終始相手を圧倒

 プレミアリーグ第11節、アーセナル対ワトフォードが現地時間7日に行われ、1-0でホームチームが勝利した。冨安健洋は右SBとして先発フル出場。安定したパフォーマンスで、2試合連続のクリーンシートに貢献した。(文:阿部勝教)

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 冨安健洋の加入以降、リーグ戦7戦無敗のアーセナルが相手を圧倒。試合開始早々から主導権を握り、ベン・ホワイトからの縦パスを起点に攻撃のギアを上げるアーセナルは、再三ゴールに迫った。

 開始7分には、ブカヨ・サカがゴールネットを揺らすも、VARのチェックによりオフサイドの判定が下された。34分にはPKを獲得したが、ピエール=エメリク・オーバメヤンのキックは阻まれ、またしても先制点とはならなかった。

 だが、後半に入っても勢いの落ちないアーセナルは56分、新10番のエミール・スミス=ロウが待望の先制ゴール。ペナルティーエリア手前でこぼれたボールに右足を振り抜き、3試合連続ゴールを決めた。

 先制されたワトフォードは失点後、ジョアン・ペドロを投入して攻勢に出たが、アーセナルはベン・ホワイトを中心とした堅い守備で相手の攻撃をシャットアウト。相手にほとんどチャンスを作らせなかった。

 結果、ホームのアーセナルはボール保持率61%、シュート14本、枠内シュート6本とスタッツでも相手を圧倒。ミケル・アルテタ監督の公式戦100試合目を勝利で飾った。

 これでアーセナルはリーグ戦8戦無敗。第11節を終えた時点で、マンチェスター・ユナイテッドを抜き、ヨーロッパリーグ(EL)圏内の5位にまで順位を上げた。

躍進の理由

 開幕3連敗と最悪のスタートを切ったアーセナルだが、第4節のノリッジ戦以降はリーグ戦8戦無敗。公式戦10戦無敗と冨安健洋の加入以降チームは変貌を遂げ、躍進を続けている。

 順位もチャンピオンズリーグ(CL)圏内目前の5位まで上がっているが、この短期間で見違えるほどパフォーマンスを披露できている要因はどこにあるのか。

 1つは安定した守備陣だ。開幕から3試合は軽率なミスも多く、安定しない右サイドから崩される場面が多く見えた。しかし、冨安健洋の加入以降は、新加入のベン・ホワイトも徐々にフィットし、対人の強さを活かして右サイドに安定感をもたらしている。

 さらに基本フォーメーションは4バックとしつつも、押し込まれた際にはボランチのどちらかがCB間に入り、5バッグに変更。ゴール前に壁を作りつつ、CB間に入る選手がバイタルエリアを消すことにより、中央から崩されることは極端に減っている。

 もう1つは、新10番のエミール・スミス=ロウ、ブカヨ・サカら若手選手の躍動だ。スタメンに定着しているアルベール・サンビ・ロコンガらだけでなく、この試合に抜擢されたエインズリー・コリー・メイトランド=ナイルズやヌーノ・タヴァレスといった若手選手たちが、主力選手と遜色ない活躍を見せている。

 若手選手らが頭角し、チーム内の競争が激しくなったことでチームレベルはさらに上がる。

 ”誰が出ても強い”そんなチームになりつつあるアーセナルは未だ発展途上だが、ミケル・アルテタ監督の下で若手選手が成長を続ければ、さらに躍進を続けていくはずだ。

冨安の評価は…

 加入以降、リーグ戦全試合にスタメン出場している冨安健洋は、ワトフォード戦でもフル出場。マッチアップしたエマヌエル・デニスには対人守備で強さを見せて完全に封じ込み、2試合連続のクリーンシートに貢献している。

 データサイト『WhoScored.com』によると、タックル数は両チーム最多の6回を記録。空中戦では勝率100%と圧巻のパフォーマンスで右サイドを完全に支配。評価点は両チーム3位タイの7.7点と終始安定したパフォーマンスで勝利に貢献した。

 さらに守備だけでなく、19分にはブカヨ・サカへの絶妙なパスでチャンスを演出。28分には、ピエール=エメリク・オーバメヤンへ鋭い縦パスを出すなど、広い視野を活かした正確なパスで攻撃にアクセントを付けた。

 今節も縦のコンビを組んだブカヨ・サカとは、オーバーラップの際に連係ミスが見られるため、ここが改善できれば右サイドからの冨安のクロスも増えていくだろう。

 冨安の守備での貢献はもちろんだが、今のパフォーマンスを維持しつつ、より攻撃に貢献することが出来ればさらに評価が上がることは間違いない。

 次節、敵地でのリバプール戦は厳しい試合展開が予想されるが、この一戦では冨安の真価が問われるだろう。ワールドクラスの選手に対してどこまでやれるのか。この試合のように右サイドを完全に支配し、無失点で勝利できれば、さらに評価を上げることになるだろう。

(文:阿部勝教)