●勝利目前で勝ち点2を手放す結果に

UEFAネーションズリーグ(UNL)のリーグAグループ3第2節、ドイツ代表対イングランド代表が現地時間7日に行われ、1-1の引き分けに終わった。ドイツ代表は狙い通りの攻撃で先制したが、試合終了間際に勝利を手放してしまった。一体なぜ、勝ち切ることが出来なかったのか。(文:阿部勝教)

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 前節イタリア代表と引き分けたドイツ代表は、同試合から先発メンバー7人を変更。前節物足りなかった攻撃面に厚みを持たせるため、フォーメーションを4-2-3-1から3-4-2-1に変えてイングランド戦に臨んだ。

 そのドイツ代表は、開始1分でカイ・ハフェルツがファーストシュート。さらに、直後のコーナーキックではトーマス・ミュラーが触っていれば先制点という場面を作るなど、開始早々から相手ゴールに迫った。

 すると、23分にはニコ・シュロッターベックからのロングボールに抜け出したヨナス・ホフマンがシュート。見事な裏への飛び出しからゴールネットを揺らしたが、VARの結果オフサイド判定となり、このゴールは取り消された。

 その後も再三決定機を作ったドイツ代表は、50分にヨシュア・キミッヒがハーフスペースでフリーになっていたホフマンに鋭いダイレクトパスを入れると、華麗なターンから右足を振り抜き、先制点を奪取した。

 常にボールを保持し、試合を優位に進めていたドイツ代表がこのまま1-0で勝利すると思われたが、85分にシュロッターベックがペナルティーエリア内でハリー・ケインを倒してしまう。このプレーは一度流れたが、OFRの結果PKの判定となり、これを決められたドイツ代表は勝ち点2を手放してしまった。

 勝利目前だった。試合内容からすれば、終始主導権を握っていたドイツ代表が大差で勝利してもおかしくなかった。では、なぜ勝ちを逃すことになってしまったのか。

●戦術は機能していたが…

 先述したように、ドイツ代表は前節から3-4-2-1へフォーメーションを変更。両ウイングバックが高い位置を維持し、ハイプレスからのショートカウンターやターゲットマンのハフェルツへのロングボールから裏への抜け出しを狙っていたが、両ウイングバックが同じ働きをしていたわけではない。

 左ウイングバックのダヴィド・ラウムは主にサイドライン際でプレー。従来のサイドバックのように上下動をし、攻撃時は高い位置に、守備時には最終ラインまで下がって4バックを形成していた。

 一方の右ウイングバックのホフマンは中央寄りポジションを取っていた。最前線のハフェルツに近い位置でプレーし、ダイアゴナルランで相手CBの背後を狙い、GKまでプレスをかけるなど、常に高い位置を保っていた。

 23分のシュロッターベックのロングボールからホフマンが抜け出し、38分には敵陣でハイプレスをかけてボールを奪い、イルカイ・ギュンドアン→ジャマール・ムシアラ→ダヴィド・ラウムと繋いで、左からのクロスにハフェルツが頭で合わせた。ドイツ代表は狙い通りの攻撃で再三相手ゴールに迫っており、先制点をホフマンが決めたことを見れば、この両ウイングバックを絡めた攻撃がある程度機能していたことは分かるだろう。

 しかし、ドイツ代表は10本中9本のシュートをボックス内で放ち、その内6本が枠内を捉えたにも関わらず、決まった得点はわずか1点。今のドイツ代表にはボックス内で得点を量産できるタイプの選手がいないのだ。

 チーム内で得点源となっているホフマンやセルジ・ニャブリはサイドを主戦場とする。そのため、この試合のような戦術を取らざる負えない。

 サッカーはいかに相手を翻弄し、ゴールに迫ろうが、点を取らなければ勝てないスポーツだ。チャンスは作れるが決められない。それ故に、追加点を決められずに勝利を逃してしまった。

●軽率な守備

 そして、勝ちを逃したもう一つの原因は、守備時のマークの受け渡しだ。

 先述した通り、ドイツ代表は守備時に左ウイングバックのラウムを最終ラインまで下げて4バックを形成していたが、最前線で自由にポジションを変えるケインを捕まえることが出来ていなかった。誰がマークに付くのか、プレスに行くのかが明確になっておらず、野放しになってしまっていた。

 26分のコーナーキックの場面では、ファーサイドでケインがフリーになっていたが誰もマークに付かず、シュートを打たれている。運よく枠を外れたが、失点していてもおかしくない場面だった。さらに、29分にはバイタルエリアでボールを持たれるとペナルティーエリア手前まで運ばれ、チャンスを作られた。

 そして、85分のファールの場面でもケインには誰もマークに付いていなかった。シュロッターベックは背後のケインに気づかず、後ろから足を引っかけてしまいPKを献上している。

 このPKはラウムがマークに付くか、シュロッターベックにしっかり受け渡しが出来ていれば防げたはずだ。ボールに目が行き、最も警戒すべき選手を疎かにしてしまったために、試合終了目前で勝ちを手放してしまった。

 フォーメーションや大幅な選手の変更で難しさはあったかもしれない。だが、点が取れない以上、強固な守備を築かなければ、今後の試合も勝ち切ることは難しくなるだろう。

(文:阿部勝教)