イングランドの未来と称された逸材は…

 サッカー選手は常に怪我と隣り合わせだ。1つの怪我でキャリアを棒に振ってしまう選手もいれば、何度も大怪我を負いながらもその逆境を乗り越えて長く活躍する選手もいる。今回は最高級の才能がありながらも、怪我に苦しむキャリアを歩んできた”ガラスの天才”5人を紹介する。

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MF:ジャック・ウィルシャー(元イングランド代表/無所属)
生年月日:1992年1月1日
イングランド代表:34試合2得点2アシスト

 アーセナルが生んだ元逸材、ジャック・ウィルシャーはまさに”ガラスの天才”だ。16歳という若さでトップチームデビューを果たし、若くしてチームの中心となったウィルシャーは、アーセナルだけでなく、イングランド代表の未来として期待された。しかし、この男は怪我に悩まされ続けてきた。

 2010/11シーズンにボルトン・ワンダラーズへのレンタル移籍から復帰したウィルシャーは、その年のPFA年間最優秀若手選手賞を受賞。将来を大きく期待されたが、翌年は負傷により全試合を欠場している。10番を託された12/13シーズンに復帰を果たしたが、13/14シーズンには左足を骨折、さらに15/16シーズンはトレーニング中に腓骨を骨折し、シーズンのほとんどを欠場した。

 度重なる怪我により出場機会を失ったウィルシャーは、2016年にボーンマスにレンタル移籍。順調に出場機会を重ね、2017年にはアーセナルに復帰したが、2018年にウエストハムに完全移籍している。だが、ここでも怪我に苦しんだかつての天才は2020年10月に退団。今年1月はにボーンマスと再び契約を結んだが、7月に退団以降は無所属となっている。

キャリアを狂わせた大怪我とは…

DF:マイカ・リチャーズ(元イングランド代)
生年月日:1988年6月24日
イングランド代表:13試合1得点2アシスト

 マンチェスター・シティの下部組織出身のマイカ・リチャーズは、17歳にしてスタメンの座を勝ち取った。11/12シーズンには44年ぶりのリーグ優勝に貢献。急激な進化を遂げていくクラブを支え、輝かしいキャリアを歩んでいくと思われた。しかし、2012年に悲劇が起きてしまった。

 2012/13シーズンの第9節、スウォンジー戦で右膝半月板軟骨を損傷。手術を余儀なくされ、5ヵ月の戦線離脱を強いられた。それまでスタメン出場していたが、この大怪我以降はなかなかパフォーマンスが戻らず、出場機会も激減。2014年にはフィオレンティーナにレンタル移籍するも、ここでもハムストリングの負傷や太ももの負傷により、リーグ戦出場は10試合に終わった。

 右膝の大怪我により、マンチェスター・シティで苦悩のシーズンを送ることになってしまったマイカ・リチャーズは、その後2015年にアストンヴィラに移籍した。15/16シーズン開幕戦からスタメン出場を続けていたが、2015年11月に古傷を負傷。12月には復帰を果たすも、2016年10月にまたしても右膝を負傷してしまった。古傷に苦しめられ、痛々しいキャリアを送ってきたリチャーズはこの負傷以降ピッチに戻ることは叶わず、2019年に引退を決断している。

才能と実力は本物だったが…

FW:ダニエル・スターリッジ(元イングランド代表/パース・グローリーFC)
生年月日:1989年9月1日
イングランド代表:26試合8得点1アシスト

 サッカー界では実力と才能はあるが、度重なる怪我により苦しいキャリアを送ることになる選手は多い。ダニエル・スターリッジもその1人だ。2013年1月に加入したリバプールでは、13/14シーズンの開幕戦から12試合9得点と絶好調だったが、11月に足首の靭帯損傷。リーグ戦8試合の欠場となったが、復帰戦から7試合連続ゴールを決めるなど、リーグ優勝まであと一歩に迫ったチームを牽引した。しかし、翌シーズンから度重なる負傷に悩まされることになる。

 2014年9月に大腿部の怪我に続き、ハムストリングを負傷。5ヵ月に渡る離脱を余儀なくされると、復帰後の4月には股関節を損傷し、再び5ヵ月の戦線離脱となった。股関節を損傷により15/16シーズンに出遅れると、復帰後すぐに膝を負傷。その後も復帰後すぐにハムストリングを負傷と、復帰と負傷を繰り返した。

 度重なる怪我により、徐々に出場機会を減らしていたスターリッジは、かつての様な輝きを取り戻すことは出来ず、2019年にトルコのトラブゾンスポルに移籍。活躍の場を国外に移したこのFWは2020年3月以降は無所属となり、現在はオーストラリアのパース・グローリーFCに所属している。

3度目の復活は…

MF:ファビアン・デルフ(元イングランド代表/エバートン)
生年月日:1989年11月21日
イングランド代表:20試合0得点2アシスト

 2008/09シーズンに当時EFLリーグ1(イングランド3部)に所属していたリーズでリーグ戦42試合に出場したファビアン・デルフは、EFL年間最優秀若手選手賞を受賞。プレミアリーグの各クラブから注目を集めたデルフは、翌年アストンビラに移籍を果たした。開幕戦からスタメンに名を連ねたこのMFは活躍を期待されたが、2010年4月のトレーニング中に負傷。左膝十字靭帯断裂の大怪我を負い、8ヵ月の戦線離脱を余儀なくされた。

 その後も度々戦線を離脱したが、13/14シーズンに復活。14/15シーズンには2000年以来のFAカップ決勝進出に貢献したデルフは、2015年にマンチェスター・シティの一員となった。だが、ここでも初年度から太ももの負傷やアキレス腱を負傷でシーズンの半分を欠場。再起を目指した翌シーズンも第4節以降は肉離れによりリーグ戦17試合欠場と、苦しいシーズンが続いた。

 だが、17/18シーズンの第7節からジョゼップ・グアルディオラ監督に左サイドバックにコンバートされると、その才能が開花。リーグ13連勝に貢献した。しかし、好調の矢先に膝を負傷してしまっている。その後、2019年に移籍したエバートンでも筋肉系のトラブルやハムストリングの負傷により戦線離脱が続き、加入から約2年間で出場した試合は公式戦45試合に止まっている。負傷のたびに復活を遂げてきたこのMFは、再び復活することが出来るだろうか。

怪我と戦い続ける大型ストライカー

FW:アンディ・キャロル(元イングランド代表/レディング)
生年月日:1989年1月6日
イングランド代表:9試合2得点0アシスト

 ニューカッスルで得点を量産し、注目を集めたアンディ・キャロルも怪我に悩まされた選手の1人だ。17歳でトップチームデビューを果たしたキャロルは、07/08シーズン後半から徐々に起用され始めた。しかしその矢先、同シーズン終了後に足首関節内側靭帯を損傷。4ヵ月におよぶ長期離脱を強いられた。

 怪我の影響もあり、その年はリーグ戦14試合に止まったが、10/11シーズンには開幕戦から19試合で11得点を記録。その才能が開花し、2011年1月には4100万ユーロ(約49億円)でリバプールに移籍を果たした。しかし、2012年8月にウエストハムにレンタル移籍すると、度重なる重症に悩まされることとなった。

 2013年は踵の骨の損傷と骨折、2014年は足首の靭帯断裂、2015年は再び足首関節内側靭帯を損傷、2018年には足首の手術など、2019年にニューカッスルに移籍するまでほぼ毎年のように長期離脱を強いられた。移籍後も負傷が続いたキャロルがニューカッスルで決めた得点は、2年間で1得点のみ。今年7月以降は無所属となったが、11月にチャンピオンシップ(2部)のレディングに加入。様々な怪我に悩まされてきたこのFWは、現在も怪我と戦い続けている。