●効果的だった日本代表の3/4プレス

サッカー日本代表は10日、キリンカップサッカー2022でガーナ代表と対戦し、4-1で勝利した。攻撃陣はパラグアイ代表戦同様に得点を重ねたが、ワールドカップ本大会を想定したときに、武器になるものは見つかったのか。インサイドハーフで起用された久保建英、ドリブルで違いを生み出した三笘薫への評価とは。(文:西部謙司)
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 ガーナ代表はワールドカップで同グループの韓国代表を想定したゲームだったと思うが、日本代表にとってガーナ代表はグループリーグで対戦する相手を想定しにくい。あえていうなら、攻撃に関しては仮想ニュージーランド代表(またはコスタリカ代表)、守備については仮想ドイツ代表になるだろうか。

 日本代表はそれほどハイプレスを仕掛けていない。基本的には敵陣の半分ぐらいからのプレスなので、フィールドの4分の3を対象とした3/4プレスといったところ。ドイツ代表を想定した場合、これが現実的な守り方になるのかもしれない。

 ドイツ代表にブラジル代表ほどのテクニックはないが、プレス回避はかなり洗練されている。ハイプレスを外されてひっくり返される危険があり、それが最も危ない失点リスクだと思う。もう1つの失点リスクとして自陣ビルドアップの失敗があり、ブラジル代表戦に続いて自陣でボールを失っての失点があった。ただ、相手がハイプレスしてこなかったのでハイプレス耐性が問われる試合にはなっていない。

●三笘薫への依存度

 ガーナ代表に対して序盤はあまりプレスがはまっていなかったが、前半途中からはロングボールを蹴らせて回収する流れにできていた。相手の3バックに対して3トップが敵陣半分からプレスし、両ウイングは外側へのパスコースを遮断する。相手のウイングバックが遮断コースより前に出たらSBがマーク、下がったらウイングが二度追いという手順で前進させない。

 中盤中央は3対3なので、相手のアンカーにインサイドハーフがプレスして、放した相手は遠藤航が受け取る。3バックの相手に対しての標準的な守り方だが、以前はこれで混乱していた時期もあったのに比べればかなり整理されていた。

 ドイツ代表がプレス回避でよく使う、GKからウイングバックへのロングパスに対しては、伊藤洋輝の高さは有効かもしれないが、この試合ではガーナ代表がFWへのロングボールを選択することが多かったので、まだ何とも言えない。

 ガーナ代表はほとんどハイプレスをしてこなかった。対ドイツ代表という点では全く参考にならない。ドイツ代表は徹底的なハイプレスを戦術の中心に置いているチームであり、それを日本代表が回避できるかはこの試合では問えない。

 難なくボールを運べるため、攻撃面で焦点になったのは引いている守備ブロックをいかに攻略するかに絞られた。想定できるとすればニュージーランド代表またはコスタリカ代表になる。

 4得点しているので攻撃面での成果は十分のようではあるが、2ゴールは三笘薫の個人技によるもの。三笘への依存度は高い。ブラジル代表戦ではミリトンに1対1で抑え込まれたが、ガーナ代表には十分に通用していた。対面がミリトンという状況のほうが特殊なので、本大会でも三笘の個人技は期待できそうだ。

●久保建英は諸刃の剣。起用のリスクとは?

 先制点は久保建英、堂安律、山根視来のコンビネーションから山根がゲットしている。3人の連動性と個性が表れたきれいなゴールだったが、再現性にはやや疑問も残った。

 久保は球際で劣勢、ボールを失うことが多かった。久保を経由した攻め込みはチャンスにつながることもある半面、カウンターを食らうリスクもある諸刃の剣というのが現状だろう。右サイドで起点となった堂安律も半身のキープの仕方がコンタクトプレーになりやすく、そこでの強さが持ち味なのだが、コンタクトの強いガーナ代表相手だと奪われることもあった。

 東京五輪で攻撃の軸だった久保、堂安の連係だが、攻撃の切り札とするには確実性が不足している。伊東純也と三笘のドリブル以外に武器はまだ見つかっていない。

 チーム全体の戦い方は洗練されてきた。ただし、終盤に5分間ほど試した3-4-2-1の機能性、南野拓実をどう生かすか、冨安健洋をどのポジションで起用するかなど、まだよくわからないところも残っている。とくにドイツ代表を想定した場合のハイプレス回避については、2試合連続失点をみるかぎり不安が残るところではあった。

(文:西部謙司)

【了】