●アーセナルが劇的な逆転勝利

 プレミアリーグ第4節、アーセナル対フルハムが現地時間27日に行われた。ホームチームは2-1で勝利したが、昇格組相手に大苦戦。なお、冨安健洋は試合終盤に途中出場するも、プレー時間はわずか8分間に留まった。(文:阿部勝教)

 18年ぶりの開幕3連勝と、今季のアーセナルは絶好調。今節も試合開始からトップ下のマルティン・ウーデゴールを起点に再三相手ゴールに迫り、前半だけでシュート8本を放つなど、完全に主導権を握っていた。

 誰がどう見てもアーセナルが先制する。そう思ったに違いない。しかし、チャンスが決めきれない時間が続くと、56分にガブリエウ・マガリャンイスが自陣ペナルティーエリア内でまさかのボールロスト。背後からプレスに来たアレクサンダル・ミトロヴィッチにボールを奪われ、先制点を決められてしまった。

 だが、今季のアーセナルはこれまでと一味違う。先制されてもペースは落ちず、エディ・エンケティアを投入して攻勢を強めると、64分にウーデゴールが同点弾を奪取。さらに、85分にはガブリエウ・マルティネッリのコーナーキックからマガリャンイスが逆転弾を決め、破竹の4連勝を飾った。

 上記したようにアーセナルは劇的な逆転勝利を収めたが、データサイト『SofaScore』によると、ボール保持率は72%を記録。シュート本数はフルハムの11本に対し、倍の22本を放つなど、圧勝していてもおかしくない数字を残していた。

 ではなぜ、アーセナルは昇格組相手に大苦戦を強いられることとなったのか。

●苦戦を強いられた原因は…

 苦戦を強いられた最大の原因は、ガブリエウ・ジェズスだろう。

 今夏に加入したジェズスは、開幕から3試合で2得点3アシストをマーク。チーム総得点の半分に直接関与するだけでなく、攻撃の起点となり、ドリブル突破などからチャンスも演出していた。

 しかし、この試合では開幕からの4試合で最も多い61回のタッチ数を記録するも、決定機に直接関与したのは、15分にウーデゴールのクロスをグラニト・ジャカへ落とした場面と、54分のジャカとの連係からシュートを放った場面のみ。エンケティア投入以降はほとんど存在感がなく、4本のシュートを放つも枠内を捉えたのは1本だけだった。

 決して不調だったわけではない。中盤まで下りてゲームの組み立てへの関与や、自陣まで戻る守備など、勝利には間違いなく貢献していた。だが、ジェズスが相手ゴール前でなかなかボールに絡めなかったことで、アーセナルは単調なサイド攻撃を繰り返すことになっていた。

 負傷により欠場したオレクサンドル・ジンチェンコと、トーマス・パーティの影響も大きかっただろう。だが、現アーセナルの攻撃の核は間違いなくジェズスだ。加入後間もないこともあるが、新エースを上手く活かすことが出来なかったことで、アーセナルは昇格組相手に大苦戦を強いられてしまっていた。

●冨安の今後の起用法は…

 苦戦を強いられたアーセナルは、85分に逆転すると、試合終了間際の89分に冨安健洋を投入。守備に厚みを持たせ、逃げ切りに成功した。

 現在スタメンの座を確保できていない冨安は、今後もおそらく今節のような起用が続くだろう。

 この試合でミケル・アルテタ監督は、これまで同様に4-2-3-1を採用した。右サイドバックにベン・ホワイト、左サイドバックには欠場したジンチェンコに代わり、キーラン・ティアニーを起用。1点ビハインドで迎えた61分にはティアニーを下げてエンケティアを投入し、より攻撃的な3-5-2へフォーメーションを変更している。

 この変更が容易に行えるのは、ベン・ホワイトが右サイドバックに入っているからだ。3バックに変更してもDFラインに残るのはCBを本職とする3選手。フォーメーション変更のためにDFの選手を変える必要が無く、強度が下がることもない。スムーズに移行することが出来る。

 冨安でもこの変更は可能だ。だが、現在の序列では、右サイドバックでもCBでもベン・ホワイトが上。この試合で左サイドバックとして入ったように、おそらく日本代表DFは試合を勝ち切るためのカードとしての起用が続くことになるだろう。

 前線の選手であれば、少ない時間でも結果を残してアピールすることが出来るが、DFは難しい。この現状を打破することは容易ではないが、果たして冨安は再びスタメンに返り咲くことは出来るだろうか。

(文:阿部勝教)