アトレティコ・マドリードの躍進を支えた元主将

 スペイン代表はどのポジションを切り取っても世界トップクラスのタレントと選手層を擁している。今回は、選手層が厚すぎるがゆえにスペイン代表で活躍できなかった5人の選手を紹介する(※成績は2021年10月31日時点)。

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MF:ガビ(元アトレティコ・マドリード)
生年月日:1983年7月10日
スペイン代表成績:なし
ラ・リーガ成績:429試合21ゴール39アシスト

 近年のアトレティコ・マドリードの躍進を主将として支えたガビ。しかし、キャリアを通じてスペイン代表とは縁がなかった。アトレティコ・マドリードの下部組織出身でトップチームデビュー後、07夏にレアル・サラゴサへ移籍。4シーズンに渡って主力として活躍し、在籍最終年にはキャリア唯一となるシーズン2桁ゴールを記録した。

 11年夏にアトレティコ・マドリードに復帰。ディエゴ・シメオネが11年12月に監督に就任すると主将に任命され、加入初年度からUEFAヨーロッパリーグ(EL)優勝を成し遂げた。2013/14シーズン最終節バルセロナ戦ではCKからディエゴ・ゴディンの同点ゴールをアシストし、チームに1995/96シーズン以来のラ・リーガのタイトルをもたらした。

 アトレティコ・マドリードで6つのタイトル獲得に貢献したガビだが、現役を引退する20年11月まで1度もスペイン代表から招集されることはなかった。U-21代表では主力選手だったが、シャビ・アロンソやセルヒオ・ブスケツ、ハビ・マルティネスといった選手たちの障壁は高かった。現在は古巣アトレティコ・マドリードの下部組織で指導している。

プレミアリーグで活躍した現アーセナル指揮官

MF:ミケル・アルテタ(元アーセナル)
生年月日:1982年3月26日
スペイン代表成績:なし
プレミアリーグ成績:284試合42ゴール43アシスト

 現在、アーセナルで監督を務めるミケル・アルテタもスペイン代表とは縁がなかった。下部組織時代からプレーしたバルセロナではトップチームに昇格できず、パリ・サンジェルマン(PSG)でプロデビューを飾った。05年冬から在籍したエバートンでは、加入初年度からレギュラーに定着し、2006/07シーズンはキャリアハイとなる9ゴールを記録した。

 セスク・ファブレガス、サミル・ナスリが退団した11年夏にアーセナルへ完全移籍。彼らの穴を埋める形でレギュラーに定着した。トーマス・フェルマーレンが退団したことに伴い、2014/15シーズンからは主将に就任。主将に就任してからは出場機会が限られたが、模範的なプレーでチームを牽引した。16年夏に現役を引退。

 エバートン、アーセナルの2つのクラブで10年近く主力選手としてプレーしていたアルテタだが、1度もスペイン代表から招集されることはなかった。幼馴染のシャビ・アロンソやバルセロナのカンテラ時代のチームメイトであるシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタといったワールドクラスの選手が大勢いたスペイン代表の中盤に自身の居場所を作ることはできなかった。

スルーパスを操った銀河系軍団の一員

MF:グティ(元レアル・マドリード)
生年月日:1976年10月31日
スペイン代表成績:14試合3ゴール
ラ・リーガ成績:387試合46ゴール64アシスト

 レアル・マドリードの攻撃を彩った天才パサーもスペイン代表のキャリアに恵まれなかった。レアル・マドリードの下部組織出身で、トップチーム昇格してからしばらくはストライカーに近いポジションでプレーしていた。2000/01シーズンはキャリアハイのシーズン14ゴールを記録している。

 02年夏に元ブラジル代表FWロナウドが加入したことでグティは中盤へコンバート。06年夏にジネディーヌ・ジダンが現役引退してからは中盤の核となり、2007/08シーズンはキャリアハイの15アシストを記録。結果的にレアル・マドリードのトップチームでは15シーズンを戦い、5度のラ・リーガ制覇や3度のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝など15のタイトル獲得に貢献した。

 レアル・マドリードで輝かしいキャリアを歩んだグティだが、同世代のラウール・ゴンサレスとは対象的にスペイン代表に定着することはできなかった。22歳でスペイン代表デビューを飾ったが、1度も国際大会のメンバーに選出されることはなかった。元レアル・マドリードの監督で、スペイン代表でも指揮を執ったビセンテ・デル・ボスケに「努力と謙虚さあれば世界最高の選手になれた」と評されており、練習嫌いな性格もスペイン代表に定着できなかった理由の1つなのかもしれない。

世界トップクラスのパス精度を誇る司令塔

MF:ダニ・パレホ(ビジャレアル)
生年月日:1989年4月16日
スペイン代表成績:4試合0ゴール
ラ・リーガ成績:395試合65得点65アシスト

 ラ・リーガで通算400試合近く出場しているダニ・パレホだが、スペイン代表歴はほとんどない。下部組織から過ごしたレアル・マドリードでは、期待されながらもトップチームに定着できず。ヘタフェ、バレンシア、ビジャレアルと渡り歩き、それぞれのクラブで絶対的な主力に定着している。

 世界トップクラスのプレースキック精度を誇り、2017/18シーズンからは2シーズン連続でラ・リーガのベストイレブンに選出された。ヘタフェやバレンシア時代はテクニックのあるトップ下だったが、現在所属しているビジャレアルでは攻守両面で貢献できるボランチへと成長を遂げている。

 年代別のスペイン代表で主力選手だったパレホは、U-19代表とU-21代表で欧州選手権を制覇。所属クラブでも絶対的な主力だったが、少し上の世代にアンドレス・イニエスタやダビド・シルバ、セスク・ファブレガス、サンティ・カソルラといった選手がいたことでA代表からは声が掛からず。28歳となった18年3月にスペイン代表から初招集をされたが、わずか4試合の出場に留まっている。

代表史上最年長ゴールを決めた遅咲きのストライカー

FW:アリツ・アドゥリス(元アスレティック・ビルバオ)
生年月日:1981年2月11日
スペイン代表成績:13試合2ゴール
ラ・リーガ成績:443試合158ゴール53アシスト

 ラ・リーガで通算9回もシーズン2桁ゴールを記録したアリツ・アドゥリスもスペイン代表のキャリアに恵まれなかった。地元アスレティック・ビルバオでプロデビューを飾り、08年夏にダニ・グイサが退団したマジョルカへ移籍。エースとして活躍し、10年夏から所属したバレンシアでも多くのゴールを決めた。

 12年夏に古巣ビルバオに復帰すると、そこから年齢を重ねるごとに得点を量産。2015/16シーズンはラ・リーガで20ゴール、UEFAヨーロッパリーグ(EL)でも10ゴールを記録し、35歳にして公式戦36ゴールというキャリアハイの成績を収めた。2019/20シーズン限りで現役を引退。引退を発表してから最初の試合となったバルセロナ戦では途中出場から、わずか2分で勝ち越し点となる強烈なボレーシュートを叩き込み勝利の立役者となった。

 10年10月にフェルナンド・トーレスが負傷離脱したことに伴いスペイン代表デビューを飾った。しかし、ダビド・ビジャやトーレスらの壁は厚く長く代表から遠ざかったが16年3月に6年ぶりに代表に復帰。この試合でスペイン代表初ゴールを決め、代表ラストゴールとなった16年11月のマケドニア(現・北マケドニア)戦での得点は、スペイン代表最年長ゴール記録となっている。