クラブ:サガン鳥栖
生年月日:2003年8月17日(18歳)
2021シーズン成績:29試合0得点2アシスト

 J1リーグの上位争いに食い込むサガン鳥栖で、存在感を放っているのが中野伸哉だ。先月末にトップチーム昇格するまではU-18に所属していたが、16歳だった昨季にデビュー。17歳ながらJ1通算で43試合に出場している。ここのところは途中出場が続いているが、上位争いに加わるチームの戦力となっている。

 身長173cm体重64kgという華奢な見た目だが、クレバーな対人守備を活かして鳥栖では3バックの左を担う。的確なポジショニングと左足のテクニックで攻撃の組み立てもこなし、機を見たオーバーラップで攻撃に厚みを加える。17歳とは思えない成熟さを見せる選手で、チームに安定感をもたらしている。

 3月にはU-24日本代表にも選出され、飛び級での東京五輪出場の可能性もあった。2001年1月1日以降に参加資格が与えられるパリ五輪では年少者の1人となるが、このまま経験を積んでいけばDFラインを引っ張る存在の1人となるだろう。

伸びしろ十分の現役高校生

DF:チェイス・アンリ
所属クラブ:尚志高校
生年月日:2004年3月24日(17歳)

 チェイス・アンリはまだプロの舞台を経験したことはないが、3年後のパリ五輪で主力を担う可能性のあるセンターバックだ。U-20日本代表トレーニングキャンプには飛び級で参加。その後は菅原由勢が所属するオランダのAZに練習参加するなど、素質を高く評価されている。

 父の母国であるアメリカ合衆国に住んでいた時期があり、サッカー以外のスポーツも経験した。独特なヘアースタイルが特徴的で、身体能力の高さは同年代の選手の中で抜きんでている。183cmという体躯を活かした打点の高いヘディングや激しいタックルが武器。同年代の選手に比べるとサッカー経験が短く、ポジショニングやプレー選択のスピードには課題を抱えていたが、急速に成長を見せている。

 尚志高校では福島予選突破へと導き、8月に行われた全国高校総体(インターハイ)初戦では無失点に抑えながらもPK戦で涙を飲んだ。3年後のパリ五輪はもちろん、将来の日本代表にも選ばれるだけのポテンシャルを秘めており、今後の活躍が期待される。

大先輩・遠藤航を彷彿とさせるダイナモ

DF:田中聡(たなか・さとし)
所属クラブ:湘南ベルマーレ
生年月日:2002年8月13日(19歳)
2021シーズン成績:30試合2得点1アシスト

 昨季のリーグ戦が再開されて間もなく、17歳でJリーグデビューを果たした田中聡は、湘南ベルマーレの主力の1人となっている。ユース時代から田中を指導する浮嶋敏前監督の下では、トップチームで左センターバックとアンカーの2つのポジションで田中を起用された。

 元々はMFだったこともあり、ボールを運ぶ技術やキックの質が高い。そして、最大の武器は攻守におけるデュエルの激しさ。外国籍選手や大柄な相手にも当たり負けせず、ボールを奪う技術も優れている。中盤と最終ラインをこなし、攻守に貢献できるプレースタイルは、アカデミーの先輩でもある遠藤航を彷彿とさせる。

 湘南ではブラジル人のチームメイトと仲が良い。複数のポジションをこなせるのも五輪本大会では貴重で、近年はコンスタントに世代別の代表に選ばれている。このまま経験を積んでいけば、パリ五輪の舞台で活躍している姿は想像に難くない。

選手権優勝の立役者

MF:松村優太(まつむら・ゆうた)
所属クラブ:鹿島アントラーズ
生年月日:2001年4月13日(20歳)
2021シーズン成績:22試合2得点0アシスト

 松村優太の名前が全国に知れ渡ったのは、昨年1月に行われた全国高校サッカー選手権だろう。静岡学園の背番号10を背負う松村は、ドリブルを武器にチームの攻撃を牽引。同校史上初となる単独優勝の立役者となった。

 高校卒業とともに鹿島アントラーズに加入。デビュー戦となったルヴァンカップで危険なスライディングにより退場処分を受けてしまった。ほろ苦いデビュー戦を経て臨んだシーズンは、リーグ戦での出場が13試合でゴールはゼロ。プロの壁にぶち当たった格好となったが、2年目の今季はリーグで2得点、カップ戦でも1得点を記録している。

 繊細なボールタッチと切れ味鋭いドリブルが持ち味で、サイドを上下動するスピードも魅力だ。これまでは世代別の日本代表にも名を連ねており、この世代を代表するアタッカーの1人と言っていいだろう。パリ五輪に向けた戦いの中で、松村は競争を勝ち抜くことができるだろうか。