キリンカップサッカー2022の第1戦が10日に行われ、サッカー日本代表はガーナ代表と対戦する。

 ベルギー1部ゲンクでMF伊東純也と同僚のジョセフ・ペイントシルや、スペイン1部マジョルカでMF久保建英と共にプレーするMFイドリス・ババら、主力選手の多くを負傷などで欠いているガーナ代表。来日メンバーは18人と少なめになってしまった。

 それでも若くて個性あふれるタレントが揃っている。特に注目したいのは、MFアブドゥル・ファタウ・アイザークだ。2004年生まれで、今年3月8日に18歳の誕生日を迎えたばかりのファタウはガーナサッカー界の未来を担うタレントとして期待されている。

 ガーナ代表を率いるナナ・オットー・アッド監督も「ファタウ・アイザークはスキルがあり、非常に俊敏で、優れた選手」と、その才能に惚れ込んでいる。

 2021年6月にガーナ代表に初選出されたファタウ・アイザークは、同年10月に開催されたカタールワールドカップアフリカ2次予選のジンバブエ代表戦で17歳にしてA代表デビューを飾る。そこから徐々に出番を増やし、2022年に入ってからは全ての試合に起用されてきた。

 今年3月に行われたアフリカ3次予選のナイジェリア代表戦にはホーム・アウェイともに先発出場し、ガーナ代表のカタールワールドカップ本大会出場権獲得に貢献。同6月5日のアフリカ・カップ・オブ・ネーションズ予選の中央アフリカ共和国代表戦では、早くもA代表10キャップに到達した。

 ファタウ・アイザークは左利きの攻撃的MFで、トップ下を主戦場とするレフティー。左足から繰り出される強烈なシュートは、唸りを上げてゴールネットに突き刺さる。スピードや体のバネも相当なもので、身体能力は非常に高い。ガーナプレミアリーグでは2021/22シーズンにリーグ戦7試合出場6得点という圧倒的な記録が残っており、得点力も魅力の1つだ。

 トップ下でのプレーが得意なレフティーという特徴のみならず、歩んできたキャリアには日本の久保と重なる部分がある。ファタウ・アイザークは18歳の誕生日を迎えて大陸をまたいだ国際移籍が解禁された直後の今年4月、母国ガーナのステッドファストFCからポルトガルの強豪スポルティングCPへ移籍した。

 ポルトガルメディアの報道などによれば、欧州屈指の育成の名門がファタウ・アイザーク獲得のために支払った移籍金は120万ユーロ(約1億7000万円)にのぼり、契約解除に必要な違約金は6000万ユーロ(約85億円)に設定されたという。リバプールとの争奪戦を制して獲得した逸材は、来季から本格的にポルトガルでの挑戦を始める見込みだ。

 日本代表に選ばれている久保も18歳になってすぐFC東京からレアル・マドリーへ移籍することになった。アジアとアフリカから欧州の名門に渡った久保とファタウ・アイザークが、それぞれの母国を背負って対戦する。

 なお、ファタウ・アイザークはスポルティングCPから日本遠征に参加せずポルトガルに戻るよう要請されていた。プレシーズンに向けて休息をとることを求められたわけだが、それを断って来日している。となればモチベーションも高いはずで、日本戦でも好プレーが期待できそうだ。

 オットー・アッド監督も日本戦に向けた前日記者会見で「若くて恐れ知らずだが、まだ学ばなければいけにことがたくさんあるので、明日は彼にとってとてもいいチャンスになると思う。明日は彼自身が自分に何ができるかをしっかりと見せられればいい」とファタウ・アイザークの起用を示唆していた。

 結局、日本戦はベンチスタートになったが、ガーナ代表はサブの選手が5人しかいないためファタウ・アイザークに途中出場の機会が訪れる可能性は高い。今後の欧州サッカー界を席巻するかもしれない超逸材がノエビアスタジアム神戸のピッチでどんなプレーを見せてくれるか注目だ。

(取材・文:舩木渉)