●スカッドの高齢化が顕著に

 2022/23シーズンの移籍市場でも多くの移籍が成立したが、プレミアリーグのビッグクラブはどのような動きをみせたのか。今回はユルゲン・クロップ監督の下で8季目を迎えるリバプールの補強動向を分析する。(文:安洋一郎)

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 リバプールが抱える悩みの一つがスカッド全体の高齢化である。フラムとの今季開幕戦のメンバーを見ると、ジョエル・マティプ、フィルジル・ファン・ダイク、チアゴ・アルカンタラ、ジョーダン・ヘンダーソン、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノが30歳以上だ。ベテランになるとアスリート能力の低下や怪我のリスクが増え、フル稼働することが難しくなる。

 こうした影響もあってか今季は開幕から怪我人が続出している。特に中盤の選手層は壊滅的であり、開幕早々にチアゴとヘンダーソンの2人の軸となる選手が離脱してしまった。移籍市場開幕当初にユルゲン・クロップ監督は「中盤の補強は必要ない」と断言していたが、最終日にユベントスからアルトゥールを獲得。『The Athletic』によると、この補強はニューカッスル戦でヘンダーソンがハムストリングを痛めたことを踏まえて緊急的に動いたものであり、アルトゥールはリバプールの長期的なターゲットではなかったそうだ。完全移籍ではなく、1年間のローン移籍での獲得にしたことはリスクを踏まえると好判断といえるが、中盤の選手層の問題は以前から指摘されていた問題であり、フロントはもっと前から動くべきだっただろう。

 前線に目を向けるとサディオ・マネの退団が予想以上に響いている。抜群の身体能力と頭脳を併せ持つセネガル代表FWは、得点とアシストによる「攻撃面」と前線からのプレッシングによる「守備面」のどちらでも重要な役割を担っていた。それでいて怪我も少なく、調子の波もなかった10番の穴を今夏の補強だけで埋めるのは不可能に近く、今冬に獲得したルイス・ディアスと今夏に獲得したダルウィン・ヌニェスの2人+ディオゴ・ジョタとロベルト・フィルミーノら既存戦力でマネの穴を補おうとしていた。

 しかし、蓋を開けるとジョタは開幕前から離脱し、新エース候補のヌニェスは2節クリスタル・パレス戦で相手DFに頭突きを見舞って退場処分を受けるなどそもそもの戦力が揃わずにいる。フィルミーノとルイス・ディアスは奮闘しているが、エースのモハメド・サラーは6節終了時点で加入後ワーストの2得点2アシストという結果に終っており、守備陣の微妙なパフォーマンスも相まって勝ちきれない試合が続いている。

●新加入選手の評価は?

 ヌニェスはこれまでクロップ監督が重宝してきたタイプのFWではなく、空中戦やボックス内で強さを発揮するタイプのストライカーである。プレシーズン開幕前当初と比較すると間違いなくフィットしてきているが、マンチェスター・シティのアーリング・ハーランドのような得点量産体制に入るにはもう少し時間がかかりそうだ。

 一方で今夏にフラムから加入したファビオ・カルバーリョは即フィットしており、既に欠かせない戦力の1人となっている。2002年8月に生まれたカルバーリョと2002年11月にプレミアリーグデビューを飾ったジェームズ・ミルナーの両名をフル稼働させなければいけない選手層にも問題があるのだが、インサイドハーフより前のポジションであればどこでもプレーできる万能性はチームにプラスの効果をもたらしている。

 もう一人の新戦力である右SBのカルヴィン・ラムジーは怪我の影響もあって一度もメンバー入りをしていない。そもそも即戦力としての獲得ではなく、じっくりと育てていく方針であるため、現状の序列はトレント・アレクサンダー=アーノルドとジョー・ゴメスに次ぐ3番手の立ち位置だ。