この男の復活は…

 サッカー選手は常に怪我と隣り合わせだ。1つの怪我でキャリアを棒に振ってしまう選手もいれば、何度も大怪我を負いながらもその逆境を乗り越えて長く活躍する選手もいる。今回は最高級の才能がありながらも、怪我に苦しむキャリアを歩んできた”ガラスの天才”5人を紹介する。

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DF:ファウジ・グラム(元アルジェリア代表/ナポリ)
生年月日:1991年2月1日
アルジェリア代表:37試合5得点9アシスト

 サンテティエンヌの下部組織出身のファウジ・グラムは、19歳でトップチームデビュー。1年目のシーズン終盤からスタメン出場を続けると、翌年は第2節から定位置を確保。12/13シーズンにはクラブ史上初の国内リーグカップ優勝に貢献した。2013年にはアルジェリア代表デビューを飾り、順調に評価を高めたグラムは、2014年にナポリに移籍を果たした。

 セリエAの強豪でも、グラムはすぐに定位置を確保した。しかし、イタリアにやってきたこの男のキャリアは、徐々に苦しいものとなっていった。始まりは2017年11月、チャンピオンリーグ(CL)のマンチェスター・シティ戦で右膝前十字靭帯断裂。2018年2月に復帰するも、直後のトレーニング中に膝蓋骨を骨折し、3ヵ月の戦線離脱となった。

 立て続けに長期離脱となったグラムは2018年5月に復帰したが、今度は7月から膝の手術により再び3ヵ月の離脱を余儀なくされた。10月からチームに復帰し、徐々に試合にも出場していったが、2019年10月に筋肉系のトラブルで離脱。さらに、翌シーズンの2021年3月には左膝十字靭帯を断裂し、シーズン後半戦を棒に振ってしまった。今季はここまでリーグ戦3試合に出場しているが、膝に爆弾を抱えるこの男は、残りのシーズンを戦い抜くことが出来るだろうか。

復活したスピードスター

MF:ジェルヴィーニョ(コートジボワール代表/トラブゾンスポル)
生年月日:1987年5月27日
コートジボワール代表:79試合23得点25アシスト

 スピードを武器とするドリブラーには、特に怪我がついて回る。後方からのファウルや横からの激しいタックルを受けるため、負傷離脱を繰り返す選手も少なくない。フランスのリールで頭角し、アーセナルなど様々なクラブで活躍したジェルヴィーニョもそのプレースタイル故に数々の負傷を負ってきた。

 09/10シーズン、リールに所属していたジェルヴィーニョはリーグ戦18試合で11得点5アシストを記録した。好調を維持して結果を残し続けていたが、第25節で内側側副靱帯を損傷。離脱期間は長くなかったが、この負傷で調子を落としたこのMFは、復帰後10試合で2得点2アシストに止まった。だが、翌シーズンになると復活。15得点12アシストを記録し、リールを57年ぶりのリーグ優勝に導いた。

 その後は軽傷を繰り返しながらも、ジェルヴィーニョはアーセナルやローマで活躍したが、2016年に移籍した中国のヘバイでは左膝十字靭帯を断裂。思うようにピッチに立つことができなかった。だが、2018年に加入したパルマでは1年目から二桁得点を記録。イタリアの地で再び復活を果たした。しかし、今夏にトルコのトラブゾンスポルに移籍したこのMFは、11月に再び十字靭帯を断裂。一度欧州を離れて以降、重症に悩まされている。

一度の重症で…

MF:マイケル・エッシェン(元ガーナ代表)
生年月日:1982年12月3日
ガーナ代表:48試合7得点4アシスト

 ジョゼ・モウリーニョ監督の下で世界最高峰のフィジカルモンスターに成長したマイケル・エッシェンは、その強靭な肉体で中盤を支配。フィジカルコンタクトの激しいプレミアリーグでも全く負傷することなく、様々なタイトル獲得に貢献した。しかし、ある一度の負傷を機に、離脱を繰り返すようになっていった。

 それが2008年9月の代表戦で負った前十字靭帯断裂だ。この負傷により08/09シーズンのほとんどを棒に振ることになった。さらに、翌シーズンには半月板を損傷。前シーズンに続き、またしてもシーズンのほとんどを欠場することとなってしまった。10/11シーズンには復活を果たしたが、2011年7月に再び前十字靭帯を損傷。無敵とも思えたこのMFは、長期離脱を繰り返した。

 その後、2012年にチェルシーを退団したエッシェンは、レアル・マドリードやACミランといったビッグクラブに加入した。しかし、全盛期の輝きが戻ることはなかった。2016年以降は無所属を繰り返しながらもプレーを続けたが、2020年9月に引退を決断している。

プレミアでは怪我無く活躍したが…

FW:デンバ・バ(元セネガル代表)
生年月日:1985年5月25日
セネガル代表:16試合2得点1アシスト

 欧州各リーグで得点を量産したデンバ・バは、キャリア序盤から怪我に悩まされてきた。2006年にホッフェンハイムに加入したこのFWは、09/10シーズンに2度の肉離れや膝蓋骨を損傷。立て続けに負傷し、シーズンの半分を欠場することになった。その後、10/11シーズン途中にプレミアリーグへやってきてからは、大きな怪我もなく活躍していたのだが…。

 2015年に中国の上海申花へ加入以降は、再び怪我に悩まされることになってしまう。2016年7月に脛骨骨折し、約8ヵ月の戦線離脱。さらに2017年7月に足を負傷すると、今度は約6ヵ月の離脱を強いられた。その後、中国で怪我に悩まされたデンバ・バは、2019年にトルコのイスタンブール・バシャクシェヒルに移籍。再び欧州に復帰した。

 トルコで軽傷を繰り返しながらもプレーを続けたこのFWは、2021年4月に退団。以降は3か月間無所属となったが、7月にスイスのルガーノに1年契約で加入した。しかし、ここで出場したのは3試合のみ。加入後3ヵ月も経たずに現役引退を決断している。

重傷はないが…

MF:ケヴィン=プリンス・ボアテング(元ガーナ代表/ヘルタ・ベルリン)
生年月日:1989年9月1日
ガーナ代表:16試合2得点0アシスト

 数々のビッグクラブを渡り歩いた悪童、ケヴィン=プリンス・ボアテングも度重なる負傷に悩まされた選手の1人だ。2009年にボルシア・ドルトムントへ加入したボアテングは、同年3月に膝を負傷。それまでは多くの出場時間を得ていたが、復帰後はパフォーマンが戻らず、出場時間は減少していった。

 翌年加入したACミランでは、2011年1月に股関節を負傷。2ヵ月の戦線離脱となると、2012年1月には筋肉系のトラブルにより、またしても2ヵ月の離脱を余儀なくされた。2013年に加入したシャルケでは靭帯損傷や膝の負傷。様々な負傷により離脱を繰り返したボアテングは、2015年以降はラスパルマス、フランクフルトなど、様々なクラブを渡り歩いた。

 どのクラブも在籍期間は短かったが、その後も骨盤損傷や足首を負傷。2019年には再び膝を負傷するなど、在籍した各クラブで必ず負傷離脱を強いられた。古巣のヘルタ・ベルリンに復帰した今季はほとんど怪我無くリーグ戦11試合に出場しているが、このまま何事もなくシーズンを終えることが出来るだろうか。