伝統のダービーで圧倒

 プレミアリーグ第14節、エバートン対リバプールが現地時間1日に行われ、1-4でアウェイチームが勝利している。リバプールはこれでリーグ戦3試合連続での4得点勝利という結果に。今回の大勝の理由はどこにあったのだろうか。(文:小澤祐作)

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 とにかくリバプールが強い! と感じる90分間だった。

 通算239回目の開催となったエバートンとのマージーサイドダービー。ユルゲン・クロップ監督率いるチームは立ち上がりからテンション高く挑み、開始わずか5分で2本のシュートを記録するなど、あっという間に試合の主導権を握っていた。

 そして9分、リバプールは左サイドから崩すと、最後はアンドリュー・ロバートソンの折り返しをジョーダン・ヘンダーソンがダイレクトシュート。これがゴールネットに突き刺さり、早くも1-0リードを奪った。

 その後もリバプールのテンションは落ちず、先制から10分後にはモハメド・サラーが追加点をゲット。あまりにも早くから力の差が出たので、この時点でスタジアムを後にするエバートンサポーターの姿もあった。

 38分、リバプールは一瞬の隙を突かれてデマレイ・グレイに点を与える。これでグディソン・パークに熱気が戻ってきたなど、楽勝ムードから一転、勢いは完全にエバートン側に傾いてしまった。

 しかし、その波に簡単に飲み込まれないのが今季のリバプールだ。勢いに乗る相手の攻撃を跳ね返し続け、64分にシェイマス・コールマンのミスを突いてサラーがゴールゲット。再び相手を突き放し、同点への期待感を膨らませていたホームサポーターを一瞬にして黙らせた。

 そして79分に仕上げの一発。ディオゴ・ジョタが華麗なボールコントロールから左足を振り抜き、GKジョーダン・ピックフォードの壁を破っている。

 これでリバプールはリーグ戦3試合連続の4得点勝利。また、第4節から11試合連続で複数得点を記録することになっている。恐るべき成績だ。

 では、なぜリバプールは4得点を奪うことができたのだろうか。

エバートンの弱点

 この日のエバートンには明確な弱点があった。それが中盤底2枚である。

 オーソドックスな4-4-2でこの試合に臨んだエバートン。中盤底にはアブドゥライェ・ドゥクレとアランが入っている。基本的にはドゥクレが高い位置を取り、アランは低い位置でバランスを整える役割を任されていた。

 エバートンはリバプールに対しても恐れず前からいく姿勢を見せたが、当然リバプールのカウンタープレスはかなり強力。ボールを奪っても、すぐ中途半端な位置で奪い返されてしまう場面が決して少なくなかった。また、リバプールのビルドアップ時は、とくに2トップのプレスが機能しておらず、簡単にボールの前進を許してしまうことが目立っている。

 すると起こってしまうのが中盤の駒不足だ。先述した通りドゥクレは基本的に前目の位置を取るので、相手のカウンタープレスにハマったりビルドアップを封じられなかったりし、チームの矢印が自陣ゴール方向に向くと、必然的に中盤はアラン一人で守らなければならなくなる。そのためリバプールは、アランの脇にいるチアゴ・アルカンタラとヘンダーソンの2人がフリーになる機会が多かった(70分の時点でヘンダーソンのタッチ数は全体2位、チアゴは同3位)。

 配給力のある選手が自由になれれば、当然サラーやサディオ・マネ、ジョタ、あるいはオーバーラップしてくるロバートソンにトレント・アレクサンダー=アーノルドが活きる場面は多くなる。このように、リバプールはエバートンの攻撃的な姿勢を逆手にとって相手陣内深くへ確実に侵入していたのだ。

 ちなみにアランの負担がとてつもなく大きかったと分かるシーンは、リバプールの4点目だ。

 アランは最初、右サイドのサラーらにプレッシャーを与えている。そこからボールが反対サイドに流れると、アランも長距離を移動。そして最後、ボックス内左に侵入したジョタを誰も見ておらず、結局はアランがマークに行っている。この小柄なブラジル人は運動量が抜群で確かに2、3人分の働きはできるが、リバプール相手にそれを遂行するのは結果無謀だったと言わざるを得なかった。

もはや人間離れしているサラー

 4得点大勝の理由としてもう一つ取り上げておきたいのが、やはりサラーのクオリティーである。

 今季何度も理不尽なゴールを決めてきたエジプトの快速王は、この日も圧巻のパフォーマンスを披露。19分にはカウンターから見事な一撃を沈め、64分にはコールマンのミスを見逃さず、ハーフウェイラインでボールを奪ってそのまま持ち運びゴールネットを揺らしている。

 64分のゴールシーンが証明する通り、トップスピードでもボールコントロールやボディバランスが大きく乱れないのが凄いところだ。だからこそ、ドリブルからシュートに至るまでが常にスムーズで、相手からすると止めることが難しい。そのストロングポイントはもちろん以前からあったが、今季はよりレベルアップしている印象を受ける。とにかく今のサラーは化け物だ。

 エバートン戦後、クロップ監督は「試合の後、彼は怒っていたんだ。3点目を欲しがっていた」と話している。敵地、それもダービーで2ゴールは十分過ぎる結果のように思えるが、サラーにとっては物足りなかったよう。こうしたいつまでも貪欲な姿勢が、ゴール量産の秘訣になっていると言えるだろう。

 エバートン戦の結果により、今季19試合で19得点となったサラー。年明けのアフリカネーションズカップでチームを離れることが濃厚なため、それまでは全力でゴールに絡み続けてくれるだろう。

(文:小澤祐作)