●守田英正が2得点を演出

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第1節が現地7日に行われ、アイントラハト・フランクフルトがスポルティングCPに0-3で敗れた。この試合には3人の日本人選手たちが出場。フランクフルトのMF鎌田大地とMF長谷部誠、そしてスポルティングCPのMF守田英正は欧州最高峰の舞台でどんなパフォーマンスを見せたのだろうか。(文:舩木渉)

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 過去にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の舞台で、ポルトガルのクラブがドイツの地で勝ったことは一度もなかった。その不名誉な記録に、スポルティングCPが終止符を打った。

 CLグループステージの初戦が現地7日に行われ、スポルティングCPはアウェイでアイントラハト・フランクフルトに3-0の完勝。15度目の挑戦で、ついにドイツの地からポルトガルのクラブが勝ち点3を持ち帰ることに成功したのである。

 その歴史的な1勝に、CLデビューとなったMF守田英正も大きく貢献した。先発起用された日本代表MFは65分、この試合で初めてペナルティエリア内まで飛び出すと、左サイドから折り返してFWマーカス・エドワーズの先制ゴールをアシスト。この1点が試合を一気に動かした。

 さらに67分、守田は追加点の起点となるパスで魅せた。GKからのフィードをセンターサークル手前でFWフランシスコ・トリンコンが落とすと、すぐ後ろに構えていた守田はワンタッチで浅い相手ディフェンスラインの背後にスルーパスを通す。そこからFWペドロ・ゴンサウヴェス、エドワーズと展開して右サイドを破り、最後は遅れてゴール前に入ってきたトリンコンが仕留めた。

 あの一瞬にワンタッチでの縦パスを選択し、正確に約25メートル先の味方選手の足もとにピタリとつけられる技術を見せられたら唸るしかない。フランクフルトのディフェンス陣は守田のパスに完全に意表を突かれて反応が遅れ、後手の守備対応を強いられた。

 昨季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)王者を相手にした一戦で、守田は堂々たる1アシスト1起点。最序盤の5分にいきなりイエローカードを提示され、危うくオウンゴールしかけるなどヒヤヒヤする場面もあったが、周囲からの信頼をつかむのに十分な結果を残したと言えるのではないだろうか。

●真の勝利の立役者は…

 スポルティングCPは82分に途中出場のMFヌーノ・サントスが加点し、アウェイで3-0の快勝を飾った。試合開始直後から丁寧にゆっくりとビルドアップする姿勢を見せ、ホームのフランクフルトにハイテンポな展開を作らせない手堅さで徐々に主導権を握り、後半に3得点という“大人”な勝ち方だった。

 ルベン・アモリム監督も地元ポルトガルの中継局『イレブン・スポーツ』が実施したフラッシュインタビュー「昨季の(CLの)初戦の方が、我々ははるかに『大人』だった。ところどころに経験不足が感じられたが、最終的には我々がゴールを決め、無失点で終えられた」と述べている。

 昨季のCLグループステージ初戦でスポルティングCPはアヤックスに1-5という大敗を喫していた。その結果を踏まえれば、今回の3-0は最高のスタートと言える。アモリム監督も安堵しているに違いない。

 チームを大勝に導いたのは2得点に絡んだ守田や、1得点1アシストと目に見える数字を残したエドワーズなのは間違いない。だが、最大の功労者はGKのアントニオ・アダンだと断言できる。

 開始2分で味方のバックパスのミスからピンチを迎えた際は、アダンが落ち着いた飛び出しでFWランダル・コロ・ムアニのシュートを左足に当てて失点を阻止。このベテラン守護神がおらず、もしここでゴールを許していたら、昨季のアヤックス戦のような悪夢を味わうことになっていたはずだ。

 16分にはショートカウンターでゴールに迫った鎌田からのラストパスを正確な予測をもとに処理し、コロ・ムアニにシュートを打たせない。さらに30分にも抜け出してきた鎌田からのクロスをがっちりキャッチしたアダンがピンチの芽を摘んだ。またも35歳のスペイン人GKが大きな仕事をした。

 アモリム監督も「アダンはアダンだった。彼は昨季ほどいい状態ではないと言っていたが、サッカーとはそういうもの。物事はいつか変化するし、常に信じ続けなければならない」と地道に努力を続けて本調子を取り戻した大ベテランを称えた。

●鎌田大地のCLデビュー戦は?

 フランクフルトとともにCL本戦デビューを果たした鎌田だったが、いつものブンデスリーガの試合ほど味方と近い距離でプレーすることができなかった。なかなか前向きにボールを持たせてもらえず、ペースがつかめない。上で述べたようにチャンスに絡むシーンも多々あったが、ことごとくスポルティングCPのディフェンス陣に阻まれてしまう。

 53分に訪れたペナルティエリア内でシュートを放つチャンスも、身を投げ出した相手DFルイス・ネトにブロックされた。残念ながら「鎌田の日」ではなかった。なお、MF長谷部誠は84分から鎌田にかわって途中出場し、13年ぶりにCLの舞台に立ったがチームを勝利に導くことはできなかった。

 勝利したスポルティングCPは、大きな収穫を得てポルトガルへ戻ることになるだろう。今季は「9番」タイプの選手がチーム内に1人しかおらず、その選手も負傷離脱していた最近はストライカー不在で戦わざるを得なかった。リーグ戦で早くも昨季は一度もなかった連敗を喫し、最適な形を模索する日々が続いていた。

 しかし、3-4-3の最前線で起用されているエドワーズが今季の公式戦で6試合出場3得点3アシストと多くのゴールに絡み、トリンコンもフランクフルト戦でようやく加入後初ゴールをゲット。唯一の純粋なストライカータイプであるFWパウリーニョも実戦復帰を果たした。対戦相手によって「9番」タイプを使うのか、「0トップ」的な組み合わせにするのか、戦い方の幅が広がったと言えそうだ。

 明暗分かれることになった日本人対決は、それぞれの今後の戦いにどう影響していくだろうか。スポルティングCPとフランクフルトが属するグループDは、トッテナムやマルセイユも含めて全て日本人選手の在籍歴があるクラブによる実力拮抗の争いが繰り広げられていくはず。これからも守田や鎌田、長谷部のプレーから目が離せない。

(文:舩木渉)