●久保建英はなぜベンチに?

 ラ・リーガ第32節、エルチェ対マジョルカが現地時間16日に行われ、3-0でホームチームが勝利している。日本代表MF久保建英は4試合連続のベンチスタート。後半頭からピッチに立った。またもベンチスタートになった理由、そしてそのパフォーマンスはどうだったのか。(文:小澤祐作)

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 1-0の勝利を収めた前節アトレティコ・マドリード戦で、日本代表MF久保建英は途中出場ながら非凡なパフォーマンスを披露。ゴールに直接絡むことはなかったが、ハビエル・アギーレ監督からも評価されていた。

 そうした前節のことを受け、迎えた16日のエルチェ戦では久保のスタメン起用に期待がかかっていた。ところが、発表された11人の中に日本人選手の名前はなし。これで久保は4試合連続のベンチスタートとなった。

 アギーレ監督はこの日も守備時5-4-1となるシステムを採用。しっかりとした守備で相手の攻撃を抑え、奪ったらヴェダト・ムリキに当て、そこからアマト・エンディアイエのスピードを活かして速攻を仕掛けるといった狙いを持っていた。12分には、さっそくその形からエルチェ陣内深くまで侵入している。

 つまりアギーレ監督の考えは、前半は失点をしないことがとにかく第一優先で、得点は奪えればラッキー程度。勝負は後半に入ってから仕掛けるというものだった。その中で非凡な攻撃センスを持つ久保は、均衡を崩すための切り札として、ベンチに置かれたのである。

 しかし、アギーレ監督のプランはそううまくいかなかった。マジョルカは後ろに人数こそ揃えてはいるが、かなり引きすぎてしまい、エルチェに簡単にゴール前への侵入を許してしまった。前節のアトレティコ戦で良いイメージを得たのは間違いないのだが、5-4-1が機能しているとは言い難かった。

 そして、マジョルカは攻守で曖昧になりながら42分に失点。ボックス内にあっという間に侵入され、最後はホアン・モヒカに強烈なシュートを浴びている。

 前半は絶対に0点で終えるべきだっただけに、あまりに痛い失点となった。実際に久保は試合後「良い形で耐えていたが、僕らの失点0という目標を台無しにした。違う形でプレーしなければならなくなり、それが試合に影響を与えた」とコメントを残している。

●攻撃力は向上。しかし…

 1点ビハインドで後半に向かわざるを得なくなったアギーレ監督は、ハーフタイム後にダニ・ロドリゲスとパブロ・マフェオを下げ、久保とイ・ガンインを同時投入。システムを4-4-2へと変更し、攻撃への意識を強めた。

 これによりマジョルカは前半とまったく違う姿をみせた。敵陣でのプレー時間を多くし、フィニッシュに持ち込むシーンも増加。データサイト『Who Scored』によると、前半3本で終わったシュート数は、後半だけで10本にも積み上がっていたようだ。

 しかし、相変わらず脆かったのは守備だ。58分、エルチェにフリーキックのチャンスを与えると、GKセルヒオ・リコが不用意な飛び出しをみせたことで、ペドロ・ビガスにヘディングゴールを献上。流れが傾いていた中、あまりにも勿体ない失点でリードを広げられてしまった。

 さらに81分、イ・ガンインが背後を突かれ、ボックス内への侵入を許す。GKリコが飛び出し防いだかに思われたが、こぼれ球が懸命に戻ったイ・ガンインに当たったことで、そのままゴールへと吸い込まれてしまった。

 結局、攻撃陣も不発に終わり、マジョルカは敵地で0-3と完敗。結果論にはなるが、悔やまれる点は主に2つだ。

 まずは前半の終盤に失点したこと。久保のコメントからも明らかな通り、準備してきたこととは違う展開を余儀なくされた。

 そして2つ目はリコの不用意な飛び出しによる失点。久保、イ・ガンインに加えサルバ・セビージャ、A・ロドリゲスが投入され「さあいくぞ!」といった雰囲気の中でのミスだったため、精神的なダメージはかなり大きかったはず。エラーが起きていなければ、同点に向けた迫力はさらにあったのかもしれない。

●久保建英には誰よりも可能性を感じた

 最終的に完敗に終わったエルチェ戦だが、久保個人に目を向ければ、決して悪いパフォーマンスではなかった。

 先述した通り、久保投入後のマジョルカは違った姿をみせた。同選手はイ・ガンイン、アンヘル・ロドリゲスと共に流動的にポジションを入れ替えながら、何度もチャンスに絡んでいる。贔屓目なしに、最も得点への可能性を感じたのは久保のアクションからだった。

 55分には、ジョバンニ・ゴンサレスからパスを受けると、ボックス内でアマトと素早いワンツーを披露。最後の右足のシュートは大きく枠を外れてしまったが、完璧にエルチェ守備陣を攻略していた。

 68分には中央でボールを受けると、見事なターンを見せ、そのままドリブルでバイタルエリアへ侵入。最後はフリーのムリキへ絶妙なパスを通した。長身FWのシュートはタイミングが少し遅れたことで相手のブロックに遭ったが、久保にアシストがついてもまったく不思議ではなかった。

 84分には鋭い縦突破からモヒカのファウルを誘発。87分にはG・ゴンサレスのパスを受け、狙いすました左足のシュートを披露した。このように、ハイライトに載るようなシーンには、ほとんど久保が絡んでいた。

 データサイト『Who Scored』では、久保に最高評価がついている。途中出場ながらシュート数2本、キーパス2本、ドリブル成功数4回と十分すぎる出来だった。またしても結果を残せなかったのは残念なポイントだが、前節のアトレティコ戦に引き続き、非凡な存在であることを証明できたはずだ。

 次節、マジョルカは19位に沈むアラベスとの重要な一戦に臨む。中2日でのゲームとなるためスタメンも何人か入れ替わるはずだが、果たして久保はスタートからピッチに立てるのか。注目したい。

(文:小澤祐作)