●幻となったアシスト。久保建英のパフォーマンスは?

ラ・リーガ第4節、レアル・ソシエダ対アトレティコ・マドリードが現地時間3日に行われ、1-1の引き分けに終わった。久保建英は移籍後初めてベンチスタートとなったが、71分から出場。ダビド・シルバに代わって務めたトップ下でのパフォーマンスはいかなるものだったのか。そして、新戦力が加わった中で、チームでの立ち位置はどうなっていくのだろうか。(文:加藤健一)
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 非常に厳しい世界だ。開幕戦勝利の立役者が、4試合目にして先発を外されてしまう。これが欧州カップ戦に参戦するトップレベルのクラブで日々繰り広げられる競争である。

 開幕から3試合続けて先発で起用されてきた久保建英は、4戦目にして初めてベンチスタートとなった。これまで久保が務めてきた2トップ入ったのは、アレクサンダー・イサクの移籍後2試合連続で起用されているモハメド=アリ・チョーと、レンタルで再加入したアレクサンダー・セルロートだった。

 久保に出番が訪れたのは1-1の同点で迎えた71分。その数分前から投入の準備はできていたが、プレーが途切れなかったことで投入が後ろ倒しになっている。逆転を狙うべくダビド・シルバが務めていたトップ下に入った。

 最大のチャンスは76分。ゴール正面でボールを持つと、寄せてきた相手をダブルタッチでかわしてパスを出した。ボールは同点弾を決めていたウマル・イサクの下へ。チップキックでゴールネットを揺らしたが、オフサイドによってゴールは認められず。久保の決勝アシストは幻となった。

 試合終了間際は力を振り絞って攻めるアトレティコペースとなり、ソシエダにとってはピンチが続く状況となった。97分の場面でレフェリーがアドバンテージを取っていれば、アトレティコが勝ち越していただろう。

 その直後もジョアン・フェリックスのシュートをアレックス・レミロが片手で弾き、コケが詰めたところをマルティン・ズビメンディが身を呈して防いで窮地を脱した。終盤は防戦一方だったこともあり、久保も含めた前線の選手たちが攻撃で目立つことはなかった。

 先発からは外れたものの、久保は約25分という限られた時間の中でできる仕事はやったのではないだろうか。ただ、それと同時にソシエダにおける現在の立ち位置も徐々に見えてきたと言える。

●なぜ久保建英は先発を外れたのか

 スペインメディア『Futbol Fantasy』は試合後、イマノル・アルグアシル監督のコメントを伝えている。

「今週、タケ(久保)は通常のトレーニングができなかったが、それが(先発を外れた)理由ではない。勝つためにできる最高のチームを作るために今日のメンバーを決めた」

 端的に言えばスタメン落ちということになる。ただ、長いシーズンを戦っていくうえでずっと出続けるというのは無理な話だ。11人を固めるのではなく、躊躇せず起用できる選手の数を増やしていくことは、UEFAヨーロッパリーグとの戦いを両立していくうえでも重要な仕事の一つ。レアル・ソシエダというクラブを知り尽くすはこうも話している。

「2人(セルロートとサディク)と契約する前からスカッドには満足していたが、さらに満足している。なぜなら起用の幅が広がり、重要な選手を必要な時に起用できるからね」

 2トップのポジションはイサクが移籍したが、ゴールを決めたサディクを中心に、この日先発したチョーとセルロートもいる。開幕時に比べれば枚数も揃ってきたので、まずは本職の彼らを見極めようとしているようだ。

 その結果として久保は、ダビド・シルバに代わるトップ下として起用されることとなった。

●木を見て森を見ずの議論

 この日のシルバ71分に下がったことで、中4日で迎えるEL・マンチェスター・ユナイテッド戦でシルバを起用することもできるだろう。シルバと久保の同時起用も魅力だが、常にどちらかがトップ下でプレーすることによって、チームのクリエイティビティを保つことができる。

 得点が必要な状況になれば、インサイドハーフとトップ下で共存するという案もある。起用の幅を広げるということは、指揮官の目指すところ。ミケル・オヤルサバルとカルロス・フェルナンデスが復帰するまでは、手探りの起用が続くが、今は長いシーズンを戦う上で戦力の見極めを行わなければいけない時期でもある。

 どのポジションが久保に合っているかは木を見て森を見ずの議論であり、チームとしての最適解と共存するチームメイトありきの話である。どこで起用されようとも、自身の特徴を発揮する方法を久保が見つけられれば、結果は後からついてくる。今はその動向を注視する時期だ。

(文:加藤健一)

【了】