国内組合宿で存在感を示したベテラン

サッカー日本代表はカタールワールドカップアジア最終予選で、1月27日に中国代表と2月1日にサウジアラビア代表と対戦する。それに先立ち、22日午後にメンバー発表が行われるが、三笘薫や古橋亨梧の不在が想定されるアタッカー陣は注目ポイントの1つに挙げられる。国内組合宿を通じて見えた、日本代表に呼ぶべき2人の国内組アタッカーとは?(取材・文:元川悦子)
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 1月17日から千葉・幕張で行われていた国内組のみの日本代表合宿が21日に5日間の活動を終えた。当初は最終日にウズベキスタン代表戦が予定されていたが、新型コロナウイルスのオミクロン株感染急拡大によって中止になり、代わって流通経済大学との練習試合が45分ハーフで行われた。

 前半はGK権田修一、DF酒井宏樹、中谷進之介、谷口彰悟、長友佑都、アンカー・稲垣祥、インサイドハーフ・脇坂泰斗、江坂任、右FW武藤嘉紀、左FW相馬勇紀、1トップ・大迫勇也という陣容。フォーメーションは4-3-3だった。

 27日と2月1日の2022年カタールワールドカップアジア最終予選を視野に入れ、森保一監督は合宿初日からゲーム形式を採用。かなり実戦的かつ強度の高いトレーニングを行ってきたが、このイレブンは3日目から固定してきた面々だ。ウズベキスタン戦が行われていたら、彼らをスタメン起用するつもりだったのだろう。

 選手側もそれを想定していたのか、鋭い出足を見せた。長友、酒井らベテラン勢のコンディションは想像以上で、大迫は開始早々の3分にいきなり先制点をゲット。昨年の最終予選序盤戦に感じさせた重さやキレのなさを完全払拭した印象だった。

 長友にしてもJリーグ復帰直後の昨秋に比べて動きが軽快。「昨季の最後の方は、ただ試合をこなしている状況だった」という酒井宏樹も、状態が上がってきたことを実感したという。守護神・権田を含めた主力4人の様子を目の当たりにして、指揮官はとりあえず安堵したに違いない。

 それ以外のメンバーも強度の高いプレーを前面に押し出した。

「この選手なら伸びる」と絶賛されたのは…

 中谷と谷口はキャプテン・吉田麻也不在のDF陣に割って入ろうと、揃って安定感ある守備を披露。どちらが生き残ってもおかしくない状態であることをアピールしてみせた。稲垣ら中盤トリオも、長友から名指しで「落ち着きとテクニックがあり、球際も戦える」と高評価を受けた。中盤は遠藤航ら欧州組がコンスタントに試合に出ているため、最終予選の残留可能性は低いものの、3人のうち1人は生き残ることもあり得そうだ。

 そして武藤と相馬の両サイドアタッカーは、揃ってゴールという結果を残した。まず相馬だが、16分にペナルティエリア左外から豪快なシュートを蹴り込み2点目をゲット。得意のドリブルで再三のチャンスメークを見せ、守備面でも前から献身的にボールを追っていた。

 縦関係を形成した長友もこうしたパフォーマンスを前向きに受け止めた様子だ。

「運動量も多いし、守備も攻撃もできる。そして中にも縦にも行ける。彼はすべてにおいてレベルが高いし、レベルが上がってきている。東京五輪の時も見てましたけど、トレーニングや意識を含めて、この選手なら伸びるなと思わせてくれる。自分との関係も10年くらい一緒にやってるんじゃないかっていうくらいの落ち着きと安心感を抱ける」と絶賛していた。

 昨年11月のオマーン戦で救世主となった三笘薫が負傷からまだ復帰できていないため、相馬のように仕掛けられるチャンスメーカーの存在は貴重だ。森保監督は合宿開始前にかつての10番・中島翔哉の2年2カ月ぶりの再招集を考えていることを明かしたが、今回の相馬の一挙手一投足を見て、考えが変わった可能性も否定できない。

 コロナ禍で追加招集が容易でないことから多めに招集することもあり得るため、2人の同時招集も否定できない。いずれにせよ、相手が引いて守ってくる最終予選では、ドリブルで流れを変えられる人材は必要不可欠。相馬が有効な戦力であることは間違いなさそうだ。

負傷の古橋亨梧の代役に適任なのは…

 一方の武藤も、20分に長友の左クロスに反応し、ゴール前に詰める形で3点目を奪った。彼はヴィッセル神戸で大迫とコンビを組んでいるアドバンテージを生かし、いい距離感でプレーしていた。終盤には中と右のポジションを入れ替える臨機応変さも示した。

 武藤はこれまで、ハビエル・アギーレ、ヴァイッド・ハリルホジッチ、西野朗と3人の日本代表指揮官に仕えてきた。ただ、どの時代も最前線要員と位置づけられることが多く、大迫や岡崎慎司という高い壁にぶつかり続けてきた。が、神戸移籍後は右サイドや2トップでプレー。幅広い役割をこなせるようになってきた。

「正直な話、監督の求めるポジションでプレーしなきゃいけない。自分がどこでやりたいというよりも、やっぱり監督が『武藤にここを任せたい』と言ったら、そこで100%のパフォーマンス、チームの求めることを出さなきゃいけないと思っています」と本人もあらゆる役割を全力でこなし、日本代表のために最大限貢献したいと考えているという。

 クラブで負傷離脱中の古橋亨梧の代役という意味では、今の武藤が最適ではないだろうか。

武藤嘉紀を選ぶべき理由

 大迫のバックアップ候補には、今回の流経大戦後半にハットトリックを達成した上田綺世やセルティックで衝撃的デビューを飾った前田大然がいるし、右サイド要員も絶対的主力の伊東純也に、東京五輪世代の堂安律、久保建英もいるが、武藤はどちらでも柔軟に起用できるメドが立ったと言っていい。

 武藤は点が欲しい局面で大迫と2トップで使うこともできる。戦い方に幅を持たせてくれる人材はやはり入れておいた方がいい。あとは指揮官の判断次第だろう。

 とにかく最終予選の中国とサウジアラビアとの2連戦は勝ち点6獲得が必須だ。吉田や古橋、三笘がいなくても取りこぼしは絶対に許されない。だからこそ、国内組を含めた総合力の高さで勝ち切る必要がある。

 これまでは「欧州組至上主義」の傾向が強かった森保監督だが、5日間の国内組合宿を通して、新たな方向性を打ち出すことができるのか。今日午後のメンバー発表、そして24日から再開される日本代表活動の行方を注意深く見守りたい。

(取材・文:元川悦子)

【了】