激戦の結末は…

 プレミアリーグ第14節、マンチェスター・ユナイテッド対アーセナルが現地時間2日に行われ、アウェイチームが3-2で敗戦。冨安健洋はこの試合にフル出場するも、本来のパフォーマンス出せず、失点に関与してしまった。(文:阿部勝教)

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 敵地に乗り込んだアーセナルは18/19シーズン以降、リーグ戦ではオールド・トラフォードで負けなし。この日も得意とする敵地で序盤からチャンスを作ったが主導権は握れず、試合は激しい打ち合いとなった。

 前半だけで17本のシュートが放たれた激戦は、13分にエミール・スミス=ロウのゴールでアーセナルが先制。好調を維持するアウェイチームがこのまま主導権を握ると思われたが、徐々にマンチェスター・ユナイテッドに押し込まれる展開となった。

 すると44分、冨安健洋が対面したジェイドン・サンチョに股を抜かれ、フレッジにパスを通されると、最後はゴール前でフリーとなっていたブルーノ・フェルナンデスがゴール。前半終了間際に同点に追い付かれた。

 その勢いは止まらず、後半もペースを握ったホームチームは52分にクリスティアーノ・ロナウドのゴールで逆転に成功。しかし、今度はアーセナルがすぐさま同点に追い付いてみせた。

 失点から2分後の54分、左サイドで細かいパスを繋ぎ、相手を引き寄せるとトーマス・パーテイが逆サイドのガブリエウ・マルティネッリへスルーパス。これをマルティネッリがダイレクトで折り返すと、ペナルティーエリアに走り込んできたマルティン・ウーデゴールがゴール左に流し込み、同点弾を決めた。

 その後はアーセナルがボールを保持。再三相手ゴールに迫り、逆転も時間の問題かと思われた。しかし、67分にペナルティーエリア内でフレッジとウーデゴールが交錯し、相手にPKを献上。このPKをC・ロナウドに決められ、オールド・トラフォードで17/18シーズン以来の敗戦を喫した。

 敵地で3失点を喫し、敗戦したアーセナルには明確な守備の穴があった。

狙われたアーセナルの穴

 それが冨安健洋とベン・ホワイトの間に生まれるハーフスペースだ。

 1失点目の場面。ペナルティーエリア右でボールを持つジェイドン・サンチョに冨安が釣りだされると、ベン・ホワイトとの間に生まれるハーフスペースにフレッジが飛び出し、フリーのブルーノ・フェルナンデスにパスを繋がれて失点。

 PKを献上した場面でも、右サイドに流れたボールを冨安が追いかけたが、ベン・ホワイトはペナルティーエリア中央に位置。カバーに行けずスペースが生まれると、そこに走り込んだフレッジをウーデゴールがファールしてしまい、逆転を許している。

 では、なぜこの状況が起こってしまったのか。 

 この日のアーセナルはクリスティアーノ・ロナウドに対し、CB2枚で対応。右サイドを冨安1人に任せる形となっていた。しかし、CBのカバーがないため、冨安はドリブルを警戒して強くプレスに出ることが出来ず、相手に余裕とスペースを与えてしまっていた。

 トーマス・パーテイがハーフスペースに入る場面も見られたが、ボールばかりに視線がいき、マークするはずの選手をフリーにするなど、守備面で役割を果たせていなかったことも大きな原因だろう。

 なんにせよ、今季トップ4フィニッシュを目指すのであれば、この欠点は早期解決が必要。この問題が解決しなければ、チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得は難しいだろう。

失点に関与した冨安の評価…

 アーセナル加入後、安定したパフォーマンスで右サイドバックを不動のものにした冨安だが、この試合では右サイドの攻防で苦戦を強いられた。

 序盤から激しい試合展開となったこの試合では、厳しいマークに苦戦。21分には失点に繋がりかねないパスミスをしており、前述したようにその後は失点に関与してしまっている。

 前述した通り、1点目と3点目の失点はマッチアップしたジェイドン・サンチョのパスから得点を決められてしまっている。 

 この試合では冨安にかかる負担が大きかったこともあるが、1対1の守備はこのDFの課題だ。CBのカバーがなかったため、強く出られなかったこともあるが、マンチェスター・ユナイテッドの起点を封じることは出来なかった。

 データサイト『SofaScore』によると、この日の冨安はデュエル勝率は7回中4回。空中戦では5回中1度しか勝てていない。さらにボールロストは両チームで2番目に多い16回を記録。本来とは程遠いパフォーマンスとなり、評価点は両チーム最低の「6.2」となってしまった。

 プレミアリーグで鮮烈な活躍を見せている冨安だが、リバプールやマンチェスター・ユナイテッドのようなビッグクラブ相手では、なかなか本来のパフォーマンスを発揮できていない。下位や中堅だけでなく、強豪クラブ相手にも互角に戦うことが出来れば、自身もアーセナルもさらに高みに行くことが出来るだろう。

(文:阿部勝教)