●その姿はペップ・バルサそのもの

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグ第1節、バルセロナ対ヴィクトリア・プルゼニが現地時間7日に行われ、5-1でホームチームが大勝した。この試合では、FWロベルト・レヴァンドフスキがハットトリックと大活躍。シャビ・バルサに進化の兆しが垣間見えた。(文:本田千尋)

 さらなる“兆し”が垣間見えた。

 現地時間7日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)の開幕節。グループCの初戦をカンプ・ノウで迎えたバルセロナは、“新エース”ロベルト・レヴァンドフスキが圧巻のハットトリックを見せつけ、ヴィクトリア・プルゼニを5-1で粉砕した。

 前半の早い時間帯、8分と11分にはプルゼニも鋭いカウンターを繰り出して果敢に抵抗してきたが、バルサは攻守の切り替えが速くロスト時の守備を徹底。アタッキングサードに侵入は許したものの、ボックス近辺でチェコ王者にシュートは打たせなかった。

 14分にCKのチャンスからフランク・ケシエのヘッドで先制すると、20分にはチームとして“バルサの思想”を体現するプレーを披露。プルゼニのカウンターを敵陣中央で潰してボールを奪い返す。そして、落ち着いてパスを繋いでいく。敵に自陣への侵入すら許さず、カウンターを繰り出した早い段階で潰してマイボールにし、延々と繋いでポゼッションを高めていく様は、まさに往年のペップ・バルサそのもの。プルゼニの選手たちは、攻撃をくらう→ボールを自分たちのものにしようとする→即座に回収される、と、あたかも“無間地獄”に放り込まれたような気分だったに違いない。

●GL突破に向け視界は良好?

 前半終了間際の44分に敵GKのアンダースローから速攻を許し、プレスが上手くハマらず失点はしたものの、34分、48分、67分と、またもレヴァンドフスキが爆発――。自らコースを作る動き、ポジショニング、冷静沈着で高精度のフィニッシュ…そこには“バイエルンのレヴァンドフスキ”がいた。完璧ではないが周囲との連係も構築され始め、いよいよポーランド代表FWは、ここカタルーニャの地でも本領発揮のようだ。

 71分に途中出場のフェラン・トーレスの超絶ボレーで突き放し、5-1でチェコ王者を粉砕したバルサ。2季ぶりのグループ突破に向けて、視界良好だ。

 このようにして、両SBではジョルディ・アルバとセルジ・ロベルトが先発し、中盤ではフレンキー・デ・ヨングとケシエが先発するなど、多少の先発メンバーの入れ替えがあってもロスト時の守備が機能して試合の主導権を握った様子からは、チームの完成度がさらに高まっていることが伺える(もっとも、先発の両SBが“バルサの思想”を熟知する選手だったからこそ、より機能した可能性もあるが)。

 そして、このプルゼニ戦では、さらなる進化の“兆し”が垣間見えた。

●シャビ・バルサに見た進化の兆し

 それを一言で言うと、“レヴァンドフスキによるチャンスメイク”だ。

 例えば40分の場面では、敵陣中央をドリブルで進んだペドリが、ペナルティアークの手前にいるレヴァンドフスキにパス。ボールを受けとったポーランド代表FWは、トラップから一呼吸おいて、ヒールでボック内にリターンパス。少しタイミングがずれ、ペドリは的確なシュートを打てなかった。しかし、ポーランド代表FWが軸となって決定機を演出したのは事実。この先、欧州屈指の技術を持つ2人のタイミングがあってくれば、敵にとってバルサの攻撃は、さらに脅威が増すはずだ。

 また、51分の場面では、今度は左サイドのペドリからアーク近辺でパスを受けたレヴァンドフスキが、キープから切り返して裏に抜け出すアルバに浮き球のパス。敵のDFに阻まれてアルバはシュートを打てなかったが、40分の場面と同様に、ここでもレヴァンドフスキがボックスの外に出てチャンスを演出した。

 おそらく、スペインの地でも得点を量産し始め、“バイエルンのレヴァンドフスキ”としての自を取り戻したことで、心理的にも余裕が出始めたのかもしれない。もちろんレヴァンドフスキとしては、バルサでもバイエルンのようにやれると思って移籍してきたとは思うが、その自信が確信となった、といったところだろうか。

 今後、ラ・リーガやCLでの対戦相手は、ポーランド代表FWを稀代のフィニッシャーとしてマークすればよいだけはなく、チャンスメイカーとしてもマークしなくてはならなくなったのだ。

 そしてポーランド代表FWが本領を発揮し始めたシャビ・バルサの攻撃は、デンベレやハフィーニャによるサイドアタックだけではなく、レヴァンドフスキを軸とする中央からのコンビネーションも増え、さらに脅威を増すだろう。そのような進化の“兆し”が、このプルゼニ戦では垣間見えた。

 もちろん“依存度”が高くなればなるほど、負傷などで離脱したときのチームへの影響は大きくなる。レヴァンドフスキ不在時のプランも、次第に必要になってくるだろう。それでも現在、バイエルンからやってきた欧州屈指のセンターFWのパフォーマンスは、バルサの2季ぶりのCLグループ突破に向けた視界を、良好なものにしてくれる。

(文:本田千尋)