●ハイプレスに苦しむスペイン代表

 UEFAネーションズリーグ(UNL)のリーグAグループ2第4節、スペイン代表対チェコ代表が現地時間12日に行われ、2−0でスペイン代表が勝利を収めた。チェコ代表のハイプレスにより苦しむも、スペイン代表は見事攻略。前節のスイス代表に続き、勝ち点3を獲得した。(文:瀬良垣エンソ)

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 試合序盤からボールポゼッションで優位に立っていたスペイン代表だったが、チェコ代表の高い位置からのプレッシャーからボールロストし、ピンチを招くシーンが何度かあった。18分には左SBマルコス・アロンソからピッチ中央にいたアルバロ・モラタへのパスが相手MFにカットされると、そこからショートカウンターを受け、エリア外からシュートを打たれる。GKウナイ・シモンの素晴らしいセーブでなんとか失点は避けることができた。

 スペイン代表は開始20分時点でボール支配率70%を記録しながらも、チャンスを生み出すことができていなかったが、24分に決定機を作る。センターサークル付近の相手陣内でフリーだったコケが最終ラインの背後のスペースに浮き球でフィード。ボールをキープしたマルコ・アセンシオはエリア内右サイドから折り返し、中央に走り込んでいたカルロス・ソレールが流し込み、チームに先制点をもたらした。

 75分には途中出場したガビが、見事なドリブルから相手選手を難なく剥がすと、ボールはダニ・オルモを経由してフェラン・トーレスへと渡る。フェランは再び低いパスを中央に入れ、2戦連続となる決勝弾をパブロ・サラビアが落ち着いて押し込んだ。

 その後は相手DFのミスから決定機を生み出すも決めきることが出来ず、試合はそのまま2−0で終了。スペイン代表は前節のスイス代表に続く勝利で勝ち点を8に伸ばし、グループ首位に躍り出た。

 前半にはチェコ代表の徹底されたハイプレスとショートカウンターにより苦しんだスペイン代表。では、一体なぜスペイン代表はチェコ代表のこの戦術を攻略できたのだろうか。

●ハイプレス回避のキープレイヤーは…

 チェコ代表は同試合でも第2節のスペイン代表戦と同じ、3−4−3を採用。しかし、今回は前線からの激しいプレスからスペイン代表のミスを誘うゲームプランを取った。

 スペイン代表が自陣でボールを回している際は、チェコ代表は最終ラインを高く保ち、MFとFWはマンツーマンディフェンスでパスの出どころを塞いだ。高い位置からのプレッシャーに対し、ウナイ・シモンやマルコス・アロンソは焦りを見せ、ボールを失う場面があった。

 しかし、スペイン代表CBコンビは違った。両者とも相手のハイプレスを全く恐れず、精度の高いパスを何度も放った。26分のシーンのように、相手FWからのプレッシャーを何度もかけられながらも、イニゴ・マルティネスは安易にGKに下げず、積極的に縦パスを入れて常に攻めの姿勢を見せた。

 そしてその1分後にも、イニゴ・マルティネスは相手陣右サイドで待っていたアセンシオに素晴らしいロングフィードを入れ、23分にソレールが決めた先制点に似たような流れを演出してみせた。

 90分間を通じて、エリック・ガルシアのパス成功率は96%、イニゴ・マルティネスは93%とリスクを負った縦パスを積極的に入れながらも高い数字を記録した。

●持ち味を発揮する新たな右ウイング

 CBコンビとは別に、チームにアクセントを加えたのが右WGのマルコ・アセンシオだった。

 これまでの3試合はサラビアまたはフェラン・トーレスが出場することがほとんどだったが、両者ともアセンシオのようにドリブルを仕掛けていくような選手ではなく、WGとして相手に脅威を与えるプレーが少なかった。

 しかし、UEFAネーションズリーグ22/23グループリーグ初となるスタメン出場を果たしたアセンシオは、右サイドタッチラインに張って幅を取ることでDFを引き寄せ、カルロス・ソレールが走り込むスペースを何度も作り出した。また、味方とのパス交換や持ち味のドリブルなど、自らチャンスに絡むシーンも生み出している。

 チェコ代表左SBのヴァーツラ・イェメルカとCBのヤクブ・ブラベツはアセンシオへの対応に戸惑いを見せた。マークにつけばスペースを与えてしまい、フリーにしてしまえばドリブルで仕掛けられてしまう。チェコ代表DFにとって、この日アセンシオの存在は非常に厄介だった。

 スペイン代表は最初の2試合では苦戦するも、3試合目のスイス代表戦から徐々に本来のスタイルを取り戻しつつある。ネーションズリーグのグループリーグも残すところ2試合となった。果たして、9月に迎えるスイス代表戦、ポルトガル代表戦でもこの日のように実力を発揮してくれることに期待したい。

(文:瀬良垣エンソ)