●スタメンの大幅な変更も実らず…

 プレミアリーグ第33節、サウサンプトン対アーセナルが現地時間16日に行われ、1-0でホームチームが勝利している。怪我人が続出している中、クリスタル・パレスとブライトンに連敗を喫していたアーセナルは今節も敗戦。痛恨の3連敗で6位へと後退し、CL出場権獲得が遠のく結果となってしまった。なお、冨安健洋は今節もふくらはぎの負傷でメンバー外となっている。(文:安洋一郎)

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 第31節でクリスタル・パレスに0-3、第32節でブライトンに1-2の敗戦を喫していたアーセナル。前節までに冨安健洋(ふくらはぎの負傷)、トーマス・パーティ(太ももの負傷)、キーラン・ティアニー(膝の負傷)と3名の主力選手が離脱をしていた中で、今節サウサンプトン戦では主将のアレクサンドル・ラカゼットが新型コロナウイルスの陽性反応を示したため欠場を余儀なくされた。

 前節はサポートの意識が少ないグラニト・ジャカを左SBで起用したことで左WGのガブリエウ・マルティネッリが前線で孤立することが多かったが、ミケル・アルテタ監督は今節に向けてこうした反省を踏まえた大幅なスタメン変更を決断した。

 ジャカを中盤に戻し、ヌーノ・タバレスがスタメンに復帰。ブカヨ・サカとマルティネッリのサイドを入れ替え、最前線にはラカゼットの代わりにエディ・エンケティアが今季プレミアリーグで初先発を飾った。

 主力選手4人が不在という緊急事態を乗り越えるための修正を図ったが、結果は0-1で敗戦。直近数試合の得点力不足は顕著であり、5試合でわずか2ゴールということからも明らかだ。

 一体なぜ、アーセナルは今節もノーゴールに終わり、0-1の敗戦を喫してしまったのだろうか。

●サウサンプトンの守備的なサッカーに大苦戦

 今節アーセナルと対峙したサウサンプトンは、アーセナル戦前までの6試合で1分5敗と絶不調に陥っていた。そのうち4失点以上を喫した試合は3つあり、前節チェルシー戦に関してはホームで0-6の完敗を喫していた。

 チェルシー戦で“屈辱”とも言える大敗を喫したサウサンプトンのラルフ・ハーゼンヒュットル監督は、アーセナル戦で守備的な5-4-1のシステムを採用。ライプツィヒの監督時代から攻撃的な4-4-2(4-2-2-2)のシステムを軸に戦っていた同監督だが、まずは守備に重きを置くことで絶不調のチームの立て直しを図った。

 最終ラインの5人と中盤の4人で5-4のブロックを敷き、アーセナルの攻撃陣の前に立ちはだかった。アーセナルが使いたいスペースはあらかじめサウサンプトンの守備陣に埋められているため、崩すことに大苦戦。結果的に23本のシュートを放ったが、ミドルレンジからのシュートが多くを占めた。

 サウサンプトンの守備的なサッカーに苦戦したことは間違いないが、アーセナルに決定機がなかったわけではない。17分には相手のビルドアップのミスをつき、マルティネッリのクロスをゴール前で受けたサカに決定機が訪れるが、枠を捉えた右足のシュートは守護神フレイザー・フォースターが横っ飛びのセーブでボールを枠外へ弾き出した。

 追加招集だったとはいえ、3月の代表戦でイングランド代表に復帰を果たしたフォースターは、このシーンを筆頭に神がかったセーブを連発し、6つの枠内シュートを止めて失点を許さなかった。

 決定機を逃したアーセナルに対し、サウサンプトンは前半終了間際にCKの流れからヤン・ベドナレクがワンチャンスをものにして先制することに成功。「守り勝つ」ためのサッカーをしていたサウサンプトンの思惑通りに試合は進み、後半45分も高い集中力で守り切ったことで1-0の完封勝利を収めた。

 試合後、アルテタ監督は「今日の相手には素晴らしいGKがいたし、我々は人数と状況が揃っている時に相手を崩すだけの能力とクオリティが備わっていなかった」と、敗戦した原因を振り返っている。

●冨安復帰で期待されることとは?

 クリスタル・パレス、ブライトン、サウサンプトンに屈辱の3連敗を喫したアーセナル(6位)のこれからの日程は厳しい。次節からはチェルシー(3位)、マンチェスター・ユナイテッド(5位)、ウェストハム(7位)と上位陣との連戦が続く。シックス・ポインターとなるこの3連戦を落とすとなるとUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権はおろか、欧州カップ戦の出場権獲得も厳しくなってしまうだろう。

 ティアニーに加えトーマスも今季絶望の可能性が高いという悪いニュースが続いた中で、一つ朗報になりそうなのが冨安健洋の復帰だ。アルテタ監督は4月5日の会見で、サウサンプトン戦後から冨安がチームのフルトレーニングに参加することを示唆しており、早ければ次節チェルシー戦で復帰をする可能性がある。

 直近の数試合では試合中に4バックから3バックへとシステムを変更しているアーセナルにとって、SBとCBのどちらでもプレーできる冨安の復帰は大きなプラスに働くことが予想される。前節ブライトン戦では後半途中からセドリックが3バックの右にポジションを移したが、守備で脆さを露呈するシーンが多かった。こうした3バック時の守備での不安は、冨安の復帰によって解決されるだろう。

 第3節以来、今季2度目の3連敗を喫したアーセナル。冨安は第4節ノリッジ戦からスタメンに名を連ね、前回の3連敗を止めた原動力となっていた。次節の対戦相手はチェルシーと前回連敗を止めた時よりも難易度はかなり高いが、これ以上黒星を重ねないためにも“日本人DF”には再びチームの起爆剤になってもらわなければならない。
(文:安洋一郎)