PSG指揮官が警戒していたのは…

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第3節、パリ・サンジェルマン(PSG)対RBライプツィヒが現地時間19日に行われ、3-2でPSGが勝利を収めた。一時はリードを許したものの、それもマウリシオ・ポチェッティーノ監督の想定内だったのだろうか。試合中の修正が功を奏し、2点を奪って逆転に成功している。(文:本田千尋)
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 アルゼンチン人指揮官の予言通りの試合展開となった。

 現地時間10月19日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)のグループA第3節。対RBライプツィヒ戦に向けた会見で、マウリシオ・ポチェッティーノ監督は、次のように述べていた。

「特定の状況から抜け出し、ライプツィヒのカウンターアタックに注意するために、私たちはインテリジェントにボールを動かさなければならない。そのカウンターは我々にダメージを与える可能性がある。我々はカウンターを仕掛けることもできるが、ゲームを支配するポゼッションも重要になるだろう。ポゼッションが失われた時に何が起こるかによってこの試合は決まるだろう」

 [4-3-3]の布陣でスタートしたパリ・サンジェルマンは、9分にキリアン・ムバッペがゴールを奪って先制。ポチェッティーノ監督が「我々はカウンターを仕掛けることもできる」と語っていたように、自陣ボックス近辺のロングカウンターからフランス代表FWが決め切った。しかしその後、28分にアンドレ・シウバ、57分にノルディ・ムキエレに決められ、ライプツィヒに逆転を許してしまう。

 この2つの失点は、“同じパターン”によるものだった。自陣でボールを失った後、逆サイドに大きく展開され、4バックの脇からファーに入れられたボールを、28分はシウバに、57分はムキエレに合わせられて失点。ポチェッティーノ監督が「ライプツィヒのカウンターアタックに注意する」と警戒していたにもかかわらず、「ポゼッションが失われた時に何が起こるかによってこの試合は決まる」と話していたように、ボールを失った時に適切な守備をすることができなかった。

 PSGは、いわゆる“切り替え”に長けたライプツィヒの狙い通りの形でゴールを奪われてしまった。

 そもそもムバッペのゴールで先制に成功はしたものの、逆転される予兆はあった。

2失点は“予言通り”

 開始間もない3分に自陣左サイドでマルコ・ヴェラッティがボールを奪われてカウンターを喰らい、決定機を与えていたPSGは、7分にも左のファーサイドからクロスを入れられ、シウバにヘディングでシュートを打たれて決定機を招いている。

 特に7分の場面は、カウンターを喰らったわけではないが、右SBアクラフ・ハキミの前のスペースからボールを入れられたという点では、28分のゴールと57分のゴールと同様の形だ。

 さらに、28分、57分の失点パターンも、ヴェラッティが奪われてカウンターを喰らったことを踏まえると、(1)ヴェラッティを狙う→(2)逆サイドに展開→(3)ファーにクロスを入れてフィニッシュ、という一連の流れが、ライプツィヒ側がPSG戦に向けて準備したプランだったのだろう。そしてポチェッティーノ監督が「(ライプツィヒの)カウンターは我々にダメージを与える可能性がある」と“予言”していたとおり2失点してしまったのである。

 もっとも裏を返せば、アルゼンチン人指揮官にとっては、こうした試合展開も想定内だったかもしれない。“ライプツィヒの強み”と“自分たちの弱み”を知っていたからこそ、試合前日に冒頭のようなコメントを残したのだろう。何より逆転されてからの対処は速かった。

 ポチェッティーノ監督は、61分にアンデル・エレーラに代えてジョルジニオ・ワイナルドゥム、イドリッサ・ゲイエに代えてダニーロ・ペレイラを投入。ペレイラを3バックの中央に配置して、布陣を[5-3-2]に変更。後ろを5バックに変更して、狙われていた4バックの脇のスペースを消した。

CL制覇への近道は…

 後方が安定したPSGは、ボールを失った時の守備も安定するようになり、67分には敵陣でボールを奪ってカウンターを仕掛け、ムバッペの折り返しからリオネル・メッシが決めて同点に追い付く。

 さらに73分には、ロングカウンターから左サイドに運び、ムバッペが仕掛けてPKを獲得。ここもメッシが冷静に決め切って、PSGが逆転に成功する。4バックから5バックに変更してサイドのスペースを消すことで、ライプツィヒがボールを奪った後の運びどころを消した。これが守備の安定に繋がり、ムバッペを先鋒とする鋭いカウンターを仕掛けられるようになった、と言えるだろう。

 同様に後半のアディショナルタイムにも、引いた守備からロングカウンターを仕掛け、ハキミがPKを獲得。このチャンスをムバッペが決め切れなかったものの、いずれにせよ「ポゼッションが失われた時に何が起こるかによってこの試合は決まる」というポチェッティーノ監督の“予言”どおり。カウンターの応酬で試合は進み、PSGがライプツィヒに勝ち切って勝ち点3を手にした。

 このライプツィヒ戦では「私たちはインテリジェントにボールを動かさなければならない」と話していたようには安定したポゼッションを実現できず、2つの失点場面ではカウンタープレスも機能しないなど、課題も出た。しかしPSGにとっては、下手にポゼッションにこだわるよりも、割り切って後ろを固めてムバッペとメッシのコンビを活かしてカウンターで強襲してしまった方が、CLの頂点は近いのではないか。

 この試合は怪我で欠場したが、ネイマールもいることを考えると、ルイス・エンリケ時代のFCバルセロナが、現在のPSGにとっては最適なロールモデルとなり得るのかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】