好調アーセナルを圧倒したリバプール

 プレミアリーグ第12節、リバプール対アーセナルが現地時間20日に行われ4-0でホームチームが勝利した。アーセナルの冨安健洋は先発フル出場。リバプールの南野拓実は76分から途中出場し、ファーストプレーで今季リーグ戦初ゴールを記録した。(文:安洋一郎)

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 前節、ウェストハムに今季初黒星を喫したリバプールと、9月の代表ウィーク以降プレミアリーグ8戦無敗と好成績を残しているアーセナル。好調なチーム同士の戦いは一方的な展開で進んだ。

 キックオフ直後から試合のテンションが高く、両チーム共に積極的に前に出る守備をみせた。だが、リバプールにとってアーセナルのプレスは苦ではなく、むしろ自分たちにとっては都合が良かった。

 と、いうのもアーセナルが前に出てきてくれる方が背後に広大なスペースが生まれるので、リバプールは自分たちが得意とするカウンターから多くのチャンスを作ることに成功していた。

 一方のアーセナルはアルベール・サンビ・ロコンガら中盤の選手のプレス耐性が低く、不用意にボールを失い、なかなかシュートに持ち込むことができなかった。

 リバプールが試合を支配する中、守護神アーロン・ラムズデールがいくつか決定機を防いだことで何とか耐えていたアーセナル。しかし、39分にトレント・アレクサンダー=アーノルドのセットプレーからサディオ・マネのゴールが生まれ、リバプールが先制に成功した。

 そして52分、この試合の勝敗を決定づけるゴールが決まった。左SBのヌーノ・タヴァレスが自陣で出したバックパスをゴール前でディオゴ・ジョタが奪い、そのまま2点目を決めた。

 このゴールでチーム全体に焦りが生まれたのか、アーセナルは後半、全く噛み合わなかった。前半以上に不用意なボールロストを連発し、オフサイドは後半だけで7回と全てが上手くいかなかった。

 73分にはGKのアリソンからコスタス・ツィミカス、ジョタとダイレクトでボールを繋ぎ、裏へと抜け出したマネから逆サイドに走り込んでいたサラーへクロスが渡り、鮮やかな疑似カウンターからダメ押しの3点目が決まった。

 そして、直後の77分にも同じような形からリバプールにゴールが生まれる。

南野拓実にゴールが生まれた理由

 76分、ジョタに代わり南野拓実が投入された。今季開幕当初はプレミアリーグで出番を得ることができなかった南野だが、直近は負傷者の影響もあり、3試合連続で途中出場を果たしている。

 その投入からわずか40秒後、南野に今季プレミアリーグ初ゴールが生まれる。3点目同様にGKのアリソンからの疑似カウンターが発動。ジョーダン・ヘンダーソン、マネ、サラーと繋がり、ペナルティーエリア右でボールを受けたアレクサンダー=アーノルドが逆サイドの南野へグラウンダーのクロスを送り、これを押し込んだ。

 同じような形から2ゴールが生まれたことには理由がある。リバプールの縦に早い攻撃の精度が高いのはもちろん、アーセナルのカウンター時の守備に大きな問題があった。

 アーセナルはビハインドという状況もありブロックを敷かず、中盤より前とSBが前へ前へとプレスをハメに行っていた。もちろんこのプレスがハマれば一気に自分たちのチャンスが訪れるのだが、リバプールの選手はこれを剥がすのがとても上手い。

 GKのアリソン、CBのフィルジル・ファン・ダイク、ジョエル・マティプはパスの精度が高い上に視野も広いので簡単にアーセナルのプレスを回避することができた。

 アーセナルの問題はここからだ。プレスを回避され、縦に早いカウンターを受ける際に、アーセナルの守備陣はボールに対して真っ向から潰しにかかっており、後方のスペースを埋める意識がかなり低かった。リバプールのようなトップレベルの選手たちが集まるチーム相手にこの守備の形はかなりギャンブルであり、今回の失点は2つともカウンターの起点で潰すことができず、ゴール前で数的優位を作られて失点を喫してしまった。

 投入された直後にゴールを決めた南野も見事だった。すぐに試合へと適応し、取るべきポジションをとっていたからこそ生まれたゴールであり、日々の練習と準備が活かされていた。

 リバプールのユルゲン・クロップ監督も、「彼が(南野)ゴールを決めたことを、とてもうれしく思っている。今日のパフォーマンスはトレーニングがとても良く反映されている」と南野のパフォーマンスに満足している。

 試合はこのまま終了し、4-0でリバプールが勝利。5本のシュートに終わったアーセナルの約4倍となる19本のシュートを放つなど、圧倒的な強さを見せつけた。

「最低評価」となった冨安健洋

 デビュー戦から9試合連続でプレミアリーグの先発に名を連ねたアーセナルの冨安健洋だが、チーム全体が苦しんだこともあり、この試合は難しいものとなってしまった。

 同サイドで対峙し、1ゴール1アシストを記録したマネは、ポジションを入れ替えながら捕まえきれないポジションを取り続けており、その対応はかなり難しかった。

 守備で後手を踏んでいた上に、前半開始直後にクロスを上げたシーン以外の効果的な攻撃参加は見られず、55分にはチアゴ・アルカンタラに不用意にボールを奪われて決定機を作られてしまった。

 また、3失点目を喫したシーンでは、中途半端なポジションをとっていたためツィミカスを潰すことも、後方のスペースを埋めることもできず、カウンターの起点を作らせてしまった。

 データサイト『Sofa Score』では10段階で最低評価となる「5.5」のレーティングがつけられており、両チーム合わせて唯一の5点代の評価となっていた。

 また、『Sofa Score』によると冨安は試合を通じてタックルが0、地上戦は6戦でわずか1勝と守備の対応に苦しんでいたことがわかる。さらに、ボールを失った数はチームで2番目に多い16回と上手くビルドアップに絡むことができなかった。

 今節の敗戦でアーセナルのプレミアリーグ無敗記録は「8」でストップ。次節ホームで戦うニューカッスルは今季プレミアリーグで未勝利中と、さらなる上位進出に向けては勝利が必須だ。冨安はプレミアリーグ屈指のドリブラー、アラン・サン=マクシマンと対峙することが濃厚となっているが、今節の反省を活かして修正することができるだろうか。

(文:安洋一郎)