●香港代表戦で目立った3選手とは

サッカー日本代表は19日、EAFF E-1サッカー選手権で香港代表と対戦し、6-0で勝利した。Jリーグで活躍している選手たちは、それぞれが持つ強みを発揮していた。11月に開幕するカタールワールドカップのメンバーに入る者は現れるのだろうか。(文:西部謙司)
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 インターナショナルマッチデーでないため招集に拘束力がないEAFF E-1サッカー選手権には、Jリーグから選抜された日本代表で臨んでいる。

 ワールドカップのメンバーに滑り込むためのテストという位置づけになる大会だが、本大会までの準備日数もほとんどない中でE-1から最終メンバーへ入るのはかなり狭き門ではないかと思われる。

 香港戦で目立ったのは西村拓真、水沼宏太、相馬勇紀の3人。

 トップ下で起用された西村はシンプルで確実なパス捌きと、ペナルティーエリア内で勝負できる得点力が魅力だ。ペナルティーエリア内でパスを受けてターンした後、DFを上手く外して冷静に決めた1点目(日本代表の3点目)、続いて無回転気味の芯を食った左足のミドルシュートで2点目。得点力をみせつけた。献身的なハードワークも現代表のカラーと合っている。もうひと働きあれば、鎌田大地、南野拓実と競合する存在に浮上するかもしれない。

 親子二代での代表入りとなった水沼は右サイドの職人だ。香港戦でも右サイドから繰り出すクロスボールで次々にチャンスを作っていた。代表の右サイドには鉄板の伊東純也がいるが、水沼にはクロスの精度という明確な武器がある。この試合では山根視来とのコンビネーションも良く、ハードワークもできる。時間限定での起用でも結果を叩き出せるラストパスの精度をどう評価するか。

●藤田譲瑠チマは国際試合向き

 相馬に関してはすでに五輪代表での経験もあり、使い方はわかっている選手だと思う。もし3バックを採用するなら、左ウイングバックに該当する選手が現代表には少ないのでチャンスはありそうだ。

 ドリブル突破での勝負というわかりやすさは三笘薫と似ている。五輪代表の強化試合でU-24アルゼンチン代表と対戦したときには、三笘がやや苦戦していた対面のSBを軽々と抜き去っていた。三笘とはドリブルの特徴が違うので、相性しだいで使い分けができる。

 FKで先制点をゲット、後半に山根のクロスをバックヒールで2点目。積極的にシュートを狙う姿勢をみせ、チャンスに食らいつく気概と勝負強さを示した。

 U-21日本代表のキャプテンとして存在感を見せた藤田譲瑠チマは攻守のダイナモとして持ち味を発揮していた。敏捷でパワーもあり判断が速い。テンポの早いプレーぶりはプレッシャーが厳しい中でもプレーできる点で国際試合向きであり、物おじしないキャラクターもあって可能性を感じさせる。経験を積むことで、テンポの早さゆえのミスも減っていくだろう。

 4点目の西村のシュートにつなげたパスは、シンプルなショートパスだが丁寧にコントロールされていた。ワールドカップのメンバーに入るかどうかといえば可能性は低いかもしれないが、今後飛躍していく選手だろう。

●意外だった起用とは?

 藤田とともにU-21日本代表から抜擢されたGK鈴木彩艶は攻め込まれる場面が少なく、ある意味見せ場のない試合だった。才能の大きさはすでに知られていて、その期待からの今回の代表入りだったと思われる。

 ただ、カタール大会を第一に考えるなら、横浜FMの高丘陽平を選ぶべきだったのではないか。6月の強化試合4戦では、自陣ビルドアップのミスからの失点が相次いでいた。ビルドアップの上手いGKを試す機会でもあり、今季のJ1で1試合も出ていない鈴木をこのタイミングで優先させたのは意外だった。

 交代出場の宮市亮を含めて横浜FMの6人がプレーした。次の中国戦はおそらくサンフレッチェ広島を中心とした編成になるのではないか。同じクラブからのセット起用は寄せ集めの代表チームにありがちな連係の不具合を最小限にする効果が期待できそうだ。香港戦、中国戦を踏まえての最後の韓国戦がワールドカップへの最終テストになるのだろう。

(文:西部謙司)

【了】