2点のリードを守りきった

プレミアリーグ第10節、レスター対アーセナルが現地時間30日に行われ、0-2でアウェイチームが勝利した。冨安健洋は右SBとして先発フル出場。前半早々に2点のリードを奪い、後半は防戦一方だったが、持ち味である堅守で無失点勝利に大きく貢献した。(文:安洋一郎)

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 前節、アストン・ビラに3-1の快勝を収めたアーセナルは、今節も同じ3バックのレスター相手にキックオフ直後から主導権を握ることに成功した。

 自分たちのペースを握る上で重要な役割を担っていたのが、2試合連続でスタメンに起用されたアレクサンドル・ラカゼットだ。前節同様にワントップのピエール=エメリク・オーバメヤンより少し低い位置でボールを引き出し、レスターの守備陣が捕まえきれない抜群のポジショニングで起点を作った。

 主導権を握ったアーセナルは5分、前節に引き続きCKから先制点を決めることに成功した。その後も自分たちのペースでサッカーを展開し、18分にカウンターからエミール・スミス=ロウが2試合連続ゴールとなる得点を決めて、前半を2-0のリードで折り返す。

 後半開始と同時にレスターはCBのダニエル・アマーティとFWのケレチ・イヘアナチョを下げて、WGのアデモラ・ルックマンとハーヴィー・バーンズを投入。システムを4-2-3-1に変更し、サイド攻撃からアーセナルゴールに迫った。

 そこで立ちはだかったのが、GKのアーロン・ラムズデールを始めとするアーセナルの守備陣だ。後半開始直後はサイドを起点に立て続けに決定機を作られたが、最後はラムズデールが決死のセーブでゴールを割らせず。DF陣も前節、終盤に失点した反省を活かし、堅い守備ブロックを形成し集中した守備で守り切った。

 結果、ホームのレスターはボール保持率64%、シュート16本、枠内シュート8本とスタッツ的にはアーセナルを圧倒したが、無得点に終わり敗戦。一方のアーセナルは前半を2-0で折り返していたこともあり、後半は無理をして攻める必要性がなく、無失点という最高の形で逃げ切ることに成功した。

 これでアーセナルは第4節ノリッジ戦から続く公式戦無敗記録を「9」に伸ばし、プレミアリーグでは暫定ながら6位に浮上。遂に欧州カップ戦出場を狙える位置まで順位を上げた。

この試合で主役となったのは…

 この試合で主役となったのがアーセナルの新守護神アーロン・ラムズデールだ。アーセナルはレスターに8本の枠内シュートを打たれたが、その全てをラムズデールがセーブした。

 いずれのセーブも簡単なものではなかった。43分のユーリ・ティーレマンスの完璧に近いFKを指先で弾き出し、後半開始直後のルーク・トーマス、ルックマンが迎えた決定機も抜群のポジショニングと超反応でゴールを割らせなかった。

 仮に前半終了間際のティーレマンスのFKが入っていたら、1点差となっていたこともあり、両チーム共に違ったゲームプランになっていただろう。アーセナルのミケル・アルテタ監督も「ゴールが決まったと思った」と語っており、振り返るとこの試合の行方を決める最も重要なプレーだったのかもしれない。

 今となってはアーセナルの正GKに定着し、多くの好プレーでサポーターから称賛の声が寄せられているラムズデール。しかし、加入当初は高額な移籍金、2シーズン連続での降格を経験していることなどが理由で獲得に関して懐疑的な意見を持つ人も多かった。

 だが、ラムズデールが実際に試合に出始めてからは、徐々に批判的な声は少なくなっていった。ベルント・レノがスタメン出場していた第3節までにアーセナルは10失点を喫していたが、ラムズデールが正GKとなってからは7試合で4失点と大幅に失点が減少。当然、ラムズデールと同じタイミングでスタメンに抜擢されたガブリエウ・マガリャンイスや冨安健洋らの存在も大きいのだが、ラムズデールの活躍なくしてはこの結果にはなっていなかっただろう。

 それはセーブ率を見れば明らかだ。開幕からファインセーブを連発しているチェルシーのエドゥアール・メンディが90%という人間離れのセーブ率を記録しているが、ラムズデールはそれに次ぐ86%のセーブ率を記録している。

 高いセービング技術に加え、レノが苦手としていたビルドアップ能力にも長けており、今節レスター戦でもオーバメヤンに低い弾道で効果的なフィードを送るなど、攻撃面での貢献も大きい。攻守に渡る効果的なプレーは、好調アーセナルの原動力となっている。

冨安の結果は…

 今節も右SBで先発フル出場を果たした冨安健洋。前節同様に安定した守備で無失点に大きく貢献した。

 この試合で冨安は両チーム合わせてトップのインターセプト数(3回)を記録。特に前半31分のジェームズ・マディソンからジェイミー・ヴァーディへの鋭い縦パスをスライディングでカットしたシーンは圧巻だった。

 抜けていれば失点の可能性も大きかったこの場面で冨安は、あらかじめの準備と予測でパスをカット。このプレーには、すかさずアーセナルサポーターから「スーパートミ(冨安の愛称)」のチャントが送られた。

 後半から投入されたバーンズへの対応は防戦一方となったことでやや苦しみ、79分にはエリア内でフィジカルバトルに敗れピンチを招いたシーンも見られた。だが、試合を通じて見れば安定したパフォーマンスを披露しており、前節アストン・ビラ戦同様に味方と連係して前にボールを取りに行き過ぎず、しっかりとした守備ブロックを形成することに貢献していた。

 加入から数試合は積極的に前にボールを取りに行き過ぎたことで、その背後を狙われて失点というシーンがあっただけに、状況に応じて守り方をチームに合わせることができている点は評価すべきポイントだ。

 アルテタ監督も「冨安は我々の守備陣に多くの落ち着きを与えてくれている。私たちが彼にどのように守って欲しいのかという方法を理解することと、適応力は多くの称賛に値する」と高い評価を与えている。

 冨安やラムズデールを始め、今夏に獲得した新戦力が適応し始めているアーセナル。欧州カップ戦の出場権獲得権を争うであろうレスターにアウェイで勝利したことは勝ち点「3」以上の価値があり、サポーターたちの期待は高まるばかりだ。

(文:安洋一郎)