EAFF E-1サッカー選手権決勝大会の初戦が19日に行われ、サッカー日本代表は香港代表に6-0の大勝を飾った。

 この試合では多くの選手が日本代表デビューを飾った。その中でもひときわ目立ったのは、GK鈴木彩艶の先発起用だ。今季は所属する浦和レッズでリーグ戦出場がないが、日本代表に初招集。そしてE-1選手権の初戦でゴールマウスを託された。

 日本代表を率いる森保一監督は「U-23アジアカップを招集を考えた上でポイントとなる試合として視察していました」と明かす。鈴木はU-21日本代表の一員として出場した6月のAFC U-23アジアカップでハイパフォーマンスを披露し、3位入賞に大きく貢献していた。

「アジアの戦いの中で彼がハイパフォーマンスをしているということで招集させてもらいました。自チームでリーグ戦に出ておらず、位置づけとしては第2GKかもしれないですけど、西川周作もここにいてもおかしくない選手だと思います。浦和レッズには日本代表レベルのGKが2人いるということ、その中で今回は彩艶を選ばせてもらったということで考えていただければと思います」

 森保監督は浦和で正守護神を担うベテランの西川ではなく、鈴木を招集した理由をこのように説明する。リーグ戦出場ゼロの選手が日本代表で試合に出るのは異例だが、19歳の守護神の将来性を高く評価しての抜てきだった。

 では、実際のプレーはどうだったのだろうか。

 いくつか細かなミスはあったものの、落ち着いた様子でプレーしていた鈴木は完封勝利に貢献した。難しいクロスにも勇敢に飛びつき、ビルドアップの場面ではロングパスに逃げずフリーの味方に的確にパスをつける冷静さも見せていた。森保監督は次のように評価する。

「いい集中をして、攻撃にも守備にも絡んでくれたと思います。一度だけではなく、クロスの対応で相手が飛び込んでくるのが見えていて、恐れたり躊躇してうまく守備できなくてもおかしくないところを彼は本当に勇気を持って、相手と接触しながらしっかり防ぎ、無失点に貢献してくれたと思います。

非常にいい集中を持って、勇気のある飛び出しからピンチを防いでくれたと思っていますし、攻撃の部分ではマイボールで受けた後にできるだけ早く展開していこうと、意識的に周りの選手を使って、クイックフィードをしながらチームにテンポをもたらしてくれたと思います」

 無失点で試合を終えることができたのは、対戦相手との実力差も関係していただろう。これから続く中国代表や韓国代表との、より厳しい展開が予想される試合に鈴木が起用される可能性はまだ低い。もちろん現状のクラブでの立ち位置なども踏まえれば、11月のカタールワールドカップに向けた競争に割って入っていくのも難しい。

 だが、いち早くチャンスを得たことでA代表デビュー戦という貴重な経験を積むことができた。鈴木はこの1試合で新たな成長のきっかけをつかんだはず。日本代表の未来を担う守護神のさらなる進化に期待したい。

(取材・文:舩木渉)